ゆりかごに手を伸ばした
「お前死体とか好きだったよな!一緒にゾンビゲーしようぜ!」
「……断る。」
上機嫌でやってきた少年を半眼で見ながら溜息をついた。
幼馴染ってわりに何にもわかっていない彼をどう責められようか。
1に死体2も死体、3にやっと友人で4はやっぱり死体。そんな自分を理解しようとする方が難しいか。
と、改めて考え直した。
わかるはずもない。
だってこの少年は友人のように異常でも、その友人に執着するような女装やろうとも違うのだから。一般人なのだ。
まぁこんなのに死体の良さを熱く語ったとしても、半分も理解せずに意識を彼方へと飛ばす天才なのだ、なんの意味もない。
コイツは馬鹿なのだ。
「その鳥頭どうにかして治さないか?」
「優裏安はそのよくわかんない話し方と名前に似合わない捻くれた性格を治すべきだな!」
どうやらこの幼馴染は自分に喧嘩を売りたいらしい。己の方こそ真理愛などと似合わない名前なのに。
年下の幼馴染にムキになって反論しようとも思わないが、あの無神経さでよく友達ができるものだ。
彼は結構人気がある。不思議なことだ。
馬鹿といえども底抜けの明るさやポジティブでユーモラスな性格がうけるのだろう。言いようだね。
まぁ、クラスに一人はいそうじゃないか。
話し方が少々他人よりも変わっているのは知っているし、性格が捻くれているのも自覚している。
今更指摘されたくらいでどうになるでもなし、怒るはずもない。
自分の沸点は相当高いんだ。
「優しくて裏のない安心できる人にーだっけ?」
「その通りだがよく覚えていたね鳥頭。」
「えへっ、照れる!」
「都合よく解釈するね、昔からだけど。」
鳥頭という単語は完全にシャットアウト。
きっとよく覚えていたねというフレーズしか頭では理解していないんだろうね。
まぁ馬鹿はバカでもぶりっこの馬鹿だ、確信犯であることは間違いないんだろうさ。