○手術終了
無事に治療ができることとなり、あとは祈ることしかできなくなった一斗。手術室の前で突っ立って無事に終わるのを待つ。5分が30分、10分が1時間に感じるほど、1分1秒が長い。
手術中のランプが消える。その瞬間、一斗の顔つきが一層けわしくなる。どれほどの時間が経ったのか分からない。
そして、ドアが開き医者が出てくる。
『眞一郎は……手術は成功したんでしょうか。』
医者に近づき、話しかける。
『大丈夫です。無事に成功しました。』
その言葉に一斗はホッとする。しかし、医者の話は続き。
『手術は成功しましたが、しばらくはかなり危険な状態です。詳しい話を後ほど警察の方とご一緒にしますのでしばらくお待ちください。』
医者は歩いて行った。
一斗はしばらくその場に突っ立っていた。
一斗は警察官が来るまで、眞一郎が治療を受けている集中治療室に特別に入れてもらい、眞一郎の横で、見守っていた。
すると、一斗も気が付かない間に自然と涙が流れていた。
『鈴元様。』
呼ばれる一斗。
その時、初めて涙が流れていた事に気付いた一斗。あわてて涙を拭き、声の方を見るとそこには女性看護師が立っていた。
『警察の方がお見えになられたので、先生からお話しがあります。こちらにいらして下さい。』
看護師の言葉に無言で頷く。そして、二人は歩きだした。
『先生からの説明が終わったら、励ましの声をかけてあげてネ。今も頑張っている大切なお友達がもっと頑張れるように。』
一斗を励まそうと優しく話しかける看護師。
その言葉に、一斗はやっと口を開く。
『眞一郎は大丈夫なんですか。』
『私の口からはあまり詳しく話せないけど、今も大変危険な状態なの。でも、治療は精一杯したので、後は本人の気力にかかってる。だから、その頑張っている眞一郎クンがもっと頑張れるように応援してあげる事が一番大事だから、応援してあげて。』
その言葉を聞いて、足が止まる一斗。
『オレのせいでアイツをこんな状態にしてしまって………。』
また涙が込み上げてくる。
『これで、アイツが死んでしまったらオレは………。』
その言葉に振り返る看護師。
『どうして。彼が大怪我を追ったのは、コンビニ強盗の犯人が発砲した事による事故なんでしょ。だから、悪いのは強盗犯よ。』
一斗の言葉に疑問を持った看護師が励ます。
『オレがバイトをするとか言ったから……。オレがそんな事を言わなければ……。家でおとなしく言うことを聞いて生活してい。』
パァチン。
廊下に響きわたる。
看護師が一斗の左頬を叩いた。
『あ、ごめんなさい。』
我に返る看護師。
『いや、オレこそ騒いですみません。』
叩かれた左頬をさすりながら言う。
『これだけは言わせて。鈴元クンのせいではない。あくまで事故なの。これだけは分かってね。自分を責めるなら眞一郎クンをベッドの横から励ましてあげて。』
『………分かりました。』
『さぁ、涙を拭いて。この先だから早く行きましょう。』
再び歩きだした。