ついてる?ついてない?
今回はちょっと短めです。
どうやって男性化開祖を作り出すのか?
本来、人間はすべてが「女性」として生まれる。
「男性」は精巣から男性ホルモンを分泌し、体が反応することにより男性化するのだ。しかし、分泌されたアンドロゲンに体が反応しないと、男性化せずに本来の姿である「女性」として身体が作られてしまう。外性器は女性のものだが体内に子宮や卵巣はなく、性腺としては精巣がある。そんな人たちがごく少数ではあるが一定数存在する。
結論から言うと、開祖は何の問題もなかった……アンドロゲン不応症(AIS)である一点を除いては。
何年か前のオリンピックでも話題になったが、女子ボクシングに外見は完全に女性(外性器も)なのに染色体はXYの選手が出場していた。彼女は本来男性として生まれるはずだったが、AISだったのだ。
開祖も同様に、外見は女性であったがXYの染色体を持っていた。iPS細胞から作られた精子にはY染色体が存在するのだ、これなら男性化した開祖を作り出すことも可能かもしれない。この前の胎児の外見は全てが女性ではあったが、検査でAISを発症しているものを排除しないといけない。納品前に気付いて良かった。
問題はY染色体を持ちながらAISを発症しない胎児を選別しなければならないことだ。
その前にY染色体を持った精子を選別するところから始める。
普通は男女比が1対1で生まれるためX精子とY精子に機能差はないと考えられている。しかし、自然免疫を作動させる受容体の7番と8番(TLR7/8)はX精子にしか存在しないのだ。そこでTLR7/8を活性化させる薬剤レキシモドを加えた精子を特殊環境下に置くことで精子が上部と下部に分かれる。この上部に集まった精子からは9割以上がオスになるのだ。
この方法で分離した精子を受精させ、受精卵を成長させる。胎児になったところでAISを発症していないか調べる。胎児についていることを確認するために覗き込めばよいのだ。
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