納品時の状態は……?
こんな感じで進んでいきます。
温かい目で読んでください。
誤字脱字の指摘、感想いただければ嬉しいです。
「まさか、ここまで来てキャンセルではないですよね?」
「実は……それぞれに個体差があるのなら、ある程度納品されたモノの成長を見てから選別をしてもよろしいでしょうか?」
「複数を納品するということですか?」
「ええ」
「それは構いませんが、選別から漏れた品物はどうされるのですか?引き取りはしてませんよ?」
「教団として密かに生を全うしていただきます」
いくら選別から漏れたとはいえ開祖そのものともいえる存在だ、処分するなんてことはないか……
「わかりました。では、こちらで5名を選んで納品しましょう」
いざとなれば影武者としても使えるだろうしな。
とりあえず五条院女史は品物の品質には納得したようだ。
もともと、報酬はかなりの多額だが、納品数が増えた分だけ割増してもよいだろう。
「ところで、どんな状態で納品しますか?」
「どんな状態……と言いますと?」
「納品時の品物の大きさですね。SサイズなのかLサイズなのか?」
「代替わりまでの時間が十分にあるわけではないのでLサイズでお願いします。」
「大きさはLですが、中身はまっさらですよ?」
「はい、私共でイチから育て上げます」
「では、20年物の納品でよろしいでしょうか?」
「18年物でお願いいたします。教育を終えたころに開祖が最も神々しかったお姿で降臨されるようお願いしたいのです」
まだ胎児の状態から18歳くらいまで成長させなければならない。勿論、特殊培養液で効率よく成長するが1年半は掛かるだろう。
来た時と同じようにアイマスクとヘッドホンを装着した五条院をクルーザーと小型船で草原まで送る。
ヘッドホンとアイマスクを外し、「ここでよいですか?」俺の言葉使いも少し砕けてきた。
「はい、そのうち迎えがくるでしょう」
迎えが来るまで五条院の昔話を聞いた。若いころ男性にかなり酷い目にあわされたようだ、詳細はある程度飛ばして聞かされたが、他の信者も同じような経験をしてきたらしい。生きる希望を失っていた時に開祖が手を差し伸べてくれたおかげで今の五条院がある。それゆえ開祖への忠誠心は五条院が教団で一番だと自負しているとのこと、だからこそ教団の裏のトップにいるのだろう。
五条院を見送って研究室に戻り、6か月目くらいの大きさになった胎児をみる。
やはり、全部女性だ。男性があれば問題は解決だったのに……。
成長の悪いものを適宜間引くため、段々と数が減って管理が楽になる。
1か月で1歳分程成長していく、このスピードでも納品まで1年半か、気長に取り組むしかないな。月に1日くらいなら日帰り温泉にも行けるだろう。月に2回街まで買い物に行くペースは変わらない、自炊もして栄養バランスを考えた食事を摂る。
並行して男性化の問題を頭の片隅で考えながら眠りについた。
お読みいただきありがとうございました。