部下なのか? モルモットなのか?
新しい実験素材はなんでしょう?
想定外で新しい部下(実験用モルモットかもしれない?)を作ることになってしまった。
どんな部下が良いか悩む。そもそも男にするのか女にするのか。
人間での成果を調べるのにそんなに時間を掛けてられないのだが……。
うん? 受精卵から作るから時間が掛かるんだよな?
クローンなら? 1年で完成するな。
しかも俺のクローンなら検体Lがそのまま使える!
早速、俺のクローンを作り始めた。
先日作成した受精卵から核を除去し、俺の細胞から取り出した核を移植する。
それを俺特製の培養液で培養し、ある程度の大きさになったら培養カプセルに移して成長させる。
その時に俺の部下であることを教育すれば安心だ。
それに、万が一の際には影武者にもできるしな……。
培養カプセルの中でCL体は順調に成長している。
教育も順調でカネルと同じように忠誠度は高くなりそうだ。
遺伝子情報は俺と同じだが、カネルと同じように肉体改造を施してある。
勿論、骨格もチタン合金製だ。とは言っても、全骨格を完全にチタン合金に置き替えた訳ではない。
人間の体は各組織が絶妙なバランスで成り立っている。
もし、骨細胞・骨芽細胞・破骨細胞が体内になければ……それらから放出されるメッセージ物質がなければ……人体は機能不全に陥る。
全身骨格がアダマンチウム合金の某ヒーローは何かしらの方法でその辺を補っているのだろう。
カネルもそうだが、彼の頭部はチタン合金で頭蓋骨を作り、外側内側を骨細胞で覆っている。
首から下はチタン合金で所々穴が開いた骨格を作り、内部を空洞にして、その内部に骨細胞が増殖できるようにしてある。
これでチタン合金の頑強さを持ちながらも、人間としての機能を維持できる。
カプセル内に浮かぶ姿は背格好は俺と同じだが、常人の3倍の密度の筋繊維がEMSで更に鍛え上げられ、頑強な肉体は見かけによらず体重が120~140㎏はありそうだ。
こいつなら日本刀を親指でへし折るアイツとやりあえそうだ。
ヤバい!
これだけの重量物だと俺一人ではカプセルから出せないかもしれない……。
誕生がカネルの留学後で助かった……。
検体Lは成長させる培養液から機能を維持するための培養液に入れ替えてあり、このまま培養液を維持すれば数年は機能を保持できる。
◆◆◆
カネルが帰ってきた!
「ご主人様~! 帰ってきたでふ!」
「全然変わっていないんだが?」
「失礼したでふ。ご主人様、ただいま戻りましたでふ。長い間ご不便をおかけしたでふ」
綺麗なお辞儀で挨拶をするカネル、何を学んだのか追々確認できるだろう。
「早速だがカネル、手伝って欲しいことがある」
「なんでもやるでふ」
CL体の入ったカプセルを指して、
「突然だが、もう1人増える。彼をカプセルから出すのを手伝って欲しい」
「承知したでふ。男性なんでふね」
「カネルは見た目重視で誕生させたが、彼は機能優先で作成したんだ」
カネルは彼の体重をものともせずにストレッチャーに移動させた。
お読みいただきありがとうございました。
誤字・脱字の指摘、感想は大歓迎です。




