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追放された無能能力者の俺、 実は一人になると最強でしたが配信事故で世界にバレちゃいました  作者: 桃山ハヤト


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逮捕

その長く鋭い矢は装填された。

ボウガンが向けられる。

俺は少し安心した。

なぜならその武器は、向けた先の他には矢が放たれることはないからだ。

つまり、俺に向けられている間は、操には決して当たることはない。


矢は放たれた。

俺は瞬時にテーブルを影にし、退いた。

音もせず、テーブルを貫き、目の前に矢は届いた。

「威力が普通の弓矢じゃないな」

どうする。

飛び道具に対抗する手段は今のところない。

操ならなんとか出来るか?

そう思ったとき、すでに操は外山に向かっていた。

「甘いっスよ。一度受けた攻撃は二度喰らわないっス」

強化ガラスをいつの間にか錬成していたらしく、操の手裏剣は弾かれてしまう。

「……ガラス、それなら」

操は右手を引っ込めるような動作を目にも止まらぬ速さでする。

次に目が追いついたとき、右手には大振りの銃が握られていた。

「……これで破る」

「ひっ、待つっス!」

オートマチックなのか、狙いを定める必要もないと見え、操はそのまま引き金を引いた。

サイレンサーのない銃の音は耳を裂くようにうるさい。

そして、それにより破壊されたガラスの音もうるさかった。

「銃ってなんスか! ずるくないっスか?」

外山は明らかに動揺していた。

「……これで終わり」

操の手裏剣が、光の粒になる。

「まだっス!」

またガラスが錬成されていた。

「……あなた、能力者としては下の下ね」

操は外山に冷ややかな視線を向ける。

外山は余裕ぶっている。

しかし、俺の目に映るのは空のボウガン、もう一方の手には強化ガラス。

攻撃を仕掛けて来られる状態ではない。

操が気を引いている今だ。

音を立てぬように走った。

「ぶん殴ってやる」


俺が外山の傍まで来たとき、相変わらず奴は両手が塞がっていた。

「外山ァ!」

顔面に一発。

しっかりとヒットする。

能力の発動はしていないから、大した威力ではないが、それでも外山はよろけ、両手から武器と防具を手放す。

「今だ! 操っ!」

操が素早い反応で手裏剣を光の粒にする。

チュン、という音。

「……また、ガラス」

外山は倒れながら自身を覆う強化ガラスを錬成していたらしかった。

それはまるでガラスの棺桶であった。

「どうっスか? これならあんたらは何も出来ないっスよ」

俺は少し間の抜けた思い。

「ああ、俺たちは何も出来ない。だけど、お前はどうなんだ?」

体が密着するほど狭いガラスの箱の中で、外山は少し焦る。

「悪い奴の最期はいつも間抜けだな」

俺は操から、先程ガラスを割った銃とは違う銃を受け取った。

古いデザート・イーグルだった。

これだと、ガラスが粉砕するだけでは済まない。

銃口を向ける。

50口径が外山を吸い込みそうだ。

「ちょっと、冗談っスよね? それを打たれたら……死んじゃうっスよ!」

「俺はお前に殺されかけたけどな」

「あれは……戯れじゃないっスか! 本気にならないでほしいっス!」

トリガーに手をかける。

「ああっ! 待って! 待って!」

「嫌だね。この銃、重たいんだ」

小さな金属音。

構えたことを主張するには十分な音。

「お前のせいで操との楽しいバスタイムがお預けになった。死んで詫びろ」


外山が観念した頃、如月の声で止められる。

「待ってください、藤堂さん!」

扉を開けたと同時にそう叫ばれた。

「過剰防衛です! いくらなんでもかばいきれません!」

俺は小さく舌打ちをし、銃を下ろす。

「へへ……正体不明も飼い主には逆らえないってわけっスね」

「……勝手に言ってろ」

腕に包帯が巻かれた如月が近付いてくる。

「外山ハジメ、暴行、傷害、公務執行妨害、殺人未遂で現行犯逮捕します」

後ろから見たことのない、管理局職員たちが入ってくる。

ガラスの棺桶を担ぎ上げ、部屋から出ていったのは間もなくだった。

「二人とも、怪我はありませんか?」

「ああ、俺も操も無事だ」

「ふう……良かったです」

それよりも俺は如月の腕が気になって仕方なかった。

「あ、これですか。これは外山にやられてしまいました。まさか能力者のデータベースから自分の情報を削除しているとは……」

軽傷だと笑ってみせる如月だったが、どこか憂いを帯びていた。


外山は厳重に、牢へと幽閉された。

能力者で犯罪を働く者への罰は常人のそれとは桁が違うというが、どうなるのか。

それにしても、奴の言った、早く消失してもらわなければ困る、というのはどういう意味なのだろうか。

「なあ、如月さん」

「なんでしょうか」

俺は笑顔で応える如月に、何故か聞く気が失せてしまった。

「……腕、大丈夫?」

あらあら、と口元に手をやり、

「藤堂さん、心配してくれるんですねえ。てっきり若い娘にしか興味がないかと思っていたんですけど」

そんなつもりじゃないのだが。


負傷したのが右手――KEYだったから。

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