やっぱり本人の遺伝子は馴染みが良い?
少しずつでも日々更新していくつもりですが、数日の間が空くことがあります。
リハビリなので温かい目で読んでください。
まさに空想(で書いてる)科学(っぽい)小説なのでご容赦ください。
誤字脱字の指摘、感想はよろしくお願いいたします。
「先生!ダルマンは順調ですぞ!」
ここのナンバー2であるセカンデュー氏が俺の部屋にやってきた。しかも、先生呼びだ。
元が同じ遺伝子だけあって移植であっても拒否反応とかもなく、通常の移植より馴染みが良いらしい。
きっと俺特製の培養液のおかげだろう。これならトレーニングも予定より早く始められるようだ。
ダルマン氏の食事は、必要なカロリーと栄養が完全に調整されたドリンクと咀嚼機能が衰えないように適度な歯ごたえのある固形物が同時に与えられる。睡眠もベッドではなく、人体と同じ比重の液体が入ったカプセルに浮かんだまま無重力状態で回復を早めるそうだ。カプセルの中は空気の成分も通常より酸素濃度を高めて新陳代謝を促進し、最適な成分比に調整されている。
美味しい食事や柔らかなベッドとは無縁の生活だ。
しかし、オリンピックで金メダルを取れば、メイド付きの豪邸や高級車が与えられ、政府高官としての立場が約束されている。しかも死ぬまで税金は免除で高給が保証されている。ここが独裁国家だからこその待遇だろう。
この国の平均所得は低く、国民の生活は豊かではない。だからこそ一発逆転を狙ってスポーツに人生を賭けるのだ。
そもそもこの強化委員会に選抜されるだけでも狭き門なのだ。それこそ選抜されれば死に物狂いになるくらいに。
重量挙げは筋力だけ鍛えればよいというものではない。
瞬発力、バランス、柔軟性が必要である。それらをうまく使う運動神経も必要だ。
当然、ダルマン氏にも優秀なコーチが付き、生活の全てがトレーニングである。
常人なら悲鳴を上げそうなレベルの角度に全身で柔軟性を鍛えている。
しかし、泣き言ひとつ言わずに訓練を受け入れている。
政府の高官になれば親族に便宜をはかり、一族で繁栄することができる。贅沢な環境で親孝行もできる。泣き言なんて言っていられないのだろう。これから生まれてくる甥っ子や姪っ子に水で薄めたヤギのミルクを与えなくてもよくなる。食料事情が良くないため、母親の母乳も出が悪く一歳を待たずにに亡くなる子も少なくない。
セカンデュー氏が来てから一週間後、再度セカンデュー氏がこの部屋を訪れた。
お読みいただきありがとうございました。