第3話 親友との会話
「俊彦さん。再婚したんだ」
「あぁ。・・・メールで送っていなかったか?」
「スマン。間違えて消してしまった」
「何で消すんだよ!!」
「ここのところ、ずっとお誘いのメールがきてたからそれと同じかと思ってな」
「モテるのも大変だな」
「そう思ってねえくせに」
父さんの再婚が決まった次の日の学校昼休みに、俺は親友の大田原春樹と駄弁っていた。
「っというか、女性が苦手なお前が良く許したな?」
「優里さんはあの人と違って優しい雰囲気だし、父さんと同じで相手が浮気していたんだと」
「・・・なるほどな。それなら大丈夫だな」
春樹は俺の過去を知っている。小学生の時の母親の浮気現場の目撃や、中学校の嘘告白で俺が笑いものにされたこと、それで俺自身が女性を信じることができないことも全部知っていて、俺に付き添ってくれている。本当に自慢の親友だ。
「はぁーー」
「溜息出てんな」
「いい人なんだよ。優里さんは。けど、俺自身がまだ疑っているのに自己嫌悪に陥ってな」
「お前の過去が過去だからな。仕方ないんじゃないか?」
「・・・それに」
「それに?」
「義妹たちに嫌われたくないんだよ」
「・・・えっ?妹できたのか?」
「優里さんの連れ子だよ」
ここで、俺に義妹ができたことを話した。双子の4歳で俺をお兄ちゃんと慕ってくれている妹たちを。
「なるほどな。それでメロメロになったと」
「あれはメロメロになる」
「女性が苦手なお前が」
「幼女は世界を救うんだよ」
「・・・ロリコンになっていないか?ケイ」
確かに、このままいけばロリコン一直線かもしれない。けど、
「『お兄ちゃん』って満面の笑みで言われればな」
「・・・完全にノックアウトしてるじゃねえか」
「あの子たちのためなら俺は修羅にもなれる」
「なるななるな」
と会話をしながら、俺たちは昼を過ごすのだった。
お昼が終わり、教室に戻ってくると、
「昼はどこ行ってたんだ?圭太」
「春樹と2人で飯だよ。伸二」
「そういえば小学からの仲だったよな」
「あぁ。そうだ」
こいつは橋口伸二。高校に入学して仲良くなった男だ。陽キャに見せかけた陰キャであり、中学時代にいじめにあったことで、俺と意気投合している。
「次は何だっけかなぁ」
「次は国語だが、大丈夫か?」
「なにがだよ?」
「寝ずに授業を受けれるのか?」
「・・・ダイジョウブカナ」
当然、この後の国語の授業で寝たのが先生にバレて怒られたのはお約束だ。頑張れよ伸二!!