♂の目覚め?
いよいよ♂の出番です
誤字脱字の指摘、感想は大歓迎です。
更に4か月が経ち彼の身長は180㎝近くまで成長した。筋肉質で体重は80㎏程だろうか?髪の毛は身長と同じくらいある。外見上、股間は正常に機能することを示している。肛門付近に培養液の回収口があり、排便されても速やかに回収され培養液の汚染を防いでいる。
やはり肌は白磁のように滑らかで、髪質も艶やかだ。元が女性の遺伝子を使用したからなのか顔も中性的で美しい。古代ギリシャ人の様な髭面だが剃れば一層美しさが際立つだろう。納品時にどうするか五条院に確認が必要だろう。数か月前に五条院が♂の生育状況を確認に来たが、ひと目見て心魅かれたようで言葉を失っていた。
♂の納品は一人だけだ。男に酷い目にあった女性ばかりの集団に何人も男性がいるのは受け入れがたいのかもしれない。今回は開祖の代替わりが可能となったが、女性だけの集団ではいずれ後継者問題が起こることを危惧しての保険なのかもしれない。俺の推測が正しければの話だが……。
そろそろ彼も納品の頃合いかもしれない。五条院に確認したところ、髭はそのままが良いとのことであった。カプセルから培養液を排出し、扉を開ける。呼吸用マスクやEМSの電極や各種計測装置を外し、体の培養液をふき取る。貫頭衣を着せ苦労の末ストレッチャーに移す。1号から5号まで五人も作業をすれば手順は慣れるが、小柄な彼女たちと違い、俺よりも少し大きいのでかなり苦労した。
ストレッチャーからベッドに引きずりながら並行移動させる。念のため酸素吸入マスクをつけ、計測装置を取り付ける。
ほどなく意識を取り戻して手足を動かしている。
「あ、う、うぉ~お」
発声もとりあえずはできる様だ。慎重に様子をうかがう。もし、暴れる様なら鎮静剤を打たなければならない。
しばらく様子をうかがっていたが、暴れるようなこともなく瞬きを繰り返して天井を見つめている。
十数分後、体を起こそうとするので介助する。カプセルの中から俺を見ていたのか、俺のことは仲間だと思っているようだ。親だと思っているのかもしれない。カプセルに向けて声掛けをしていたからだろうか?大人しく俺の指示に従っている。彼のお腹がなった、カプセルから出ると体力を消耗するのか?とりあえず重湯をスプーンで口元に運ぶ。最初は少しこぼし、飲み込むのに慣れないのか咽た。
教団で名前を付けるだろうから俺からは特に名前を呼ばない。
お読みいただきありがとうございました。




