粉々の宝石を呑み込んだ
「死んでくれないか。」
「一緒に?」
「馬鹿か…いや、馬鹿だった。自覚はあるんだよなそんな確信犯なぶりっこしてるくらいだし。
悪いな、確認して。」
でだ、なぁなんで貴方は自分の部屋に不法侵入してるんだ。
そう問うとエヘッと笑った。
確信犯、ぶりっ子、それが今ほど煩わしく感じたことはないだろう。
「おはようのちゅーしてあげようと思って!」
「死んでくれないか本当に。安心してくれ、貴方なら死体でも愛せないからさ。」
シンデレラが男装すればかくやという美少年。
年下の幼馴染の確信犯なぶりっ子は朝から絶好調のようだ。
まったくもって煩わしい。
繊細な自分には理解できない暴挙だ。
「中学生は中学生らしく青春でもしてくるがいいさ、ほらさっさと出て行け。」
「青春なら今してるよー。」
「ギャルゲーのしすぎで頭が少しばかりおかしくなっているようだね。」
「してないよ、だって俺は優裏安一筋だからね!」
いらない確認をしてしまった。
ここまで直球な愛情表現はそうないだろう。あの女装野郎も見習えばいいのに。
まぁもう無理な話だけど。
「そういえばさ、」
「なに?」
「優裏安の高校の人で行方不明になった人いるよね…その人ってさ、優裏安の友達だよね?」
「……あぁ、紀市ちゃんね。」
考えていたベストタイミングだ。バカだけど勘はいいのかね。
にぃーっこり笑って、それはもう輝かんばかりの笑顔だ。
なにをそんなに喜んでいるんだ。いっそ気持ちが悪い。
「俺としては、優裏安の大好きなオトモダチが消えてくれてすっごく嬉しいけどね!」
「いつ自分は紀市ちゃんのことが大好きだって言ったかな…?」
「え?直接的な言葉じゃ言ってないけど、よく話してたじゃん。」
それはもう大好きオーラ滲ませちゃってさ、と口を尖らながら言った。
拗ねていますと言わんばかりの表情だ。似合うからタチが悪い。
嫉妬しちゃったと恥ずかしげもなく言ってのけるのもタチが悪い。
本当にタチの悪い幼馴染だ。
類友か、そうなのか。それとも自分なんかと一緒にいたからこんなんになってしまったんだろうか。
自分、紀市ちゃんの二の舞は踏みたくないなぁ。
まぁ、彼の嫉妬なんて可愛いものだ。あの彼女に比べれば。
「だから付き合おう!」
「接続詞を小学生から学び直したほうがいいようだね。」
ちなみに以上の会話は自分がベッドで寝ているその上に覆いかぶさっていた真理愛をそのままで話していた。
祖母が起しに来たとき頬に手を当て『あらまぁ。もうそんな…ごめんなさいねお邪魔して!』などとのたまった。
我が祖母ながら理解に苦しむ頭脳を持っていらっしゃる。