移動した先は?
次回から新しい依頼がはじまります。
まさに空想(で書いている)科学(っぽい)小説ですので、温かい気持ちで読んでください。
誤字脱字の指摘、感想は大歓迎です。
いままでいた「ホテル」でも真夜中以外はルームサービスで好きなものが食べられたし、レストランに行けば凝った料理を食べることができた。勿論、選手用の食堂で食べるのも自由だ。洗濯は専用の籠に入れておけば翌日の夕方には出来上がってきた。ソフトドリンクの自動販売機も格安であった。
俺としては天国のような暮らしだった。
ところがだ、「ハイクラス」では部屋の広さから違う。まあ、この部屋が特別なんだろうが、400㎡はありそうだ。
ルームサービスは24時間対応だし、前日の昼までにリクエストしておくと翌日の夕食は出張寿司職人が目の前で握ってくれる。牛の丸焼きでもシュールストレミングでも対応してくれるようだ。
飲み物もルームサービスで注文可能だ。ロマネコンティだろうが山崎50年物だろうが飲み放題!当然全部無料だ。お酒は好きではないから、その恩恵には与れないのだが・・・。
「ハイクラス」の地下には娼館もあるらしい。それこそ下は特殊性癖から上はマニアックな年齢まで、細見から豊満、人種も様々、ホビットクラスから2m越えまでどんな要求にも応えられる。病気の心配もなく、気に入った相手が了承すれば身受けも可能らしい。
ヘタレな俺が利用することはないだろう。
回らないお寿司は久しぶりだ、今度頼んでみよう。ケバブやトルコアイスも楽しそうだ。
ランドリーサービスは随時依頼出来て、頼んでから3時間後には出来上がる。特急で頼めば1時間以内も可能らしい。
さすが外国の使節団用施設だ。
それよりはダルマン氏が気になる。
「ハイクラス」から出て重量上げのトレーニングルームに行く。
ん?あれがダルマン氏か?遠目から見るとかなりのウエイトでトレーニングしているようだ。
いや、それが目的だったけどさ。
ダルマン氏が休憩に入り、俺を見かけると走ってきた。
「大老師! ありがとうございました!おかげさまで世界新記録を狙えます。すでに超えましたがね」
うん「老師」に「大」がついてる。彼にしてみれば一族の繁栄を与えてくれた人間だ。どんなに感謝してもし足りないだろう。俺にしてみれば依頼をこなしたに過ぎないのだが。
非公式ながら、すでに階級が上の記録も塗り替えたとのこと。今はその上の記録を狙っている。
今度のオリンピックが楽しみだ。
ここまで成果が出ていると今回の依頼は達成されたも同じだ。
次の仕事を考えよう。
独裁者の指示だろうが、セカンデュー氏から専属契約を持ち掛けられた。
今回は成功したから良いが、選手が記録を出せなかったときに責任を取らされるのはごめんだ。
俺の仕事は完璧だからだ。トレーナーやコーチのミスまで俺のせいにされてはかなわない。
丁重にお断りさせていただいた。
再度、個別の依頼を受けることはやぶさかではないが、次の仕事が入っているからと伝えた。
今回の依頼は世界記録がとれる品質の品物を納品すること。オリンピックまでは付き合えない。
「ハイクラス」の生活は名残惜しいが、早々に失礼して次の仕事に向かうことにした。
読んでいただきありがとうございました。