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終わりの始まり

「最近有料アプリを無料でダウンロードすることができるサイトが流行ってるらしいよ。」

「え?でもそれって犯罪じゃない?警察に見つかったりしないの?」

「なんか位置情報偽装?かなんかで警察に絶対にバレないで定評があるらしいよ。」

「へーっ!!でもそういうのって海外のサイトが多いじゃん?日本語対応なの?」

「日本人が管理人さんらしくてすごくわかりやすいしダウンロードも簡単なんだよね!」

「そのサイト教えて!!」

「うん!いいよ!”リオネッタ”っていうんだけどね、このサイトアプリだけじゃなくて音楽やゲームもダウンロードできるからほんと位便利なんだよね!」

「誰が管理人さんなんだろうね、どんな人なんだろ・・・。」


 世の中ネットさえあれば生きていける。広告収入、ネット通販、オンラインゲーム、SNS・・・収入から娯楽までなんでも揃っている。睡眠さえこなしていれば死ぬまで不自由なく暮らしていける。こんな子供騙しのサイトでさえ収入がそこらへんの社会人の月給以上、人生イージーゲームとはこのことだ。無料ダウンロードサイト「リオネッタ」は表面上音楽、ゲーム、アニメ、映画、有料アプリなんでも無料でダウンロードできるいわば夢のようなサイトなわけだが中身はとても単純でリンクを介して海外のダウンロードサイトに飛ばしているだけのただのリンクサイトである。そんなサイトでも広告さえつければこちらに収入がどんどん入ってくる。こんな子供騙しなサイト誰でも思いつくしすぐ削除されてしまうだろう。そこで位置情報偽装と厳重な2重ロックのプログラムを少し加えるだけで警察にバレずにお金稼ぎができてしまうわけだ。我ながらこれは天才と思いたい。最近ではチートソフトの販売もサイトで始めたしこっちの収入も結構いい数字が出ている。本業は高校生だがこれはあくまで表の顔でしかない。裏の顔はネットでお金を稼いでいる会社の社長とでもいった感じである。今日はユーザーからメールで届いた要望を更新する日である。毎日何千何万のメールが来るわけだがそのメールの大半がこれを無料にしてほしい。と言った要望メールである。もっともメールを全部読むわけではなくだいたいプログラムに任せて要望するタイトルが多いものからリンクを貼っていくと言った感じである。

「うわ、今日はやたらゲームタイトルが多いな。流行っているのか?」

ん?

一つおかしなメールを見つけた。件名は「見つけた」、内容は要約するにサイトの管理者を特定したので指定した場所に来いとのことだった。こういった類のメールはうんざりするほど見てきたのだがこのメールは少し違った。指定した場所が僕の現住所であることと時間がだいたい学校から帰宅する時間であることだ。少しゾクッとするメールだがもし来たとして親がまず出るだろう。その時点で名前が特定出来てなければ僕が出る幕はない。学校でしか本名を明かしていない僕にとっては安心できる要素しかなかった。そう、安心できる要素しかないはずだったんだ。

 僕は今、日本警察少年保護施設通称”HIM”にいる。簡単にいうと、僕は捕まったんだ。著作権法違反及びチートツールの作成、販売によってね。自分でも驚きしかなかった。そう、相手が警察であったことと家に親がいなかったことのダブルパンチ。敵うはずがなかった。これで僕の人生もおしまい、短かったけど悔いはないしいい人生だったと思う。心残りがあるとすれば童貞は卒業したかった。まぁ、来世ではイケメンモテモテに生まれて卒業できることを願おう。そうしよう。

「日村和義、こちらへ」

 ああ、お呼び出しだ。出来れば安楽死できるようにお願いしよう。痛いのは嫌いだからな。

「日村くんいや、管理人KEY。君には海外に飛んでもらう。」

・・・は?

突然な話に驚きを隠せなかった。海外?なんで?

「君のやったことはとてもじゃないがこちらでかばいきれるものではない。これまでにいくつも犯罪を重ねてるのも確認できた。その数1200。これは死は間違いないだろう。そこで海外警察からぜひうちのハッカー集団に雇いたいとの連絡があった。」

「少し待ってください、じゃあ僕の罪は全部帳消しになるんですか?」

「話を最後まで聞きたまえ、だから君には死んだことになってもらう。日本ではそう報道するつもりだしご家族にもそう伝えるつもりだ。日本ではそういう処置を取らせてもらう。交渉はもう成立しているし今から海外に飛んでもらう。」

「ちょっ、ちょっと待ってください!僕の意見とか僕の権利はどうなるんですか!?海外なんてそんな」

「君、もう死んでるんだよ?意見とか権利などあるわけがない。とにかく決定事項だ。もう飛行機の手配はしてある、すぐに向かえ。」

ぐうの音も出なかった。でも、海外?場所は?これから荷物は?そんなことを気にしている間に僕はもう飛行機の中にいた。そして着いた。日本から10時間ほどかけて。ロサンゼルスに。

 ロサンゼルスに着いた頃にはもう日付けが変わって0時を過ぎていた。来いと言われたからと言って誰かが待っていてくれてるわけでもなく誰もいない空港の中でどうしたものかと考うろうろしている時だった。

「Mr.KEY、お待ちしておりました。今日はもう遅いのでこれからホテルに向かい休息を取ってください。明朝、ホテルへ迎えに行きます。それでは失礼します。」

まるでRPGに出てくる案内人のように淡々とテンプレのような文を言ってそのままどこかへ行ってしまった。

「はぁ。」

思わずため息をこぼしとりあえず指定されたホテルへタクシーで向かった。英語は喋れないがホテル名を言えばきちんと連れて行ってくれるタクシードライバーに感動を覚える18歳であった。

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