○子犬との出会い
ポツポツ……ザザー……。雨が降り始めた。その雨の中を傘も差さずに歩いている学生服を着た少年がいる。淡々とずぶ濡れになりながら、ただボーっと歩き続けている。
ここは、日本の首都に程近いとある場所。都市部に近いこともあり、人口も多いい。時間が夕方で辺りが薄暗いということもあり、、多くの人が少年が傘を差していないことを気にすることなく、皆、歩いている。
この傘を差さずに歩いている少年こそが、『鈴元 一斗』である。
歩行者ようの信号が赤のため立ち止まる一斗。信号が青に変わり、また歩き出す。スクランブル交差点ということもあり、一斉に道路は人ごみになる。しかし、一斗は人を避けることなくただ真っ直ぐ歩き続ける。当然、人とぶつかりそうになる。一斗とぶつかりそうになる、ほとんどの人が避けてくれる。しかし、避けない人もいるので、肩と肩がぶつかる。それでも、一斗は気にすることなく歩き続けた。文句を言っている声も耳には入ってこない。
歩き続けていると、微かながら動物の弱々しい鳴き声が聞こえた。その鳴き声に足を止める一斗。辺りを見渡すと自動販売機の横にダンボールが置かれてあった。ダンボールが気になりフタを開けると、中に子犬が一匹いた。鞄の中からタオルを取り出し、その子犬に顔だけ見えるようにして包んだ。そして、抱きかかえると、そのまま歩きだした。
家に着き、玄関のドアの鍵を開け中に入る。家には誰もいないので、シーンっとしている。靴下を脱いだり、タオルで拭くことなく、ずぼ濡れのまま洗面所に向かった。当然、床は濡れて汚れる。そんなことを気にすることなく洗面所に着くと、子犬を包んでいたタオルをとり風呂場に入れた。自分も濡れた学生服を無造作に脱ぎ捨てた。そして、一緒に風呂に入った。
シャワーで、子犬の汚れた身体をキレイに洗い落とす。その時、今まで無口だった一斗が言葉を発した。
『コラ、じっとしてろよ。キレイに流せないだろう。』
優しい声で、話しかける。普段はムッとしている無愛想な表情が、このときはなぜか愛らしい顔を、子犬に見せる。ある程度、キレイになると、自分自身、頭からシャワーを浴び、子犬を残し、先に風呂場からでる。身体を拭き、楽な格好に着替えた。そして、子犬を風呂場からだし、身体を拭き始めた。
『お前に名前をつけないとな。』
などを言いつつ、ある程度の水分を拭き取った。そして、ドライヤーのスイッチを入れて乾かそうとすると、ドライヤーの音にビックリして、子犬は逃げ出した。一斗は仕方ないなと想いながら、子犬を追った。