あくまでもそっくりさん?
更新頻度を毎日から数日おきに変更したいと思います。
ある程度まとまってから読んでいただいても結構です。
俺は某アイドルによく似た素材の細胞を保管庫の中から取り出す。
ここからは俺が確立した手順で細胞から核を取り出す。それを核を取り除いた受精卵に注入することで完全なクローンを作り出すことができる。しかし、その際に遺伝子にちょっとした細工を施す。元の素材がメイドとしての適性を備えているとは限らないからな。
性格は後天的な教育で何とか補える部分もあるが、生来の気質というものは変えられないことも多い。
一番の問題は世界のセレブや日本の芸能界では見た目について何らかの外科的メンテナンスを行っている人間が多いのだ。歌手の一部にはそういったメンテナンスを行っていない人間もいるが、歌手とは言え見た目が大事なのか、ほとんどが処置済である。だから、メンテナンス済の状態をみて素材を選ぶとちょっと違った出来上がりとなる。
勿論、メンテナンスなしでも絶世の美男美女は存在する。
今回の素材も違った出来上がりとなれば知り合いの闇医者B・Jに頼んでメンテナスしてもらおう。
過去に何回かセレブのクローンを納品した際に、メンテナンスなしの状態とイメージが違い過ぎることが何度もあった。その際にB・Jに依頼してメンテナンスをしてもらったことがあるのだ。
B・Jは保険として、まずは手を加えた受精卵が成長してくれないと始まらない。
今回は胎児から成長させるのではなく、クローンなのでいきなり成人体として製造する。
単なる肉塊に見えた物に様々な臓器らしきものが形作られてゆく。今回骨格はチタンで形成したものを使いそこに筋肉組織が付着し、覆われてゆく。見ていてもあまり気持ちの良いものではないので、適宜経過観察をする程度にとどめておく。
理科室にある人体模型がリアルに生きている状態を見たい者など余程の物好きだけだからな。
筋肉組織が皮膚で覆われてくるとある程度見られるような状態となる。
ここまでで約1か月、完全クローンだからこその成長速度だ。
今回は16歳程度の成長にしておくか。
培養カプセルの中で呼吸用のマスクを着け、栄養豊富な完全食をチューブを通じて経口補給する。
同時に頭に電極を着けて教育を行う。今回は主人である俺の命令には絶対服従、その他一般常識から研究に必要な事項まであらゆることを詰め込む。
俺の体力が落ちたのかカプセルから移し替えるときにちょっと手間取ってしまった。
筋力も必要なのでEMSを装着しトレーニングを行う。疲労物質は培養液に排出され速やかに循環し除去される。
そしてさらに1か月が経ち、培養カプセルの中には某アイドルにそっくりな美しい少女が浮かんでいた。
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