表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/66

10 無能な妹は騎士団を訪問する

騎士団の訓練場は、朝の冷気に包まれ、張りつめた気配をまとっていた。


木陰の来賓席には、すでに貴族やその令嬢たちが並び、小声のさざめきと香の匂いが淡く漂っている。

私とサラサも案内され、その一角に腰を下ろした。


「ねえサラサ、なんだかいろんなところから視線を感じるのだけれど…」

「アリア様は相当鈍くていらっしゃるから、たまには殿方の視線を感じるのもいいことですわ」


倒れて以来、だいぶ気安くなったサラサがなんだかわけのわからないことを言っているけど、私はそんなに鈍いわけではありませんよ。どうせ「水晶球を壊した怪力令嬢」「魔力のない無能な義妹」を一目見ようという野次馬たちの視線でしょう。ちゃんと、わかってますからね!



――エルヴィンが総長を務める公爵家騎士団(ブラン・グラキア)を訪問することが決まったのは、数日前のことだ。


魔力を隠すよう命じられてから、エルヴィンの過保護はますますひどくなっていた。屋敷から一歩外へ出ようとするとエルヴィンがどこかからか飛んできて「外には悪い虫がいるかもしれない」とすぐに抱きとめられてしまうし、お庭で白薔薇のお世話をしようとすると「棘がおまえの美しい指を傷つけてしまわないかと心配だ」と止められるし……しょうがないから読書でも、と公爵家図書館に行くと「何か手伝えることはないか?」と飼い主を見る犬のような瞳で見つめてくる。


ついに限界がきて、「どこかにお出かけさせてください!」と直談判したところ、義兄の目の届く範囲でならということで、騎士団の模擬訓練を見に行くことになったというわけだ。


いざ出かける当日の朝になってもエルヴィンは「そのドレスは肌が見えすぎる」とか「髪を上げるのは良くない。しかし下ろしていても虫が寄ってきてしまう」とかわけのわからない注文をつけてきて、しまいには「外に出るときは常に外套(ケープ)をかぶっていたほうがいい」と言い出した。


あのときはさすがのサラサも怒って、エルヴィンを部屋から追い出しちゃったのよね。その後、サラサは血走った目で「エルヴィン様が気を失われるような、目も見張る美女にしてさしあげますからねっ!」と言ってお化粧、ドレス、髪型、すべてを完璧に仕上げてくれたのだった。


家を出るまでの苦労に思いをはせていると、どこからか星笛(ホーン)が鳴り響き、騎士たちが入場してきた。


読んでいただきありがとうございました。

次回、久々に氷刃公が降臨されます。


リアクション、ブックマークしてくださった方、ありがとうございます!

とっても励みになります!


毎週月曜・水曜・金曜に更新しています。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ