ある宗教団体からの依頼?
ここからが書きたいと思っていた本編となります。
まだまだリハビリなのでおかしな書き方、表現等があるかとは思いますが、温かい目で読んでください。
まさに、空想(で書いた)科学(っぽい)小説となります。
誤字脱字の指摘、感想は大歓迎です。よろしくお願いいたします。
「ではよろしくお願いいたします」
若干ふくよかな、そして少し年配の女性は姿勢を正しながらも深く頭を下げた。
中身が入っていないかのような薄い白封筒が差し出される。
「これはかなり難しい依頼ですね?」
中の小切手の金額欄が白紙であるのことを確認した俺は尋ねる。
「はい、世界広しといえどもこの件をお願いできるのは金剛寺様しかいらっしゃいません」
まっすぐに俺をみつめながら答える。
「依頼内容の詳細について伺いましょう」
「私共はスメラギノミコト様を敬い、私共の永遠の幸せと世界人類の恒久的平和を願う有志による女性のみの集まりです。しかし、開祖であるスメラギノミコト様はご高齢となられました。我々の思いを次の世代につながなければなりません」
ふむ、女性のみの宗教団体の跡継ぎ問題か?俺の研究が役に立つとは思えないが・・・
「それで、次の宗主はどなたになられるのですか? その方の選考に私がお役に立てるとは思えないし、
白紙の小切手なんていただけませんが」
「はい、選考をするのなら金剛寺様にお願いはいたしません。教団の未来を左右……いえ、未来を切り開くためのお願いがしたいのです」
「まさか? 開祖のクローンを依頼したいと?」
「『はい』でもあり、『いいえ』でもあります」
これは簡単ではないかもしれない、俺は気を引き締める。
「つまり、クローンではあるが、ただのクローンではない?」
「おっしゃるとおりです。女性ばかりの集団ではいつか私たちの思いが潰えてしまいます」
「たしかに。では、男性を入会させますか?」
「いいえ、私たちは男に対して嫌な思い出しかありません。まっぴらごめんです!」
「では、依頼の内容とは何ですか・・・」
白紙の小切手は魅力的だが、面倒事はごめんだ。もう断ってもよいかな?
「スメラギノミコト様を若返らせると共に、私共が赤子から育て上げた世俗にまみれていない男性のスメラギノミコト様を崇め奉りたいのです」
iPS細胞はどんな細胞にも分化できる。現状、ヒトでは成功していないが、理論上、生殖細胞である卵子と精子にも分化可能である。遺伝情報は変わっていないから、卵子と精子が受精した場合は厳密にはクローンとは違うが、ほぼ本人だと言えよう。現在の日本では倫理上の問題や人権の問題から受精卵をつくることは認められていない。
そして、開祖のクローンを作る依頼はできないから、若返らせる依頼なのか。
確かに、そんな依頼は俺にしかできないだろう。倫理上の問題をクリアしないと世間を巻んだ大問題となる。しかし、彼女らにとってクローンは開祖が若返っただけであり、同一人物として取り扱われるのだろう。また、男性化した開祖は赤子から育て上げる、つまり、社会に出さず、自分たちの中でのみ存在を許すということだ。
しかも、彼女たちの結束はかなり固く男性の存在が漏れることはない。
いよいよこれは俺の仕事の話しになってきたか?
お読みいただき、ありがとうございました。