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追放された無能能力者の俺、 実は一人になると最強でしたが配信事故で世界にバレちゃいました  作者: 桃山ハヤト


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待望

想いを言葉にするのは、勇気のいるものだ。

だからこそ尊重するべきだ。

その気持ちに精一杯応えるべきだ。

しかし、ことと次第によるというか。

受け入れることも難しいことはあるわけで。


「わたし、兄さんのこと好きだから」

その言葉はリフレインのように脳中で繰り返される。

え、妹のお前が?

俺のことを好き?

人生で初めて告白された。

でも、相手は妹。

だけど、好きってことはそういうことで。

✗✗✗を✗✗✗に挿れてもいいよ、ってことで。

そういう関係になりたいってことで。


「ちょ、ちょっと! しっかりしなさいよっ!」

アリスに言われて正気を取り戻す。

「あ、ごめん。半分くらい気を失っていたみたいだ」

衝撃的な突然の告白に、俺はすっかり混乱していた。

「ねえ、兄さん。返事は? してくれないの?」

幼な子のように欲求だけを露呈する美奈は、無邪気さしか感じられなかった。

しかし、ここでアリスが口を挟む。

「ちょ、ちょっと待ちなさいよ! 美奈、あんたたち兄妹でしょ!? それって、恋愛的に好きってことなわけ?」

確かに俺たちは兄妹だった。

「でも、血は繋がってないよ」

そうなのである。

「えっ? そうなの? いやっ! それでもダメよ! ダメダメよっ! そんなの!」

アリスも不意をつかれたようで、混乱している。

「ダメって……アリスちゃんの気持ちは関係ないよ?」

「そっ、それはそうかもしれないけど……」

「んー? やっぱり怪しいかも。ねえ、アリスちゃん、誘惑しようとしたのは、なんで?」

美奈はアリスを追い詰めるように言葉を継いだ。

「アリスちゃんも、兄さんのこと好きなの?」

え?

アリスが俺のことを好き?

それなら、さっきのはマジだったってこと?

「だっ、誰がこんなやつ! こいつはねえ! ダンジョンで戦ってるときは格好良いけど、そうじゃないときは、優柔不断だし、スケベだし、それに……! それに……アレもちっちゃいし……」

声がどんどん小さくなっていったが、最後まで悪口だった。

俺が人知れず涙する中、美奈は意外なことを言った。

「アリスちゃん、それが良いんじゃない」

それ、とは。


「そんなことより……美奈、気になってることがあるんだ」

俺は話題を逸らそうと試みる。

「なんだろう。兄さん、なんでも聞いて?」

「お前、男には近付けないだろ? この間、久々に会ったときも近付いたらビンタしてきたよな?」

「あのときはまだ、知らなかったから」

知らなかった?

「知らないって何をォ!」

ビンタされた。

「また、言わせようとする……」

なんだ?

ビンタを張るような質問をした覚えはないのだが……。

「……その、大きさ、だよ」

大きさ?

「あ、あの……兄さんの、アレの」

「おい、アレってまさかちん……ぽぉ!」

また頬に手のひらが飛んでくる。

思わず語尾がマイケル・ジャクソンのようになった俺に対して、

「小さいって、操ちゃんから聞いて……これくらいなんでしょ?」

親指と人差し指でノギスを作る美奈だった。

そのサイズ、目視した感じだと5,6センチ。

「そ、そんなに小さくない!」

まるで駄々っ子のように必死になった俺に対し、美奈は追撃する。

「それに、皮もしっかり被ってたって、聞いたから……」

それなら怖くないかなって、と、美奈は優しい笑顔を向けてくる。

この間、静かにしているアリス。

顔を赤らめて、目を逸らしている。

「ア、アリス! お前は何度も俺のを見ているよな! そんなに小さくないよな!」

強引にアリスを召喚した。

「なっ、なんであたしに聞くのよっ! 知らないわよ、そんな粗末なモノ!」

「知らないわけないだろ! いいから、美奈が勘違いしているんだから、しっかりと教えてやってくれよ!」

赤く染めた頬のまま、目をぎゅっと瞑り、

「こっ、こんくらいよっ!」

と、指を出す。

それはアリスの可愛らしい小指だった。

「小さすぎるだろ!」

「知らないわよっ!」


――納得は出来なかった。

まあ、それでもそのサイズが功を奏して、美奈のトラウマの外に居られるのは悪い話でもなかった。

しかし、煮えきらない思い。

そんなことより、と美奈が言った。

「兄さん、気持ちを教えてよ。わたしはちゃんと伝えたよ?」

俺は人生で初めて女の子から告白というのを受けた。

ただ、あまりにも残念なのは、それが妹からだったということで。

「美奈、好きっていうのは、恋愛的に、なのか?」

「そうだよ。兄さんのこと、ずっと好きだったんだよ。だから、兄さんのことを知るためにこれまで頑張ってきたんだよ。でも、兄さんが大人になって、能力者として働きに出て、家から居なくなっちゃったとき、ああ、もうわたしの気持ちはこのまま終わっちゃうのかなって思ってたの。だけど、こうして、また一緒に、そばに居られて、諦められないって思ったの。ごめんね、急で……」

「そっか……」

美奈は言いながら、少し瞳を潤ませていた。

それほど真剣に思ってくれているのだろう。

「美奈、ごめん。やっぱり美奈は俺の妹で、それは変わらないっていうか」

「昔、ね……」

俺の言葉を遮るように美奈が話し始めた。

「昔、兄さんがベッドの下に隠してた本、悪魔の恋人と、天使の妹が出てくる小説があったの。妹は、やっぱり兄妹だからって、拒まれるの。だけど、最終的には二人とも恋人になるって内容で……妹は兄に対して誘惑をしたの。そうしたら兄は優しく受け入れて……その、え、えっちしてたの」

なんの話をしているんだこいつは。

「兄さん、その小説、何度も読んでたよね。わざわざカバーを裏返しにして、いつも読んでたよね」

そんなに読んでたか?

「それをわたしも読んで、ああ、兄さんは妹属性もイケるんだなって思って、それからかな、意識したのは……」

「普通じゃないな! しかも、話し始めから想像したのは、兄さんが格好よかったエピソードとかかなって思ったけど、聞いてみたらクズエピソードだったな!」

「でも、兄さんのこと好きなのは本当だもん」

そう言われると声が出せなくなってしまう。

どうしたらいいのか、わからない。

気持ちを受け入れてあげたい、そう思うのは、妹としての美奈に対する慈悲のようなものだ。

美奈が誰よりもデリケートなのはわかっている。

そんな美奈が勇気を出して言ってくれたんだ。

「美奈、待ってくれないか」

「え?」

「俺が、美奈と今すぐそういう関係になるのは難しいよ」

ふふ、と美奈は笑みを溢す。

「兄さんらしいね……わかった。待ってる」

いくら笑顔になっても、そこには寂しさのような翳りがあった。

「でも、その前に」

なんだろう。

「やっぱり兄さんの、見ておきたいかな」


え?

「見たいってまさか……」

「うん」

嘘だろ。

いい感じで終わると思ったのに。

「い、いや、アリスも居るから、ダメだよ」

アリスに視線をやると、

「……いいじゃない、見せてあげなさいよ! それに、自分の目で確かめるのが美奈にとっても良いと思うわっ!」


味方は居ない。

ここでも孤立してんな、俺。

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