いきなり混浴デビュー?
大人に初めてお風呂の入り方を教えるって……
「まず脱衣所で衣服を脱ぐ」
「はい!」
カネルは貫頭衣だから一瞬で脱ぎ終わる。
お風呂の使い方を教えるために俺もTシャツとショートパンツになる。
「ご主人様はなぜ服を着てるでふか?お風呂には服を着たまま入るでふか?」
「今日はカネルに入り方を教えるだけだからな」
「初めてのお風呂なので、正しい入り方を教えてほしいでふ……」
確かに、初めてのお風呂は正しい入り方の手本を示さないとダメか……。
覚悟を決めて俺も脱いだ。
「まずは、湯船からお湯を汲んで体に掛ける」
「はい!」
カネルにお湯を掛ける。一瞬、ビクッとしたが大人しく掛けられている。
「次にタオルに石鹸をつけて泡立てて、体を洗う」
「お手本を見せてほしいでふ」
タオルに石鹸をつけて泡立ててからカネルに渡すといきなり力任せに腕をこすり始めた。
あっという間に肌に血が滲む。
「ストップ! そんなに力任せに擦ったら痛いだろ。優しく擦れば大丈夫だから」
「ご主人様、お手本をお願いするでふ」
カネルからタオルを受取り、腕や背中を優しく洗ってやる。
「一度、全身をお願いするでふ」
初めてお風呂に入るカネルはメイドではあるが娘のような存在でもある。
最初くらいは洗ってやるか……。脚を洗い、向かい合って前面を洗ってやる。
カネルがなんだか嬉しそうだ。やっぱり、体を洗うとさっぱりするよな。
髪の毛もかなりの長さがあるが、丁寧に洗ってやる。やはり、頭皮についた培養液はきれいにふき取れてないな……。それが確認できて良かった。
最後に顔は自分で洗わせる。いきなり力任せにはしないだろう。
ただし、力一杯目を閉じているので後で目の周りを洗ってやろう。
「さて、石鹸を流すぞ」
カネルが頷く。
まずは湯船からお湯をすくって頭から掛けて泡を流す。その後、シャワーで顔を奇麗に洗い流してから髪の毛を丁寧に濯いでやる。生まれたばかりで艶々の美しい髪の毛は指通りも滑らかだ。
全身を奇麗に流したところでさっきの擦り過ぎたところが沁みていそうだ。
このまま湯船に浸かると初めての入浴がトラウマになるかもしれない。そのあたりの水気をタオルで拭き取り、脱衣所から持ってきた防水パッドを貼ってやる。
さっき洗い切れていない目の周りを濡らしたタオルで丁寧に拭き取ってやる。
俺自身ももう一度掛湯をして一緒に湯船に入る。
カネルは水に浮かない。チタン合金の骨格に加えて筋密度が常人の3倍だからだ。一応、表面を柔らかな脂肪で覆われているので一見すると気が付かない。
「ふう~ ご主人様~ あのカプセルの中のように気持ちがよいでふ~」
防水パッドのおかげで擦り過ぎたところが沁みることはないらしい。
「そうだな、これがお風呂だ。さっぱりするだろ?」
「はい! 体がほぐれるでふ~」
「ただし、長く入り過ぎると体温が上がり過ぎてのぼせるから、ほどほどにな」
さて、適度に温まったし、上がるか……
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