僕は用済みですか
どこの世界でも仲間が増えるのは良い事だ。
しかし僕の世界では「星」という、たった1つのマークの個数だけで仲間になった瞬間に一度も触れられることなく売り飛ばされるという残酷な人生を送る奴もいる。
僕は主人公だ。
ゲーム機のソフトならば仲間を売るなんてことはされないが、それでも一度もパーティーに入ってこない仲間も存在する。
しかし今日の僕が言いたいのは携帯のアプリとして存在する僕たちだ。
はじめは星3つという、まあまあ強いキャラクターとして僕が生まれる。
そして同じ時に旅の仲間として星1つや2つのいつでもどこでも仲間になりそうなやつが生まれる。
もちろんこの中では僕が強い。
人間は僕をどんどん使って強くしてくれる。
しかし、ストーリーが進むにつれて星3つ、4つの仲間が増えていき、仕舞いには主人公だった僕は2軍に落ちてしまうのだ。
「あれ? お前メインメンバーで活躍してたやつじゃね?」
「何? 二軍に落とされたの?」
「星3つも大したことねえな」
パーティーを外されると、初期の頃僕のサポートとして一緒に戦っていた星1や2の仲間にからかわれる第2の人生がくる。
しかし、人間は直ぐにパーティーに戻してくれた。
「結局お気に入りってわけだ」
「俺らは今後パーティーに入ることなく、合成とか言って誰かの一部になったり、売り飛ばされるのをココで待ってるだけなんだよ」
ただ星が1、2ってだけで“弱い”という名札をつけられた仲間は次第にひねくれていった。
そして止めに星5という最強の仲間が入ってきた頃には、星3の僕でさえ存在を忘れられ、最悪の場合は売り飛ばされるのだ。
主人公なのに。
このゲームではじめてあなたに出会ったのは僕なのに。
そんなに僕は弱かったですか?