ミコの役目とは?
男性を嫌う教団においてなぜミコを必要としたのか?
庭にきた五条院と共に引き続きお茶を飲む。
「もしかして、男性を嫌う教団において皇皇子を求めたのは……」
「はい、私共は暴力的で女性を人とも思わない男に女性としての人権を踏みにじられた者の集まりです。しかし、長年教団を運営してきてわかったことは女性のみで運営には限界があるということです」
「だからこそ、穏やかで女性に敬意を払う男性が教団に必要だったと?」
「はい。しかも開祖の血筋にあたられ、私共で教育をイチから施すことができれば穏やかで理想的な、しかも私共の尊敬を集めることができる男性となられるでしょう」
(いきなり女性を敵対視しないように基礎知識はインプットしたつもりだけど、余計なお世話だったかもしれない……)
背中に一筋の汗が流れる。
お茶を一口すすり、五条院に頭を下げる。
「すまない。余計なお世話かと思ったが、女性を敵視しないように教育と最低限の知識は入力しておいた」
「変な知識は入れてないでしょうね?」
「一応、『男性』と『女性』がいること、『女性』は暖かい存在であること、あとは『言語』くらいのはずだ」
「『女性』を暖かい存在との知識を入れたことは良いですね」
「他の個体を見たことがないまま成長したマウスが初めて見た雌を食い殺した事例があったからな、念のためだ」
「それでなのですね。初めて見たはずの私に縋るように貪りついてきたのは」
「体は大きいが、まだ新生児と同じだから母性を求めるのかもしれないな。成人形態まで成長させてからの納品は初めてだから、まだ知見が不足している」
「はい。私共が愛情込めてお世話させていただきます」
「それでどうして『男性』を必要として、どのような役目を与えるつもりなのだ?」
五条院がなにか合図をしたのか、庭にいた侍女たちがいつの間にかいなくなっていた。
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