9/9
王子に見放された白雪姫は
雪のように白い肌。
閉じられた、瞳。
精巧な人形のように美しいそれは、死体。
「・・・・死んだんだな、お前は」
ぽつりと呟いて、音は空気に溶けた。
真理愛に身内はいない。お前は本当に独りだった。
棺桶に入れられて、独り。
「本当に馬鹿だったな、真理愛」
死の重みも考えずに、愛されたいという欲だけで、あっさりと命を放った。
誰もいない畳の部屋で、ただ言い続ける。
「失望したよ」
嗚呼、どこかで期待していたのかもしれない。
自分が死をどう思っているのか。それでも何故死体を愛するのか。
真理愛は理解していると・・・・結局自分も、馬鹿な期待をしていたわけだ。
「さようなら、真理愛。」
いつも聞く馬鹿みたいに明るい返事が聞こえないのは、少しだけ寂しいな。