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止まった時の部屋であなたと二人

作者: 最上 みつ

止まった魔物の猛攻、聞こえなくなった人の悲鳴、時が止まった部屋に私は呼び出された。

「また、私に会いに来たのね」

「呼んだのはあんただろ?」

私の問いかけを無視して彼女は微笑みを浮かべ頬赤らめる。

いつもそうだ、どんな時でもどんな場所でも私は名も知らぬ、教えてくれぬ彼女に呼び出され共に茶を飲む。

“外で何が起きていようとも“



「今日はとてもぼろぼろな服を着てきたのね」

「もっとましな時に呼び出してくれればキレイな服を着ていたんだがな」

「ボロボロなあなたも素敵よ」

「そう言ってくれるのは有り難いのだが、この格好じゃ茶も飲めない、だから服をかりれないか?」

「それもそうね⋯でもごめんなさい、ここには女性用の服しかないの⋯あなたにそういう癖があればいいのだけど⋯どうかしら?」

私は怪訝な表情を浮かべ首を横にふった

「そう⋯少し残念ね」


・/


彼女が茶を入れるのを遠目で見つつ、私は今までの事を簡易的に振り返っていた。

この奇妙な関係が始まってもう1年になる、初め私はただ旅路を歩いていた、すると風に、大地の振動、ほのかな太陽の匂い、そして雑音、すべてが止まった、何が起きたのか分からなかった。

ただ呆然としていると後ろに引っ張られる感覚があり、目を開けると彼女がいた、肩を出した黒色のドレスに丁寧に手入れされた黒髪のロン毛、そしてどこまでも澄んだ青色の目、この時恐怖と魅惑の感情が混ざった何とも形容しがたい魔物が私の心に巣をはっている、そしてそんな私の感情を知ってか知らぬか、呆けた表情を浮かべている私の顔をじっと見つめて――

「いらっしゃい」

そう彼女は私に微笑みかけた、それから何度も何度も何度も!ここに私は来た⋯そして当たり前だが彼女の美貌は今もかわ――

「そんなに熱い視線を向けられると顔が熱くなってしまいます///」

見すぎた

「私の顔になにかついていますか?」

グイッと彼女が顔を近づける

「それとも⋯」

「ただの考え事だ!」

「考え事⋯⋯まっ///」

「違う!」

「ふふ」

彼女が目を細めて笑い、手を叩くと目の前に丁寧に配置された茶と茶菓子が現れた

「最近フレーバーを増やしたの、口にあえばよいのだけど⋯」

「俺は貧乏舌だからどんな味でも口にあう」

そう言い茶を一口飲む

「そう、良かった⋯そしたら、はい」

彼女が私の口元に茶菓子を持ってくる

「今日もか⋯」

「あーん、ほら口を開けて?」

「なぁどうして毎回これをするんだ?必要ないと思うが⋯」

「茶菓子はこうして食べたほうが美味しく感じるのよ?」

嘘つけ⋯

「さぁ腕が疲れてきたわ、早く食べてくれないかしら?」

彼女のウルルとした瞳を見て、茶菓子の端を噛み一気に口の奥へ入れる

「どう?美味しい?」

「ほいしい(美味しい)」

そう言うと彼女はにこやかに笑った

「そしたら、貴方の番よ」

餌を待つ雛鳥のように彼女が口を開けて待っている⋯

茶菓子をそっと持ち、唾液でシットリとしている彼女の唇に触れた時

「あーん」

チクッとした痛みが指先から広がる

「痛ッ」

彼女の口に入った指を抜くと少し血が流れていくのが見える

「あら、ごめんなさい、少し噛じゃいました」

「(食べるの)下手すぎだ」

「ふふ」

「その傷残しておいてね、消したら⋯ね?」

「消したらどうなるんだ?」

「さぁ、どうなるのかしら」

幸せな時間だ、だがこの時代、魔女は生きることが禁忌とされている。

そして、その魔女とつるむ俺は⋯考えれば考えるほど深い鎖が私を覆い尽くす


・)


「おう!お前さん!無事だったか!」

「えぇ、なんとか」

えっと、この人は⋯

「なんだ?こいつは誰だって顔してんな、戦闘が始まった時にあんたの右後ろにいたやつだよ、覚えてねぇか?」

気持ち悪いくらいに察しがいいし、右後ろの人とか覚えてるわけ無いだろ

「あ、あぁそうだったのですね、すみません覚えてなくて」

「あぁ~いやぁいいんだいいんだ、俺なんてなぁ俺なんて覚えてないよなぁ」

なんだこいつ気持ちわりい

「でも!くよくよしててもしょうがなねぇ!復旧作業だ!復旧作業だ!」

切り替えはやッ!気持ち悪ッ!

だが確かに彼の言う通り復旧作業を手伝わなくては、辺りには大量の魔物の死体に負傷者に焼き野原、半壊や全壊の家⋯あまりにも悲惨的な“戦場“だ

「ん?おい、お前さん、その指の傷どうした?蛇獣魔にでも噛まれたか?噛まれたんなら毒が入ってるかもしれねぇから治したろうか?」

「あ、いえこれは⋯ほんとうになんでもないので――は?」

「どした?そんな呆けた顔して」

「治す?あんたが?」

「そうだ、俺はこの村の聖職者がからな、治癒魔法なら持って来いだぞ!」

今までいろいろな所を旅してきたが、こんな筋肉ゴリゴリな聖職者は初めて見た、気持ち悪

「そ、そうなのか、だけど遠慮するよ、この傷は治さなくていい気持ちだけ貰っておくよ」

「そうか、ならいいんだが」

そう言うと男は私に背を向け

「さぁ!お前さん!まずは手負いの負傷者から運ぶぞ!」

といった⋯


・/


「あんたで最後だな」

「ありがとう⋯運んでもらってわるいんだが⋯水をくれないか?」

「ほらこれを飲め」

そう言い腰にある水筒を彼の口にそっと持っていき飲ませる

「すまない、ありがとう⋯」

「いいんだ、ゆっくり休め」

「いやーお前さん人の介護がうまいなぁ!」

後ろからドカンと来る声に体をビクつかせる

「あ、あんたか、この人で最後だ」

「おぉ!そうか助かる!そしたら――」

男は自身の腰にある袋から小さな石を取り出し負傷者を囲うように置いていった

「物珍しそうな表情してるな、教えてやろう、この石はな「治癒石だろ」」

「お、おぉよく知ってるな」

「だがその石は人一人に対して使うものだ」

聖職者の男がニッと笑いこう告げた

「だが俺はこう使う」

ふんッ!という掛け声とともに治癒石が光り自分含む負傷者たちの傷が癒えていった

「どうだ、すごいだろう」

両手を腰に置いてニッと笑う男がこちらをみている、正直気持ち悪い

「なるほど、“ゴリ押し”か⋯」

通りで聖職者なのにこんなバカみたいな筋肉がついているわけだ

「そう!筋肉!筋肉こそ皆を癒やすことのできる唯一の魔法だ!」

筋肉に脳みそを吸われてしまったみたいだ⋯

「最近は小型の魔物くらいなら素手でいけるぞ!」

「あんたもう戦士になれよ!」


/


「皆の物!集まったな!それじゃあ、共に戦い散っていった戦士たちに乾杯!」

あちらこちらで樽ビールをぶつけ合う音が聞こえる

「いいんですか?よそ者の俺が村の宴なんかに参加して」

「いいんだいいんだ!戦い復旧作業を手伝ってくれた礼だ!それに宴は多いほうが酒がうまいからな!はーはははは!!」

ビールを一口飲み一息ついていると肩にドンッと重さが加わった。

「よぉ~旅の人、あんた最前線でて戦ってたなぁ~?すげぇな!」

「いや、そうでもないよ⋯」

「いやいやいや、それは謙虚すぎるってやつだぜ、俺見てたぜぇ、あんたのあの剣さばき、四方八方からくる魔物の攻撃をさぁ~こうぉしゅぱぱって!相当いい剣技を教わったみたいだが、あんたどこから来たんだい?」

この質問には慣れたと思ったが聞かれれば心がズキンと痛む

「たまたまそう見えただけだよ、だって私は西のさらに西にある小さな村から来たんですから」

「はぁーそうなのか、そしたらあんたは、あのーなんだ⋯あれだ、えっとぉ⋯」

ガタッという音と共に話しかけてきた男は眠ってしまった


・/


宴を始めて皆に酔いがまわってきた時、この場に聖職者の男がいないことに気がついた

「あれ、聖職者さんは?」

「ほんとだ、いねえなあ、まあ多分裏で風にでもあたってんだろうよ」

「そうですか、そしたら少し見てきます」

裏口をでて、月明かりと夜風に当たりながら辺りを見渡すと、物陰に隠れた聖職者さんを見つけた。

「あ、聖職者さ――」

声をかけようとすると鼻を啜る音と嗚咽する声が聞こえた

「――して父ちゃんを置いて先に逝ってしまったんだ⋯あの時俺がもっと見ていれば⋯う、うっうう⋯」

今回の戦闘で彼の息子は⋯

「!!」

「そこに誰かおるな、怒りはせぬ出てきてくれないか?」

「す、すまない、盗み聞きする気はなかったんだ、ただ、たまたま⋯」

「言わなくても分かっておる、旅の者」

「心を抉るような質問で申し訳無いが、もしかしてあんたの息子は⋯」

「あぁ、そうだ、あの戦いで死んじまった⋯初の戦闘だった、これでやっと僕もみんなの役に立てると言って、気が高ぶりすぎたんだろうな、周りが見えてなかったんだろうな、俺が目を離した時にはすでに胸を突かれて一息だった」

「⋯すまない、意地の悪い質問だったな」

「いいんだ、喉まで来た言葉を飲み込むのはお前さんも辛いだろう、それに」

一瞬こちらをジッと見て、下を向き、また顔を上げて

「お前さんも俺も、村の連中も生き残った、確かにこの傷は一生消えることはないが、今は生き残った奴らを祝おう」

「さぁ!飲み直しだ!旅の者もついてこい!今日は陽がまた登るまで飲むぞ!」

この聖職者は一体どこまでお人好しなんだ

「あぁ、それとな旅の者、俺の名前はアミーエ・ギセクだ!」

「よろしくな、ギセク!」


・)


陽の光に瞼をくすぐられ朝が来たのだと感じるが瞼が重くて起きれそうにないと――

「2回戦目かいしじゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!」

会場を揺らさんばかりの声が響いた。

というか揺れた。

「は?」

「「「「「うおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!」」」」

何故か先程まで眠っていた村人たちが各々盃を交わしている

「おぉ!旅の者起きたか!」

「お陰様で⋯で、これは?」

「昨日言っただろう、陽がまた登るまで飲むぞと」

「比喩表現じゃなかったのか⋯」

「男に二言はない!有言実行!さぁ!飲むぞ!」

⋯悪夢?


・/


頭が痛い、肝臓が悲鳴を上げているのが手に取るように分かる、最悪の体調だ

「おぉ!起きたか!旅の者!いい朝だな!」

バケモノかこいつ、村で1番飲んでいたのになぜこうも意気揚々としているんだ。

「こういう日には――」

「ん?どうしたギセク?」

あぁ⋯今か、今なのか最悪だ――

「久しぶりね、何日振りかしら」

「2日振りだ」

「ふふ、そんなあなたは二日酔いのようね」

「言わなきゃよかった⋯」

「ほら水よ、飲んで」

「あ、ありがとう」

茶以外の飲み物もだせたんだな⋯

「随分と楽しんできたようね、こんなに酔ったあなたは初めてよ」

「まぁね⋯」

じっと彼女が私の指を見つめる

「どうかしたのか?」

「いいえ、ただ指の傷を消してないのが嬉しくて」

「消すも何も、これ消えないだろ」

「ふふ、正解」

これで喜ぶ彼女の内心が全く読めず少し恐怖を感じる

「それと良い人と出会ったのね、今度紹介して欲しいくらいだわ」

「機会があったら⋯⋯でれるのか?」

彼女は微笑みを浮かべたまま首を傾げる。

「この部屋から出ることが出来るのか?」

「えぇ、出来るわよ」

この1年この部屋から出ている所を見たことないからてっきり出ることが不可能だと思っていたが、そうじゃなかったのか。

「そしたらどうして今までこの部屋に居たんだ?」

「どうしてもなにも、貴方がこの部屋に来るから居ただけよ?」

「来る?私が?私に時を止める能力はないぞ?」

「えぇ、そうね、貴方にはそんな能力はないわよ、呼んでるのは私、で、私が会いに行こうとしたら貴方がいつもこっちに来るものだから⋯」

「そう⋯だったのか、だとしたら最初に呼んだ時この部屋に入れたんだ?」

「貴方が扉の前になにかあると出られないのだけど、あの時貴方ずっと扉の前に立っているからまどろっこしくなって⋯」

彼女の見たことない困惑した表情を見れて嬉しい気持ちと、今まで勿体ない事をしていたという悔しい気持ちが争っている

「そ、そしたら、なぜ今まで名を教えてくれなかったんだ?」

「名前?そうねぇ⋯それは黙っておくわ」

「どうして⋯」

「今じゃない、そう言っとくわ」

どういうことだ?

「今日はこのくらいにしておこうかしら、次会える時を楽しみにしてるわ」

「ま、待って!まだ聞きたいことは――」

「――酒を飲むに限るな!」

心内が晴れず、初めに聞く言葉がこれとは頭痛が酷くなる⋯というかギセクって聖職者だよな?戦士じゃなかったよな?昼間から聖職者が酒⋯?


/


2日後の早朝――

あれから、彼女の呼びかけはまだ来ていない「今じゃやない、そう言っとくわ」この言葉が私を締め付ける、だとしたらいつなのか、名前を言うのにタイミングが必要なのか?考えれば考えるほど訳がわからなくなる。

「こんな朝早くから出ていくんだな、もう少しゆっくりして行ってもいいんじゃないか?」

村から出ようとするとギセクに呼び止められる。

「まだ居たい気持ちは山々だがこれ以上居たら別れが辛くなってしまう」

「そうか⋯なら村の皆には私から伝えておこう」

「助かるよ、それじゃあ――」

「ちょっと待ってくれ、最後に一つ質問いいか?」

「ん?大丈夫だが」

「なら聞こう⋯」

ギセクが深く息をすい、吐き出すと同時に言葉を吐いた

「中央帝国第一騎士団一番隊隊長を努めていたお前さんが、なぜ魔女なんかとつるんでいるんだ?」

全身から冷や汗が吹き出る。

「ぎ、ギセク、何を言っているんだ?中央帝国?隊長?魔女?私は西の小さな村出身のただの放浪者だぞ?」

「知らを切るのか⋯ならなぜ私が治療した時に使った石が治癒石だと分かった」

「それはたまたま昔本で読んだからで⋯」

「治癒石は!世界に数冊しかない古代の文研に書かれている石だぞ?その本を小さな村出身の人が読めるわけがないだろ!」

「それにお前さんのあの剣技に迷うことのない人命救助に手際の良い介護⋯他は居ないな、お前さんの名は!“慈愛の剣聖ドラゴンハート・ルーヴェン!”そうだろ?」

「知っていたのか⋯そうだ私がドラゴンハート・ルーヴェンだ⋯だがどうして私が魔女と共にしていると分かった」

「その指の傷だよ、あの時私の最大限の治癒魔法を使った時ルーヴェルもその場に居たのに、癒えるのは体の傷だけで指の傷は癒えやしない、どういう時どういった理由でつくかは知らんが、それは魔女の刻印以外あり得ない」

魔女の刻印⋯?これが?

「ルーヴェンも知っているとは思うが、古代、魔女が戦争の為に魔物を産み落とし当時一定数は倒されたが、大多数は生き残り今もその名残が俺達を世界を蝕んでいる、そしてその名残で俺の息子は⋯」

「本当にすまないと思っている⋯」

「何も言うなッ!俺の息子が死んだのもこの村が傷ついたのも⋯」

ギセクの両手から血が流れ出てくる、だがその痛みを気にしないほどギセクは苦しんでいる。

その心の痛みが辛いほど伝わってくる。

そうだ、俺は世界を蝕みギセクの息子を殺した側に⋯

その時ギセクが両手を大きく天に上げ叫んだ。

「だが!ルーヴェル!この村が傷ついたのも、俺の息子が死んだのもお前さんのせいじゃない!むしろお前さんはこの村を守ってくれた、命をかけるほどでもない、ただ立ち寄っただけのこんな村に命をかけてくれた!お前さんは誰よりも前に立ち、誰よりも魔物を倒し、そして誰よりも人を救った⋯他の誰にもできないことをやり遂げた!本当に感謝している⋯」

「⋯!だがギセク!俺は魔女と!」

「だからどうした、その魔女が本当に魔物を産み落としたのか?本当にその魔女が諸悪の根源なのか?分からないだろ?ただ魔女が禁忌とされる時代にお前さんは魔女とつるんだだけだ⋯だからルーヴェル、俺はお前さんもその魔女も恨みはしない」

目頭が熱くなり、大粒の雫が頬を伝い地へと落ち、ギセクの胸に身を預ける。

「ありがとう、ありがとうギセク⋯本当になんとお礼を言って良いか⋯」

「いいんだルーヴェル気にするな、どうだ?これで心の鎖は外れただろう?」

「お陰様でな⋯」

「そして、ルーヴェルこの場で起きたこと、俺が知った事は誰にも言わない、だから気にせず行け」

その言葉に再度涙が溢れる。



「達者でな―!ルーヴェル!」

「ギセクも酒飲みすぎるなよー!」

大きく手を振り村とギセクに別れを告げる、そして1歩踏み出した時――

世界が静まり返り、止まった時の部屋に呼ばれた。

「あら今回も貴方から来てくれたのね、嬉しいわ」

いつもの高揚した気分とは裏腹に私は彼女に確かめなければならないことがある

「この世界に魔物を産み落としたのはあんたなのか?黒の魔女」

一瞬の沈黙が流れ、彼女は重々しい口を開けた

「もしそうだと言ったら、どうする?」

「もし!そうなら俺はあんたの首を切り、友の為散っていった儚き命の為にこの命を持って謝罪するのみだ」

「そう⋯素晴らしい覚悟ね、でもその覚悟は必要ないわ」

そう言うと、彼女は私の指をちらりと見てニヤリと笑い、徐ろに時計を手に取って声を上げた。

「私は“時を操る時の魔女「アリス」よ”」

今⋯名前を⋯

「そして貴方が言っているのは“魔女”ね魔物を操る”魔女“そして彼女はもう⋯まぁいいわ、その顔を見るに色々聞きたいことがありそうね、特別に全てに答えてあげる」

そう言い彼女アリスはまたニヤリと笑った。

「なぜあんたは俺を選んだ、なぜ今名前を言った、この刻印はなんなんだ!」

困惑が困惑を呼び聞きたいことを全て口から出てしまう。

「一気に質問するのね⋯まぁ一つずつ答えていきましょうか」

「そしたら1つ目、私時を操るだけあって視たいと思った相手の過去未来すべてが視えるの、そうして暇を潰していたのだけどやっぱり飽きが来ちゃうのよね、その時中央帝国から逃げるように走る貴方を見つけてね、それがただの一般兵なら多分視てなかったわでも、それが一番隊の隊長なら話は別よ、そんなの視るしかないじゃない?でも貴方のは何故か見れなかった、それが貴方を選んだきっかけよ」

私のだけ見れなかった?なぜ?

「2つ目、その魔女の刻印は相手との相性を示しているの、もしその刻印が5日位内に消えたら、その人は合わないってこと、でも反対に消えなければ⋯」

「俺はアリスと⋯」

「そうよ、でも言わせないで、お互いに感情をもう知ってるのよ?そこに言葉は不要でしょう?」

先ほどの疑問とは裏腹に、顔と胸が熱くなる。

「そして最後の3つ目、なぜ今名前を言ったのか、この答えは至ってシンプルよ、これからの生活でお互いに名を知らないのは不便じゃない?そうでしょ?ルーヴェル」

「確かにそうだな、アリス――」

呼びなれない言葉に言葉が濁る。

「ふふ、どうかしら貴方のほしい答えは埋まったかしら?」

「いや、今ので聞きたいのがもう一つ増えた」

「強欲ね」

一瞬顔をムッとさせ質問をする。

「さっき言った俺だけ過去未来が視えなかったというのはどういうことなんだ?」

「うーん⋯こればっかりは私も分からなくて、ただの考察になるのだけど、多分私がズルをさせたくなかったんでしょうね、相性のあう人との未来を視れば一瞬で見つかるし、その先の未来つまらなくなってしまうわ、だから無意識に私が貴方の物語を視れなくしたのでしょうね」

「無意識に自分を制御するとは、魔女は分からないものだな」

「でも私も貴方のことは分からないわ、だからこれから、貴方は私のことを、私は貴方のことを深く知っていきましょう?」

互いに笑顔を浮かべ、ニコリと笑った

「どうかしら?これで埋まったかしら?」

「あぁ、十分だ」

「そしたら」

言葉がなくなると同時に”世界“に戻される

「次はどこに行きましょうか?」

剣聖の放浪者さん――。


初めて恋愛ものを書いて下手な文章ですが、お手にとっていただき嬉しい限りです。

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