待ち合わせの相手は……?
カネルの出国審査は大丈夫なのか?
待ち合わせ当日、カネルとホテルのビュッフェで様々な料理を食べながら味覚の経験を積んでいた。
ラウンジで食後の紅茶を楽しんでいると、サングラスをかけた黒スーツ姿のいかついスキンヘッド男が目の前にやってきた。
「金剛寺様でいらっしゃいますか?」
「そうですが……」
「クロードと申します。お迎えにあがりました、ご案内いたします」
下の名前はヴァンダムではないよな……?
ラウンジの清算をしようとすると、
「それもこちらで対応させていただきます」
もう二、三杯飲んでおくんだった、などとセコイことを考えながらついてゆく。
男は受付を回り込んで、人気のない廊下からエレベーターで地下に降りた。
エレベーターから降りると、そこは落ち着いた装飾がされながらも高級感漂うエントランスが広がっており、目の前には青いナンバープレートがついた黒塗りのベンツが停まっていた。
VIP用の隠れエントランスなのか?
ホテルのボーイがドアを開けてくれたので乗り込むと、俺を見倣ってカネルも無事に乗り込むことができた。
いかつい男が運転席に乗り込み、
「金剛寺様、飛行機までの間お寛ぎください、また、何かあればお申し付けください。アルコールは好まれないと伺っているので、ジュースやお茶、ミネラルウォーターを準備させていただきました」
車内の冷蔵庫を開けると高そうなボトルに入ったお茶や日本産果物の100%ジュース、ミネラルウォーターもガス入り、ガス無しと豊富に揃っていた。
早速、カネルにマスカットオブアレキサンドリアの果汁と炭酸水を8:2の割合でグラスに注いでもらい、カネルにも飲むよう促す。
素晴らしい香りと爽やかさが口に拡がり気分もリフレッシュする。
おっと、カネルの出国審査が控えていた。
「クロードさん、彼女の出国審査なんですが……」
「ご安心下さい、これは大使用の車で外交特権を行使できます。出国審査や手荷物検査なく、このまま飛行機のそばまでご案内いたします」
WOW、権力万歳!
初めて権力という物の恩恵に与った……、これで一気に問題解決だ。
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