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●会話


 一斗のイライラはどんどん増していく。

『早く要件を言ってくれませんか?オレもヒマじゃないんで。』

『まぁまぁ。今から話す事は冷静に聞いて欲しい?』

なだめた後の石井の目付きが変わる。普段は優しい目で常に人を見ているのに、いきなり、かなり真面目な表情と共にキリッとした目付きになった。

一斗は、雰囲気の変わった石井に気付き、石井の目を見た。

『鈴元クン、キミ、鈴元コンツェルンの御子息だよね?』

一斗が一番口にして欲しくない事を言われる。

『それがどうかしたんですか?』

『一応、ボクも小さいながらも会社を経営をしていて、父から受け継いだんだ。半ば強引にね。』

少しうつ向いて辛そうに話す石井。

『そうなんですか……。』

『だから、君はボクの事を理解できる数少ない年代が近い人物だから、仲良くなりたいだ。』

その言葉に一斗の他人を絶対に受け入れない閉ざされた心の扉にほんの少しだけ隙間ができた。

『…仲良くって……。オレは会社を継ぐ訳ではないので、あなたの考えなんて理解できません。』

普段通りの感じで話すがどこか違和感がある。

『継がないのかい?』

少し驚く石井。

『ええ。』

頷く一斗。

『何かしたい事でもあるのかい?』

『まだ何も……。今はとにかく継ぎたくないだけです。』

普段なら眞一郎ぐらいにしか絶対に話さないような事を口にする。

『そうなんだ。日本国内有数の大企業だから、継ぐとなっても相当なプレッシャーがあるから慎重に考えないとね。』

と、いつもと同じように優しく微笑む。

『別にそんなプレッシャーなんてありません。』

『凄いなぁ~。プレッシャーを感じないなんて大物だよ。でも、君とこんなに長く話せて嬉しかったよ。』

と、立ち上がった。

『え。』

いきなり立ち上がり去って行く石井の姿に戸惑う一斗。

『じゃぁ、また学校で。』

と、お金を払い出て行った。

そして取り残された一斗は、石井の後を追って店を出た。

しかし、辺りを見渡したが石井の姿はなかった。

仕方がないので家に帰る事にした。

大事な事を忘れて……。



 そして、家にもう少しで着くと言うところで、声をかけられた。

『鈴元クン。』

声の主の方を見ると、そこには島田が一人で立っていた。

めんどくさい事になるような気がしたので、そのまま無視して家の方向に歩こうとしたら、その前に島田の子分連中が立ち塞いだ。

『鈴元。お前、石井に守ってもらっているみたいだから今は何もしないが、この間の事、絶対に責任とらせてやるからな。』

と、一斗を背にして島田は歩き出した。



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