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拝啓

作者: 竜胆

目の前に、天使がいた。


「君は天使のようだ」とかそういう意味の天使ではなく、本当に天使がそこにいた。

光は今まで実際に天使というものを見たことがない。故に、頭に光る輪もつけていなければ羽も生えていない彼女が、果たして天使なのか判断することはできなかった。だが、 本人がそう言ったからにはそうなのだろう。

透き通るような血色の良い肌、華奢で未発達な身体にまとった眩しいほど真っ白なワンピース、この世のものとは思えないような(いや、実際この世のものではないのだが)繊細で艶やかなブロンドの髪は、まるで金の海のようにさらさらとウェーブを描き、青く澄んだ瞳は凛としてこちらを見据えていた。

「こんにちは、天使のカスミです」

柔らかな笑みを浮かべ、彼女は確かにそう言った。

「柑奈さんからの想いを、届けに参りました」

戸惑う光に、花束を渡しながら。


* * *


光と柑奈の関係は「幼馴染」より「腐れ縁」と言う方が近かった。

幼稚園、小学校、中学校、高校も、光のいるところには柑奈がいた。柑奈がいるところには光がいた。

お互い、何か示し合わせたわけではない。ただ、暗黙の了解というかお約束というか、入学式やらクラス替えやらすると、当たり前のように隣にいるのだ。

偶然の偶然のそのまた偶然が重なって、もはや奇跡あるいは必然ともとれる現象に光はウンザリし、柑奈は悪戯っぽく笑った。いつものように。

そう、いつも気がつけばそばにいて、馬鹿みたいに言い合って  。幼い頃からそれは何も変わらなくて、勿論これからもずっと続くと思っていた。うざったいほどに。

基本面倒臭がりで、寝ることと読書が好きで、自慢できることといったら図書室での貸出数が学年一位なことくらいな光と、スポーツ万能成績優秀、全国大会に通用するほどのテニスの腕前を持つ、世話焼きな柑奈。性格も趣味も真逆と言っていいほど違う二人が話が合ったことはほとんどない。意気投合、なんて欠片もなかった。

しかし言い合いになれば負けるのはほとんど光で、下手すれば頬を張られる。女子を振った時なんか特に酷かった。

「こんな男に勇気を振り絞って告白してくれたのに、あの態度は何?!」

自分自身に全く関係のない話にあそこまで怒れる人を、光は柑奈以外に知らない。

神様はどうしてこんな二人をセットにしたのだろう。

もし会ったら聞いてみようと、理不尽に腫れた頬をさすりながら光は思った。

ところが、いらっしゃったのは神様ではなくて天使ときた。

しかも出されたクッキーを頬張りながら、熱い紅茶に苦戦しているような幼い子供。

クッキーは今朝、光の母が焼いてくれたものだ。

気づかいは有難かったがどうしても食べる気にはなれなかった。

山のようにあったクッキーがみるみるうちに減っていくのを見て、光は陰で胸を撫で下ろした。親に下手な心配はかけさせたくない。

「天使って現世のものとか食えるんだな」

「現世でも生活することはできますよ。ただ、今の世界は汚れていて、進んで降りてくる者はいません。最近は仕事すら嫌がります」

「仕事って?」

「現世に彷徨う魂を有るべき形に浄化することです」

「?」

光が首を傾げるのを見て、鏡のようにカスミも頭を傾ける。

「難しかったですか?肉体を手放した魂は現世で過ごす術は既に失っています。つまり、生きている人とコミュニケーションをとることはできません。それでも魂は意志だけを糧にここに残るんです」

無邪気に目をくりくりと動かし、それでもカスミは冷静に語った。

「そういう魂が多くなりすぎると、ここと天との均衡が崩れてしまいます」

「と、いうと?」

「浄化されたはずの魂が勝手に現世の肉体を奪ってあたかも〝生きてる〟ように振舞ったり、まだ生きているはずの人が突然肉体ごと浄化されて〝死んだ〟ことになってしまったり…つまり、現世と天の境界が無くなってしまうんです」

光は密かに息をのんだ。

「そして、その最悪の事態を防ぐために私たちがいます」

「それと、これがどう関係があるんだ?」

光の指さす先には花瓶に生けられた花があった。先程カスミが持ってきたものだ。

マリーゴールド。

よく見かける花ではあるが、名前を聞くのは初めてだった。

丸くて背の小さな小輪がテディベアのように愛くるしい。

オレンジ、クリーム色、黄色 。

明るい色を振りまくように元気に咲いていた。

その奥に彼女の笑顔が見えるような気がして、光は思わず目を逸らした。

「浄化のためには、天使を架け橋に人間と魂の間でコミュニケーションをとり、未練を断ち切らせることが必要です」

幸い、カスミはそんな光に気づくことなく話を続ける。

「でも、そもそも魂の存在自体が有ってはならないものなので、言語を使ったやりとりは禁じられていまして……。それで、未練の本質である意志を汲んで、こうして花を贈ることくらいしかできないんです」

「随分遠回しな交流だな」

「秩序を守るためです」

「そんなことで、相手に伝わるのか?未練が取り払われるのか?」

「魂自身、ここに留まることはそう簡単なことじゃないんです。川の中で、ずっと同じ場所で泳ぐことは難しいでしょ?そこまでしてまで伝えたいことなら、きっと届きます。きっと分かってくれます」

光の胸がチクリと痛んだ。

気にも留めないような、小さな小さな擦り傷。

そこからは僅かに、しかし確かに血が滲み出てきているようで、

「ごめん……」

「え?」

気がつけば、それはポロリと口から溢れた。

「いや、なんでもない。それよりお前……ということは柑奈に会ったんだな?」

「はい」

頭を殴りつけられたような気がした。

目の前が一瞬真っ暗になって、フラッシュバックするようにたくさんの思い出が頭の中を過った。

秋、顔に絵の具が付いているのも気にせずに黙々と文化祭の看板の絵を描く柑奈。

冬、久々の雪に犬のようにはしゃぐ柑奈。

春、また同じクラスになって隣で悪戯っぽく笑う柑奈。

夏、球技大会で汗を光らせ活躍する柑奈 。

「うっ……」

 光は口をおさえてうずくまった。

気付けるわけないだろ。

なんでだよ、あんなに元気だったじゃんか。なんで……。

「だ、大丈夫ですかっ?」

 我に返ると、カスミが心配そうにこちらを覗き込んでいた。

 水晶のように透き通った瞳に、光の顔が映っている。

 酷い顔だった。

 淀んでいて、頬も少しこけている。こちらを見る自分は、目が合っているはずなのにどこも見ていなかった。

 情けない。

 何故こんな自分が生きている?

 何故柑奈がいない?

「自分が柑奈さんを殺した、と思っていませんか?」

「っ…」

「じゃあ、どうして柑奈さんはここに残っているんですか?」

「まだ生きたかったからに決まってるんだろ…。ああそうだよ、そんな柑奈を俺は殺した」

「違います。私はあなたに花を届けに来た。柑奈さんは、あなたを想っています」

「嘘だ!」

「本当です。魂は、言葉を紡げません。ですから私たちは魂の意志と似た佇まいを持つ花を贈るんです。でも、柑奈さんの意志は鮮明でした。そのマリーゴールド、柑奈さんに指定された花なんです。私が意を汲んで選んだ花ではありません」

「……どういうことだ?」

「花壇いっぱいに咲いたマリーゴールド。それが柑奈さんの持つ意志でした」

「……」

「ちゃんと受け取ってあげて下さいね」

カスミは徐に立ち上がった。

「一つ、聞きたいことがある」

光は顔を上げた。

その目は、生気は無くとも真っ直ぐとカスミを見ていた。

「この世界、汚いもんばっかなんだろ。なんでお前はそれでも地上に降りる?」

「汚くても、見ないといけないものがあるからです。例えば、そんな世界に埋れて窒息しそうになっているあなたとか」

カスミは笑った。

哀しそうに笑った。

その笑顔は幻のように消えて、

光はまた一人になった。


* * *


「光!本ばっかり読んでないでちゃんと仕事して!」

「っせーな。そういう柑奈は動き回りすぎなんだよ。図書室でバタバタ音たてんな」

「あんたが手伝わないせいで、重い本一人で運ばなきゃいけなくなるからでしょ?文句があるならさっさとそこの本整理してよ!」

「だからその声もうるさい!そもそもなんで落ち着きのないお前が図書委員なんかやってるんだよ!いくら出来るものが多いからってな、人間向き不向きってもんがあるんだよ」

「悪かったわね不適任で!」

その日も、光と柑奈は口喧嘩で忙しかった。

満足に本が読めないと光はぶつくさ言い、委員長のくせして全く働かないんだからと柑奈は文句を垂れた。

光が仕事をしないのにはいくつか理由がある。一つは、読みたい本が山ほどあるから。二つ目は、どうせ放っておけば仕事なんて柑奈がやるから。三つ目は、柑奈が本の整理をしている間に自分とすれちがうと、必ずと言っていいほど彼女が転んで本をぶちまけるからだ。

チャイムが鳴ると、それを機に光は帰り支度を始める。

「ちょっと待って、私も帰る」

いつもなら仕事を終えるまで帰る気配を見せない柑奈が珍しくついて来た。

「なんだ、塾か?」

「そうじゃなくて……あのさ、」

柑奈は俯きながら、必死に言葉を探していた。

いつも強気の柑奈が黙り込むなんて滅多になく、光はいつもと違う雰囲気に身構えた。

しかし、

「その……タイムカプセル、作りにいかない?」

「はぁ?!」

あまりに予想だにしなかった言葉に、光は間の抜けた反応を示した。

「なんだよいきなり。てか、今からか?」

「そうよ、今から」

「なんでだよ!」

「だって、光、前日に言っても絶対断るでしょ?それに、その場で連れ出さない限り言うこと聞いてくれないじゃん」

「いや、そっちじゃなくて!なんで今やるんだよ!別に特別な日でも何でもないし、用意もしてないし」

「いいの!今じゃなきゃ駄目なの!」

そう言うなり、柑奈は光の手首を掴むと強引に走り出した。

「っ、おい、痛えよ!放せ!」

抵抗はするものの、光は嫌だとは言えなかった。

柑奈の泣きそうな顔を、見たような気がしたから。

着いたのは、学校の近くの公園の花壇だった。

柑奈の鞄の中から出てきたのは、クッキーの空き缶二つ。

「はい」

「おう……って、何を入れればいいんだよ」

一つを手渡されたはいいものの、あまりにも突然なことなので何をしていいのか分からない。

光は可愛らしい空き缶を所在なさげに抱えるばかりだ。

 隣を見ると、柑奈はせっせと鞄から色々取り出し、缶の中に詰めていた。

「って、おい。それは?」

光が指差したのは一枚の封筒だった。

「これは光に」

「俺にって……それは俺の缶に入れた方がいいんじゃないか?」

「ううん、こっちが光のだよ。自分のもの詰めて、自分のもの開けても仕方ないじゃない。だから、光が詰める缶は、私が開けるの」

「訳分かんねえ……」

「ちゃんと、忘れないで取りにきてね」

そう言う柑奈の横顔は、夕日に照らされてとても綺麗だった。


* * *


いつからだろうか、最近柑奈は学校に来なくなっていた。

始めは、ただの風邪かと思った。

昔から運動神経は良くとも身体を壊しやすい柑奈だったから、いつものことだと光は思っていた。

しかし、次の日になっても、その次の日になっても、一週間経っても柑奈は戻ってこなかった。

いよいよ異変に気がついた光が、柑奈の家に行ったのは夏休み前だった。

出迎えてくれたのは、柑奈の母だった。

彼女は光を見るなり顔を覆って泣いた。

柑奈の持病が悪化したことを知ったのは、その時だった。

負けず嫌いな性分なのか、ハンデをつけられることを嫌った柑奈は、持病のことを学校で明かすことはなかった。

そのことを知っていたのは、光だけ。

最近は特に調子ががよく、光も時々柑奈が病人であることを忘れるほどだった。

なんでだよ!

今頃病室で眠っているであろう柑奈を、それに気づけなかった自分を、病院に向かって走る間光は罵倒し続けた。

あんなに元気だったろ!俺の横でウザいほどギャンギャン喚いてただろ!なのになんで……なんで急にこんなことになるんだよっ。

肺が潰れそうになっても、光は走った。

今にも消えそうな灯火が、遥か遠くに見えるような気がして、必死になって追いかけた。

しかし、

その灯火は『集中治療室』と書かれたランプの前でプツリと途絶えた。

光が柑奈を見ることは、もう二度と無かった。


* * *


あの日から、一週間が経った。

光は部屋から一歩も外に出なくなった。

文字の羅列を追うわけでも、くだらないことを喋り倒す画面を睨みつけるわけでもなく、ただ部屋のソファの上で生きる屍の如くぼうっとしていた。

友達が葬式に出掛けても、寡黙な父が珍しく声を荒げても、それは変わらなかった。

恐かったのだ。今動いたら、一瞬にして柑奈のことを忘れてしまいそうで。

その前に、やらなければならないことがある気がして。

でも、何を?

やり残したことなら沢山あるはずなのに、どれも違う気がした。

守れなかった柑奈への謝罪でも、まだしていない供養でもない。

今の頭では考えても分かるわけもなく、結局光はただぼうっとしていた。

そしたら天使が現れた。

全く突拍子もない話だ。

悟りでもひらけたのかと思ったほどだ。

しかも、手渡されたマリーゴールドに光は心当たりがなかった。

柑奈は花に興味がない。

それは、彼女が図書室の花に一度も水をやったことがないことからよく承知している。

そもそも花壇だなんて学校に無いし、近くの公園くらいしか 。

……公園?

光は眉をひそめた。

確かあそこには 。

むくりと重い腰を浮かした。

おぼつかない足取りで部屋を出る。

下の階へ降りると、母とすれ違った。

「ひか……」

母は途中まで出かかった言葉を飲み込んだ。

あんなに思いつめた顔をした息子を見るのは、初めてだったから。


* * *


外に出て、あまりの眩しさに目を瞬く。

フラフラと頼りなく進んでいた足取りは段々しっかりしていき、歩速はどんどん速くなり、終いには光は全速力で走っていた。

あの時のように。

『なあ、いつ開けにくればいいんだ?』

『いつでも。 光が思い出した時に』

頭にいくつもの声が反響した。

光が柑奈の笑顔を最後に見た、あの日の声が。

『忘れないでよ、今日のこと』

忘れるわけないだろ!忘れられるわけ……ないじゃないか!。

目の前に現れた公園の花壇には、こないだ埋めたばかりのタイムカプセルの跡。そして、

マリーゴールドが一面に咲いていた。

備え付けの小さなスコップで、跡を掘り返した。

土は全く固められてなく、思った以上に柔らかい。

柑奈は、どんな思いで土をかけたのだろう。

あの時のことを思い出すと胸が傷んだ。

カツッとスコップの先端に何かが当たる音がして、光は手で土を払いのけた。

多少汚れているが、あの時と変わらずに缶はそこにあった。

恐る恐る、光は缶を手にとった。

柑奈が詰めた方の缶を。

ファンッと缶を開ける時の独特な音がして、まず最初に目にとまったのはあの封筒だった。

口が糊付けされていないところが柑奈らしい。

焦る気持ちをおさえ、それでも尚震える手で中身を取り出した。

『光へ』

力強くて達筆な、紛れもない柑奈の字。

何かにすがるようにして、光は文字を追った。

『光へ

この手紙を読んでいる頃には、私はもうそこにはいないってことだよね。

光は今、どんな顔してそこにいる?

となりには、誰かいますか?それとも一人ですか?

私達が初めて会った日のこと、覚えてる?

光は物陰に隠れて、私と顔を合わせようとしなかった。

私は、大丈夫だよってしつこいくらいに声をかけた。

そしたら、やめてよって言われた。寂しくなんかない、一人がいいんだって。

悔しくって、でも本当は哀しかった。幼い頃から孤独を愛するなんて、人を怖がるなんて、この子の未来はなんてせまいんだろうって、子供ながらに思った。

勿論、私なんかいなくても光はちゃんと人と向き合うようになって、自分のことをちゃんと言えるようになったと思うよ。      

でも当時幼かった私は、自分以外の子と喋ってる光を見た時は心底ホッとした。

これで、光は私なんかいなくても大丈夫。

持病のことを知ったばかりだったあの頃、私は自分にそう言い聞かせた。

本当はすごく寂しかった。

光が、そばにいることを許してくれるのはあの中で私だけでいたかった。

私は光の特別でいたかった。

でもそれはいけないんだって、ちゃんと分かってたから。

それでも近くにいたかった。いつか離れ離れになるなら、それまで傍にいたかった。もっと光のことを知りたかったから。たくさん思い出を作りたかったから。私のこと、光にだけは忘れてほしくなかったから。

そうして今まで、散々馬鹿やってきたね。毎日言い合いばっかして、くだらない賭け事して。

光は負けてばっかりだったけど、昔よりずっと笑うようになってくれた。

でもまさか、それが高校生になるまで続くなんて、思ってもみなかったんだよ。

光が他の子と関わりを持つようになったあの日、私は心のなかで光にサヨナラしたつもりだったから。

…ゴメンね、嘘。

私がサヨナラできてなかっただけ。

腐れ縁が続きすぎて、機会を失ったんじゃない。私が、光から離れられなかっただけ。


だって、私は光が大好きだから。


人一倍傷つきやすい自分を知っている分、光は人にとても優しかった。

持病がある私は、人になめられまいと強く生きなければいけなかった。

でもたまに息詰まった時は、自然体にある光の何気無い仕草が私を安心させてくれた。

そんなに気張らなくていいんだよって。

光は気付いてないかもだけど。

私なんて、歯牙にもかけない存在なのかもだけど。

でも、この手紙を開いているってことは、少しは私のこと覚えててくれたってことだよね。

それくらいは、信じてもいいかな。

最後まで、光のことを大好きだった私でいさせて。


今までありがとう』

「覚えてるに……決まってるだろ…」

嗚咽交じりに光は呟いた。

手紙の上に、雫がポタポタと落ちていく。

文字が霞んで見えなくて、なのに光は涙を拭うことができなかった。手紙には、光のものではない水滴の跡があったから。

そういや、柑奈が死んでから一度も泣いていなかった。

いや、やっと泣けた。

こんな自分が情けないけど、今なら言えた。

「ありがとう、柑奈……。俺もお前のこと…好きだったよ」

そうだ、今度自分の缶に手紙を入れにいこう。

柑奈に向けた、手紙を。

マリーゴールドは、風に吹かれて綺麗に咲いていた。

その奥で、彼女が笑ったような気がした。


* * *


「あなたも、物好きね」

天上から下を覗き込む少女に、天使は言った。

この世界のどんなものより白いワンピースに身を包み、しかしその髪はどんなものより黒く輝いていた。その奥で光のグレーの瞳は、厳しい光を宿していた。

「そう?私はこの仕事が好きよ」

ブロンドの髪を携えた少女は言った。

「私は嫌い。いくら頑張って仕事をしても、人間は最後には泣くんだもの。私は皆を幸せにするためにあるのに、笑顔にするためにあるのに」

「そうね、幸せでいたいなら、笑顔でいなきゃいけない。でもね、」

少女は下を見やった。

遠く地上、缶を抱えた一人の少年が涙を拭っている。

「幸せになりたいなら、泣かなきゃいけないから」

顔を覆う腕の下、僅かに微笑みが見えることを知って、

少女は笑った。

綺麗に笑った。

色々ツッコみたいところはおありだと思います。そこはお口ミッフィーです。こんにちは、竜胆です。

普段の性格からは想像つかないかもしれませんが、花は好きです。ミニブーケタイプのコロンとしたヤツが好き。

エピデンドラム、カンパニュラ、デンファレなんかの洒落た花も良いですが、最近は金木犀やクチナシなんかの匂いの強い花も好き。…季節バラバラだな。

カスミソウは、ベタっとした重い配色の花なんかに添えるとグッと立体感湧いて良いですよね。最近は白だけでなく黄色やら青などと色も豊富だし…。ここらへんで辞めておこう。

さて、今回もまたベタな展開ですね。お陰様で説明を入れる箇所が少なく展開が早すぎる。しかもフラグの回収の仕方にセンスが無い!課題が山積みだ!

ではではこの辺で。ここまでお付き合いくださいました方々、どうもありがとうございました。

また次の物語で。



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