●再開
辺りを見渡す一斗。
知らない間に病院のベッドで眠っている。
何故、病院のベッドで寝ているのか疑問を抱きながら起き上がる。
『あ、起きた?』
突然の女の人の声に驚く。しかし、その声に一斗は聞き覚えがあった。
一斗の前に現れたのは一斗を叩いた看護士だった。
『オレ、何で病院のベッドにいるんですか。』
疑問をぶつける。
『それわね。私が早出で出勤してきたら、ベンチで寝ていたあなたを見つけて、起こしたんだけど起きなくてね……。それで、男の看護士さんに頼んで、ここまで運んでもらったの。ホント、ベンチで見つけた時はビックリしたわ。』
一連の流れを説明する看護士。
『そうだったんですか。スミマセン。』
誤る一斗。
『イイのよ。それより、眞一郎クンを心配して来たんでしょう?』
『あ、そうだ。シンのところに連れて行ってもらえませんか?』
『ちょっとだけ待ってね。今、検査を受けている時間だから。病室が決まったから、そこになら連れて行ってあげれるけど……。』
『お願いします。』
即答で答える一斗。
そして、眞一郎がしばらく入院する病室に向かった。
病室は四階で、一階にいた一斗達はエレベーターに乗った。すると、二階で停まり男の看護士が入ってきた。
『起きたんですね。』
女の看護士に話かける。
『さっきはありがとう。また、力仕事をお願いするね。』
と、笑いながら話し出す。
『それにしても、君、なんであんなところで寝てたんだ。』
一斗に聞く。
『夜中に病院に来たけど入れてくれなくて、ベンチに座ってたら寝てただけです。運んでくれてありがとうございます。』
病院内に入れてくれればこんなことにならなかったのにっと、思いながらも御礼を一応言う一斗。
『いえいえ。』
と、ここで、エレベーターが四階に到着した。一斗と、女の看護士は降り、男の看護士はそのまま乗って上に上がった。
『ここよ。』
と、ドアを開ける。
『ありがとうございます。個室なんですね。』
部屋の中に入る一斗。
『特別にね。』
意味ありげな言葉だったが一斗は何も感じなかった。
『じゃぁ、私は仕事があるからここで、眞一郎クンが来るまで待っててね。』
看護士はそのままどこかに行ってしまった。
一斗は一人になったので、窓からの景色を見ていた。
『ここの景色、結構いいかも。』
病院の敷地が広いため、下を見ると緑が生い茂っている。
ガラガラ。
突然ドアが開く。
一斗はドアの方向を見た。
そこには見たことのない看護士がいた。その向こう側にはベッドが……。
『君は?』
一斗の存在に気が付いた看護士が話しかける。
『あ、オレはこの病室の友達のお見舞いに……。』
と、答えると、看護士に続いて今度は医者が入ってきた。
『君か。』
その言葉に看護士はキョトンとしている。
『この子は宮野さんのお友達だ。』
と、医者が看護士に説明をした。
『一斗か?』
突然、聞き覚えのある声が一斗の耳に入ってきた。






