下着屋に入ってみた?
下着屋さんに入ったことはありますか?
カネルの成長に気を取られて着るものをすっかり忘れていた……。
一応、仕事着としてのメイド服は準備していたが、下着や普段着が一つもない……。
最悪、俺のTシャツを着せれば何とかなるが、下着は……。
しょうがない、全ての予定を放り出して街まで買い物に行くか。
ちょっと手間だが、クルーザーと小型船を乗り継いでちょっと離れた港町まで行った。
客の少なそうな個人の下着店に入り、おばちゃんに
「この子の下着をいくつか見繕って欲しい。普段着の上下で1週間分の着替え、予算は10万で頼む」
「あら~ ありがとうね~ 見違えるようにしてあげるわ~ ちょっと時間貰っても良い?」
おばちゃんがニコニコしてTシャツにパーカー姿のカネルを奥の試着室に案内する。
「ああ、2~3時間あればよいか?」
「そうね~」
「ちょっと買い物してくるから、その頃にまた来る」
カネルはちょっと不安そうだが、おばちゃんの笑顔と迫力に大人しくしているしかないようだ。
これからは新鮮食材があっても上手く料理してくれるかもしれない。
スーパーで新鮮な野菜や肉、刺身を仕入れて、他にも必要な食材を買う。
カネルに瓶の牛乳とコーヒー牛乳、フルーツ牛乳も買う。
時間を見計らって下着店に戻った。
「見て~ 別人みたいでしょ~?」
おばちゃんが誇らしげに試着室のカーテンを開ける。
そこには別人かと見違えるほどのプロポーションになったカネルが居た。
(俺が来るのを試着室の中でずっと待ってたのか?)
「ちょうどよかったわ~ 最後の試着をしてたのよ~。もしよければ今試着しているのはそのまま着ていく~?」
カネルが微笑んで頷く。
普段使い以外にも華やかなものを2つ3つ揃えてくれたようだ。
「カネルはどうだ?気にいったのはあったか?」
「はい……色々教えていただいたでふ……」
ふむ、女性用の下着は付け方とかいろいろあるんだろうな……。
おばちゃんに感謝も込めて10万円を支払って店を出る。
カネルは下着が入った袋を大事に抱きしめて俺の後ろをついてくる。
顔がにやけて足が地についてないかのようだ。
俺が両手に荷物をぶら下げてることも気づいてないようだ。
苦労して船を乗り継いで島にある研究室に戻った。
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