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追放された無能能力者の俺、 実は一人になると最強でしたが配信事故で世界にバレちゃいました  作者: 桃山ハヤト


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幻惑されて

目の前で浮遊している小さな竜は、レディドラゴン。

どうやら人の心を操作し、好きに操ることが出来るらしい。

情報としてはそれだけである。

どのような戦い方をするのかなどは一切にわかっていない。

名前からも想像がつかないのが厄介だった。

レディというのは淑女という意味だが、果たして。


「懲りずにまた来たの? 人間」

は?

「うふふ、驚いているの?」

こいつ、喋ることが出来るのか?

「……しかも、一人だけ? 随分私も舐められたものね……」

憂いを帯びた表情でそう言ったレディドラゴンだった。

「話が通じるなら、話し合いで解決したいところだがなあ」

「そんなこと出来るわけないわよ。我々とはどこまでも思想が違うじゃない。あのときもそうだったわ」

あのとき……?

「何を言っているのかわからないけどな、力ずくってことになるなら容赦しないからな。まあ、悪く思うなよ」

俺は身構え、戦闘モードになる。

「人間……弱き生命体よ、その弱さを憐れんで、一つ良いことをしてやる」

良いこととはなんだろうか、そう思った俺の体をピンク色の雷撃が包む。

それは一瞬で、痛くも痒くもなかった。

「な、なんだ……? 何をした?」

「なに、私からのささやかなプレゼントよ」

体には変化はなかったが、意味のないことをするわけがないとの、変な信頼のようなものがあった。


「今のは、ステータス異常を付与する術かになにかでしょうか……」

如月は訝しげに映像を眺めていた。

「……今のは、たぶん『竜のくちづけ』……これでステータスが変化することはない……」

「みさおさん、それって何のために……」

疑問ばかりが浮かぶ。

「竜のくちづけは本来調合魔法よ。人が、人に使うもの。効能は竜属性になる、だったかしらね」

アリスが答えた。

「竜族は基本的に弱点はないとされていて、その上、即死系攻撃が一切通らなくなるのよ。普通、厄介な即死系の攻撃を使う相手への予防として使う、もしくは弱点を付与する装具のデメリット解消に使うものだけど……」

その意図まではわからないのだった。

「では、仮にですが、レディドラゴンが、竜族に対して弱点というか、効果が大きい攻撃手段を持っている場合は……結構まずいかもしれないってことですか」


何を考えているのか見当も付かず、探りを入れながら戦うしかない。

俺はそう思い、一度殴ってやろうとの考えになった。

魔獣が人の言葉を操るというだけでも戦意が喪失しそうなのに、これ以上先手を打たれるのは御免だった。

手と足を使って、勢いをつける。

回転蹴りの要領で拳を打ち出す。

渾身の一撃。

それはあっけなくかわされてしまう。

「何っ!」

「私、体軽くて。そんなの簡単に避けられるわよ」

もしかすると、俺の攻撃は全てこのように避けられてしまうのだろうか。

だとすると、意識を操作することも出来るこいつには何が効果的なのか。


===


《お、かわされたぞ》

《この人の強さはこないだの配信でわかってるけど、この魔獣も相当強いんだろうな》

《最強の男がついに敗れるのか……》


===


「さて、こちらからもやらせてもらおう」

ゆらり、と揺れた。

小さな竜の小さな腕が振られると、その何倍にも大きい気功で作られたような爪が向かってくる。

しまったと思ったが、遅すぎた。

思いきり全身でその攻撃を受ける。

「ぐっ……!」

一度では済まされない。

何度も。

何度も何度も切りつけられる。


「ちょ、ちょっと! 一方的にやられてるだけじゃない!」

「アリス、きっと……きっと大丈夫です」

如月はそう言いながらも、両手をしっかりと胸の前で組んでいた。


何度その攻撃を受けたかわからないが、確実に体力は消費されていた。

「ふん、弱き生命体よ。それでおわりか」

攻撃が止み、勝ち誇ったかのように言われる。

「……全然、余裕だね」

俺は悪いけど、独りであれば最強だ。

その意味をしっかり教えてやらなきゃな。

「まだやる気か。くらえっ!」

同じ手は、もう食わない。

増幅された巨大な爪を片手で受け止める。

「なにっ!」

受ければ受けるほど『補正』されていくのが、俺の真髄だ。

「お前の攻撃のおかげで、また強くなっちまったよ」


反応速度、上昇。

防御力、上昇。


ぶん殴ってやる。

地面を蹴り、近づく。

体が衝突するくらいが丁度良い。

なぜなら……。

ふわりと避けようとしたレディドラゴンの首根っこを掴んでやる。


「……それは、ダメ」


操は知っていたのだろうか。

レディドラゴンの首を掴んだとき、殴りかかっていた手が止まる。


誘惑のドラゴン、その得意とする幻惑を、今まで使わなかったのは、このときのためだったのだろうか。


深い霧が立ち込める。

目の前にはアリスがいた。

「あれ? ここは一体……」

霧の中、まだ少女までは距離がある。

「ちょっと! あんた何してるわけぇ!」

アリスは口調とは違って、とても穏やかな表情だった。

「ねえ、こんなところに居ないで、早く二人きりになりたいんだけど……あんたの、好きにしていいから……その、溜まってるんでしょ?」

消え入りそうな声で言う。

「ちょ、ちょっと……好きにって、そういうこと……?」

俺はアリスに誘われるまま、ついて行こうとする。


「……ダメ」

後ろから声がする。

「……行っちゃダメ」

操がそこには居た。

「……アリスみたいなお子様より、たくさん楽しませてあげる。たくさん、ご奉仕、したい……」

ご奉仕……思わず生唾をごくりと飲み込む。

「……これ、着て、する」

操の手にはメイド服が携えられていた。

俺はどうすればいいんだ……。

操がメイド服着てくれる、しかもその格好でご奉仕してくれるなんて……。


「藤堂さん……」

また別の方向から声がする。

「私です。藤堂さんのこと、前から……欲しかったんですぅ……お願いします、もう、ずっと、ぐしょぐしょなんですぅ……」

っ! そんなになってんのかよ!

いつも澄ました顔をして、そういうことには興味ない風を装いながら、実は誰よりも淫乱っ……!

ドスケベ女上司っ……!

これは、一度わからせてやらなきゃな……!!


「藤堂さんの、その立派なモノで、わからせてほしいんですぅ……」

違和感。


ははーん、わかったぞ。

どうも都合が良すぎると思ったんだよ。

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