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iPSってチートだよね?  作者: 一秋
ここからが本編!
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大きな問題?

今回は若干説明回となっています。

あまり科学に馴染みのない方でもわかるようにしたいと思っています。


誤字脱字の指摘、感想は大歓迎です。

 現在、オスのマウスから作成したiPS細胞を使って卵子を作り、その卵子を別のオスの精子と受精させて子供が生まれた成果は出ている。それならば卵子を作り出したオスの精子と受精させれば母親、父親が同じマウスという子マウスが生まれるだろう。しかも、オスはX染色体とY染色体を持つため生まれる子の性別はオスとメスの両方が考えられる。


 では、メスはどうか?メスはX染色体が二つあり、オスの生誕に必要なY染色体がないのだ。故にメスから精子が作れたとしても、X染色体しかないはずだ。それを卵子に受精させてもメスしか生まれないのではないか?

 しかも、メスのマウスから精子を作ったという報告はまだないのでどうなるかは不明だ。


 今回の依頼について言えば、開祖のクローンを作るのは十分に可能性がある。では男性版開祖は生まれることができるのか?


 現状、日本ではiPS細胞から人間の生殖細胞を作ることまでは認められている。国際学会では受精卵の作成までが認められているのだ。しかし、そこから先の研究は知見が不足している。 

 勿論、違反しても罰則はないから、どこかのマッドサイエンティストが作っているかもしれない。

 マウスではオス同士から子供が生まれた。人間でできない理由はない。理論上メス同士からも子供は生まれる。


 まずは開祖のクローンから作り始めるか。


 人間の細胞は大きく体細胞と生殖細胞に分けられる。体細胞は一旦、分化するとそれ以上の新たな分化はしない。生殖細胞は受精後、様々な体細胞に分化してゆく。

 前回の依頼のように体細胞を作るのはそれほど難しくない。しかし、生殖細胞は生殖細胞を作るだけではだめだ。それが受精し、成長し、問題なく機能しなければならない。難易度は各段に高くなる。


 開祖の()()()()()()クローンを作るにはiPS細胞は必要ない。核を取り除いた受精卵に開祖の細胞から取り出した遺伝子を注入して成長させればよいのだ。

 勿論、保険としてその方法でも受精卵を作成しておく。


 この場合、外見上は完全に同一の人物が出来上がる。しかし、記憶まではコピー出来ない。赤子で誕生させるのか、いきなり成人体で誕生させるのか?どちらにしてもその後の教育が重要だ。


 しかし、それでは今以上の開祖にはならない。より欠点を失くしたクローンを作りたい。ゆえにiPS細胞から生殖細胞を作りたいのだ。


 iPS細胞の株を詳しくみてゆく。やはり、同じ条件で培養しても微妙に差が出てくる。中の遺伝情報は同じなのに遺伝子が働くタイミングにズレが生じるからだろうか?

 その中でも活発に活動している株を選び、様々な試薬を加える。培地のpHを微妙に変えたり、温度を変えて分化を促す。狙い通りの遺伝子を発現する条件を模索する。

 これからは地道な研究作業だ。


 だが、今が一番楽しい。大学院生だった頃、ほとんど家に帰らず研究に打ち込んでいた情熱を思い出す。

 昔と違い、心身が疲労困憊状態になったら成果につながらないことを知っている。勿論、長時間集中しなければだめなことも知っている。そうしてこそ、気分転換で他のことをしているときに新たな発想が浮かぶことがあるからだ。


 カロリーブロックで必要な栄養を補給する。満腹になると胃に血液が集中し頭の働きが鈍るからな。

 コーヒーのカフェインで眠気を覚ます。


 やはり、そう簡単にはいかせてくれないか……。

お読みいただきありがとうございました。


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