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追放された無能能力者の俺、 実は一人になると最強でしたが配信事故で世界にバレちゃいました  作者: 桃山ハヤト


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鉄壁

疲れた。

まず俺の脳中に渦巻く言葉たちから一つ、辛うじてピックアップ出来たのはそれであった。

しかし、ゆっくりすることはまだ許されていないらしく、部屋から向かったのは地下。

如月と、操を伴い俺はまた嫌な奴に会わなければならない。


暗いが、白色の眩しい照明がそこらにあるせいで清潔感はあった。

整った環境ではあるが、壁面は鉄やらステンレスやらチタンやらが使われているおかげで冷たい印象。

ここが管理局の地下牢……いわゆる留置場というわけだ。

奥に進む毎に不思議が加速した。

「如月さん、ここって誰もいないの?」

「ええ、今捕らえられているのは外山だけですねえ」

想像と違う雰囲気だった。

しばらく歩いて、ようやく外山の入れられた牢獄を目にする。

「おお、これはひどいな……」

外山は自身の錬成したガラスの棺桶に入ったまま、横になっていた。

「強化ガラスですからね。しかも、本人と距離がない以上、我々の手では割ることも難しいから、致し方ないといった具合ですかね」

確かに、操が銃を発砲したのは十分な距離があったからだろう。

「なんか用っスか」

外山は虚ろな目を向けて一言呟く。

「お前、自分で作ったのをどうにかすることは出来ないわけ?」

鼻で笑う。

「どうにかすることが出来たら、とっくに割ってるっスよ」

「でも、なんでも作れるんだろう。ガラスを割る道具くらい作ればいいじゃないか」

「オレの能力は、見たことのあるもの、構造を知っているもの、作り方を知っているものじゃないとダメっス」

つまり、奴はガラスを破るような道具を見たことがないか、その構造を知らないということか。

だからこそ奴は拳銃を錬成することはなかった。

構造自体シンプルな弓矢を用いたわけか。

「確かにあんまり良い能力じゃなさそうだな」


如月が提案をする。

「外山ハジメ……あなた、ダブルトレードについて話す気はやはりない?」

取り調べに協力するのなら、境遇の改善を図ることは可能だと言う。

「話しても、メリットがないっスからね。どうせ、オレは殺されるでしょ」

「そんなことはありませんよ。あなたは生きて、罪を償う必要があります。ただ、それは国家転覆の企みを含めない場合の話です」

国家転覆罪が適応された場合は極刑だろう。

そもそもこいつは何のためにダブルトレードに加担し、そして今も情報を漏らさないようにしているのだろうか。

何か嫌な予感がする。

「如月さん……こいつはもう放っておこう。これ以上何かを話す気はないだろうし」

俺は奴に構うことは時間の無駄だと思った。

「ああ、それでも聞いておくか。お前、データベースから能力者の情報を削除したらしいけど、自分以外の情報も削除しただろ?」

「……なんのことっスかねえ」

俺たちは地下を後にした。


「さっきの話ですが、少し厄介ですね」

如月は顎に手をやり、真剣な表情で居た。

「間違いなくダブルトレードの利益になるような動きだろうが、具体的には何を考えているかまではわからないけどな」

俺は思い当たる節があるようなないような心持ちだった。

「データベースのバックアップファイルも弄られているとしたら、最早手に負えないですね」

「ああ、だけど、そこまでやっているだろうな」

なんとか全てを知る手がかりがあれば……。

あっ、とそこで思う。

「如月さん、手がかりだよ!」

「え? 何がです?」

「だから、如月さんの能力でしょ。手がかり」

「ああ……使えるのなら使いたいですけどねえ」

やはりダメなのだろうか。

俺は渾身の思いつきだと自負したのだけれど……。

いや、やれるはず。

「アリスの『絶対服従』でなんとかならない?」

少し考えたような素振りをした如月だったが、

「やれるだけ、やってみましょうか?」

無理だと思いますけど、と加えて言ったが、俺は一方で希望の光が見えた思い。


さて、そんなわけで。

「はぁ、結構難しい話ね、それは」

ため息から始まったアリスであった。

「そもそも、あたしの能力は発動条件が色々あるのよ」

「条件? あんなに軽々と俺に使ったのに?」

出会ってすぐ、あの能力を浴びた俺は訝しげにアリスを見る。

「まず、基本的には異性でなければならないのよ」

うーん、それは難しい。

如月は誰がどう見ても女だ。

体の丸み、胸の豊満な膨らみ、甘い声。

どこを取っても女だった。

いや、万が一男の可能性もゼロではないか。

「如月さん、女性ですか?」

「えっ? 一応、そうですが……」

「ほんと? ほんとなの? 証拠を見せてよ!」

えぇ……と眉を下げる如月であった。

「このエロガキ! まだ条件はあるのよっ!」

アリスは俺の脳天をチョップし、話し始める。

「異性じゃなかったとしたら、あたしが、その……あたしが好きになればいいのよ」

は?

「つまり、あたしが征服したいと思わなければそもそも発動出来ないのよ、この能力は」

なんという面倒な能力。

「えーと、ということは如月さんとアリスが一夜を共にすれば……可能性はある?」

「その一夜を共にするってのが、まず可能性ないわよっ! それに、一回寝ただけで好きになるほどチョロくないわよっ!」

アリスは絶対にチョロいはずだが?


「困りましたね……では、やはり別の方法を考えましょう」

俺はアリスと如月だとどちらがタチでどちらがネコになるのか考えていた。

「うーん、やっぱりアリスが誘い受けなのかな……」

「まだ言ってんの? このばかぁ!」

「痛っ! 叩くなよ」

どうにか出来ないものか……。

アリスが『絶対服従』を使ってくれれば、如月の能力は発動出来るだろうし、右手の傷も治すことが出来るだろう。

「好きになる方法……誰か、一瞬でもマインドコントロール出来る人はいないのか?」

「そういう能力を持っているのは……うーん、あんまり気は進みませんけど……」

「誰かいるのか!?」

俺は前のめりになった。


「一応……近い能力というか、そういうのを使える人はいますかねえ……」

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