第5話 義妹たちとお買い物
それは、ある休日の日だった。
「あら、どこにもないわ」
「どうしたんですか?お母さん」
「・・・圭太君にお母さんって言われると嬉しいわね」
「・・・まだ恥ずかしさはありますが」
家族になって、最初は「優里さん」と呼んでいたが、こっちから歩んで行って距離を縮めようと思い、最近は「お母さん」と呼ぶようにした。
初めて呼んだときは、めっちゃ泣かれてしまい父さんとアワアワしたのを思い出す。
ちなみに、義妹たちは父さんの事を「お父さん(幸)」「パパ(真菜)」と呼んでいる(その際、顔がデレデレしていて、はたから見ると俺もこんな表情をしているのかと戦慄してしまった)。
「じゃなくて、何か探しているんですか?」
「あら、そうだったわ。実は今日の夕飯用にシチューを作ろうと思ったんだけどね。牛乳がちょうど切れていたのよ」
「なら、俺が買ってきましょうか?」
「・・・いいの?」
「別に大丈夫ですよ。今日は一日家にいますから」
「じゃあお願いするね」
ということで、足りない材料を買いに行こうと玄関に向かおうとした時だった。
「にぃに!!どこに行くの?」
「今からスーパーにおつかいだよ」
「まなもいく!!」
と昼寝から起きてきた真菜が目ざとく俺を見つけて、一緒に買い物に行くと言ってきたのだ。
「こ~~らっ!!圭太君は夜ご飯の買い物をしてくれるのよ。遊びに行くのとは違うのよ」
「うぅ~~~~。まなもてつだう」
「わたしもいっしょにいきたい」
「幸まで」
なんと大人しい幸も一緒に手伝うと言ってきたのだ。これには優里さんも驚いていた。
「おにいちゃんといっしょにおつかいがしたい」
「・・・わかったわ。ごめんなさいね圭太君」
「別に構わないから大丈夫だよ」
ということで、やったーーと喜んでいる義妹たちに、
「2人とも、一緒にお使いするから外着に着替えてね」
「うん」
「わかった!!」
着替えが完了した義妹たちとお使いに出発するのだった。
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スーパーはマンションから歩いて10分で着く。ちなみにマンションは5階建てで俺たちが住んでいるのは3階だ。
俺を義妹たちが挟んで手をつないで歩きながら、今日のおつかいについて話した。
「今日は今から牛乳を買うからね」
「ぎゅうにゅうだけなの?」
「うん。夜ご飯はシチューだよ」
「やったーー!!まなシチューだいすき」
「真菜はスーパーに着いたら、大きな声を出さないようにね。周りの人の迷惑になるからね」
「は~~~い」
「わたしもしずかにしてる」
「幸はえらいな」
「あっ・・・えへへ」
「ゆきずるい!!まなも」
と2人の頭をなでつつ、スーパーに向かうのだった。