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追放された無能能力者の俺、 実は一人になると最強でしたが配信事故で世界にバレちゃいました  作者: 桃山ハヤト


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白髪

抑えることの出来ない、心からの嫌悪感は、その男に向けられていた。

こいつに好き勝手されるのは嫌。

ただそれだけがはっきりと俺の心にあった。


「凄腕のハッカーと聞いていたが、会ってみると何のこともない、頭の悪そうなチンピラくずれとはな」

俺は侮蔑し、そう言った。

その言葉をほとんど無視し、外山は言った。

「ハッカー、っスか? オレはどちらかと言うとクラッカーっスね」

クラッカー?

あのパサパサのクッキーの類似品しか思い浮かばなかった。

「まあ、ハッカーでも間違いではないっスけど」

どうでも良いと思った。

とにかく俺に課せられた今回の任務は、これ以上の侵入を防ぐことだった。

「俺が今日ここに来たのは……」

「言わなくてもわかってるっス。オレが管理局の情報を盗んでいるかどうか、盗んでいた場合、どの程度情報は漏れているか、そしてこれ以上の侵入は許さない……っスよね」

なんだ、こいつ。

「まず、管理局のサーバー、データベース等、不正アクセスを試みているのは事実っス。オレがやったこと。で、どこまで知られているかは……」

坂井田が話を継ぐ。

「ククク……知っていることは、全て、と言っても過言じゃないかな。超機密情報である、八竜、藤堂くん、その他色々……我々は知っているよ」

八竜という言葉を聞いたとき、奴らが詭弁を出任せに言っているという可能性はなくなった。

「ふうん、だから今日、俺がこうして動くのもわかっていたわけか」

「それはわかっていた、というよりはそうなるように導いたって感じっスね」

深夜、派手に侵入したんで、と言う外山。

「で、オレの侵入をこれ以上させたくない、ってのはわかるっスけど、ネットに接続されている限り無理なのは管理局もわかってるはずっスけどね」

「でも、お前のやっていることは紛れもない犯罪だぜ?」

「でも、警察には突き出せない。そうっスよね?」

警察とは言え、外部の人間に八竜の存在が知られるのはこちらとしてもまずいだろうと、そういうことか。

「では、管理局へのこれ以上の侵入をやめてほしい、と一応言っておく」

「わかりました、で終わるなら警察も検察も裁判所も必要ないっスよね」

俺たちは睨み合った。


坂井田が口を開いた。

「まあ、他ならぬ藤堂くんの頼みだ、聞いてあげないこともない……。ただし、管理局を出て、我々と手を組む、というのならだがね……」

それは無理な相談だ。

こんなアウトロー集団に入るのはごめんだ。

「ククク……こんな提案をしても、君は乗って来ない……! 人間は、自分が一番正当化しやすい環境を好むからね……」

「正当化だって? それは違うな。俺はあんたたちのやり方が嫌いなんだよ」

薄い笑みを浮かべて、肩をすくめる坂井田だった。

「そうも言っていられないかもな……。おい! 連れて来い!」

坂井田が手を鳴らすと扉が開かれた。

「……失敗した」

黒服に身柄を拘束された操が現れた。

彼女の両脇を黒服が固めている。

「なっ! 操! 大丈夫か!?」

「……大丈夫」

力なく言う操の衣類には短い戦闘の痕跡があった。

くそっ!

俺の大切な操を!

「お前ら、今すぐその娘から離れろよ……」

「なんだ貴様、一人にならないと何も出来ないくせに」

怒りに震える。

黒服目掛けて地面を蹴っていた。

「こ、この……ぐっ!」

まずは一人。

慌てた様子でポケットをまさぐるもう一人。

殴り飛ばす。

「がはっ……!」

支えを失っている操を抱きかかえた。

「……どうして」

俺にもわからなかったが、何らかの力が湧いていた。

「これは……ククク、驚いたね」

大きな窓に反射した俺の髪色は、すっかり真っ白だった。


今の俺ならなんだって出来る。

「お前らを、今ここでぶち殺すことも出来るが、どうする」

坂井田は怯えもせず、ゆっくりと椅子に座り直した。

「藤堂くん、落ち着きたまえ。しかし、ますます魅力的だ……我々と共に、世界を変えようじゃないか」

誰がお前らなんかと組むかよ。

「そんなのは御免被るといった顔だね。ククク、構わんよ……今はそれでも」

どういうことだ。

「あー、いいっスか。これ、映像も音声も管理局で受信してるっスね」

外山が割って入る。

「オレ、知ってるっスよ。災害級ダンジョンの謎。あんなに大きいダンジョンが立て続けに都内に発生している理由……。公共安全管理局総合攻略部、部長の如月あかねさん! 聞いてるっスよねえ」

何故ここで如月の名前が出てきた?

「口を塞ぐ必要がありますね。みさおさん」

インカムから如月の声が聞こえたかと思うと、俺の懐から操はするりと抜け、外山に向かって光の粒を数個発射する。

「うっ……ぐぅ……」

外山はソファに沈んだ。

「――彼、警察に突き出せないとかなんとか言ってましたね。でも、私たち〝公安〟は危険因子を取り締まるのが仕事ですから」

坂井田は机の裏に仕込んであるボタンを押し、脱出を試みていた。

「あっ、待てよ!」

「ククク……また会おう、藤堂くん」

床が開き、吸い込まれるように消えていく坂井田だった。


その後、ダブルトレード本社は家宅捜索令状を出され、管理局による徹底的な押収があった。

押収品の一つとして、外山も含まれていたという。

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