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今宵のコタツは酒に飢えておる!

このお話、フィクションです。

そして昭和や平成、令和を扱ってますが、時代的な事実とかは適当です。

まぁ、楽しく飲みながら読んでください!乾杯!(未成年はノンアルで!)

するめは居酒屋でお酒を楽しんでいたが、会計時にお財布を見て悲鳴を上げた。


「これ、私のお金全部お酒になってるんじゃない?」


会計を終えた帰り道、ぐびぐびがため息をつく。


「だから言っただろ。次の研究資金が出るまで我慢しろよ。」


「我慢?そんなの無理だよ!」


するめはふてくされ、ぐうたら号の布団に潜り込んだ。布団の中で「どうしてこんなことに……」と小さな声で呟きながら、目には涙が浮かぶ。やがて、すすり泣きが布団越しに聞こえ始める。


「お酒……もう居酒屋には行けないなんて……私の人生、終わりだよぉ……。」


ぐびぐびがその声を聞きつけて、呆れ顔で布団を覗き込む。


「お前、大げさすぎるだろ。」


「だって、だって……!」するめは涙目のまま顔を上げ、「お酒は人生の楽しみ。娯楽を司るんだよ!」と訴える。


ぐびぐびは、なおもすすり泣くするめを見つめながら困惑していた。


「……ほんとにそこまで落ち込むことかよ。」


するめは布団の中で丸くなり、絶望したように呟く。


「だって、お酒が飲めないなんて、人生の半分を失うようなもんじゃん……。私が、私である理由がなくなっちゃう……!ひっく・・・ひっく・・・お酒ぇ・・・」


その声は、どこか遠くを見つめるような儚さを漂わせ、さらに小さなすすり泣きが布団越しに聞こえる。


ぐびぐびはしばらく無言でその姿を見つめ、呆れたようにため息をついた。


「そんなに悲しいなら、家で飲めばいいんじゃない?」


するめは一瞬きょとんとしたあと、目を輝かせた。


「そっか……家で飲めばいいんだ!そっかそっか、家で飲めばいいじゃん!出物腫れ物所構わずっていうもんね!酒だってそうだよ!」


ぐびぐびはその勢いに水を差すように言った。


「いや、それはちょっと違う気がするぞ。」」


「今は丁度冬!冬と言えば鍋!鍋と言えばお酒!でも鍋を楽しむならコタツも必要だよね!」


するめの中で、理想の冬酒ライフが一気に妄想として膨らむ。食べる係と飲む係を独占する自分が鍋をつつきながらコタツでぬくぬくする光景が鮮明に浮かび上がる。


「これは……最高すぎる!ぐびぐび、手伝って!」


「何をだよ。」


「鍋とコタツを探すんだよ!」


鍋とコタツの調達作戦


「鍋とコタツさえあれば、私の酒ライフは完璧になる!」と豪語するするめ。

しかし、そのふたつをどこで手に入れるかが問題だった。


「どこで買えばいいんだ?」


「普通に店で探せばいいだろ」とぐびぐびが言うが、するめは「普通に探すのが面倒だからぐびぐびがやって!」と丸投げ気味。


とりあえず近所の電器店に向かうことにした。店内ではコタツが並んでいるが、するめはサイズやデザインを吟味し始める。


「このコタツ、可愛いけど足が細すぎない?鍋を置いたらバランス崩れそう!」


「細さとかそんな関係あるか?」とぐびぐびがツッコむが、するめは「でも安定感は重要だよ!」と譲らない。


次にリサイクルショップへ足を運ぶ。するめは店内を見渡しながら、真剣な顔で呟いた。


「昭和のコタツはね……四角いんだよ!絶対だよ!これは外せないよね!」


「いや、昭和の時代にもコタツは丸いやつとかもあるだろ」とぐびぐびが言うと、するめは声を張り上げた。


「丸いやつなんて邪道!こたつは四角が主流!四角じゃないとダメなんだよ!丸型は軟弱!コタツを舐めないで!」


中古品コーナーで状態の良い四角いコタツを見つけたするめは、目を輝かせながら即決で購入。


「四角いコタツで時代を感じるんだ。これが酒飲みの醍醐味なんだよ!粋ってやつだよ!」


「はいはい」とぐびぐびが軽く流そうとするが、するめは顔を真っ赤にしてさらに力説する。


「これがわからないやつは酒飲みとして失格だよ!そんなやつは酒を呑む資格なんてないんだ!」


ぐびぐびは少し呆れた顔をしながら、目の前のコタツを指差す。


「はいはい、わかったよ。それで、これでいいんだろ?」


すると、するめは急に機嫌を直して布団の手触りを確かめる。


「これなら鍋も置けるし、布団の質感も悪くない!しかも値段もお得!」


ぐびぐびは肩をすくめてため息をつく。


「お前、最初からここに来れば良かったんじゃないか?」


さらに鍋探しに移る。するめはホームセンターの調理器具売り場で真剣な表情を浮かべていた。


「土鍋にするか、ステンレス鍋にするか……。」


「どっちでもいいだろ」と呆れるぐびぐびに、「土鍋は風情があっていいけど、ステンレスはメンテが楽なんだよ!」と説明する。


最終的に耐久性の高いステンレス鍋を選び、満足げに会計を済ませたするめ。


「これで準備は万全!」


「準備はいいけど、片付けるのもお前だからな?」


「え?片付けもぐびぐびがやるんだよ。私は飲む係だよ?」と即座に言い返され、ぐびぐびはため息をついた。


鍋の具材を買いに


鍋とコタツを手に入れたあと、二人はスーパーに向かうことにした。するめが手にした買い物かごはすでにやる気満々だ。


「さて、何鍋にしようか。」


ぐびぐびが問いかけると、するめは即答する。


「しゃぶしゃぶ!」


「また贅沢なこと言うな。牛肉なんか買ったら研究資金がなくなるぞ。」


「じゃあ豚肉でいいよ。豚しゃぶだって美味しいんだから!」


するめは肉売り場で豚肉のパックを手に取り、値段を比較し始める。


「こっちの特売品にしよう。美味しいお酒を飲むためには、ここで節約するのが賢いよね!」


ぐびぐびは苦笑しながら野菜コーナーへ向かう。


「鍋には白菜ときのこも必要だな。」


「豆腐も忘れないで!」するめは追加で豆腐をカゴに入れながら、満足げに頷く。「これで完璧な鍋になるよ!」


買い物を終えたするめが、調味料売り場で足を止める。


「あ、ポン酢も買わなきゃ。しゃぶしゃぶにはこれがないと始まらないでしょ!」


「そうだな、ポン酢があれば味が引き締まるな。」


するめは嬉しそうにポン酢を手に取り、ぐびぐびと一緒にレジへ向かった。


二人は買い物を終え、意気揚々とぐうたら号に戻った。




鍋の準備を押し付ける


ぐうたら号に戻ると、するめはさっそくコタツを設置。電源を入れるとじんわりとした温かさに感動する。


「これだよ……これが冬の幸せ!」


そのままコタツに入ったするめは、鍋の準備を全てぐびぐびに丸投げする。


「ぐびぐびは切る係と煮る係ね。私は食べる係と飲む係だから!」


「それ、何もしてないってことじゃないか!」


「お酒を飲むのは大事な役目だよ!」


ぐびぐびが文句を言いながらも鍋の準備を進める間、するめはテレビを見ながら熱燗を飲み始める。


至福の鍋タイム


鍋が完成し、するめは大はしゃぎで乾杯。


「これが冬の幸せ……!鍋をつつきながらお酒を飲む、この贅沢よ!」


さらにテレビをつけると、昭和の歌謡曲特集が流れ始める。


「ちょっと見てよ、ぐびぐび!この音楽、昭和の香りがたっぷりでたまらないね!」


歌手が熱唱するステージに合わせて、するめは鍋をつつきながらリズムを取り始める。


「白菜ってこんなに甘かったっけ?しかも、歌謡曲と合わせると甘さが倍増する気がする!」


次にしゃぶしゃぶした豚肉をポン酢につけて食べ、一口飲む。


「このさっぱり感!歌の切なさと一緒に味わうと、これまた格別だよ!」


豆腐を口に運びながら、昭和の名曲のサビに合わせて手拍子をする。


「つるんとした豆腐の食感が、このメロディにぴったりだね!」


きのこを食べるたびに「この旨味、鍋と歌謡曲とお酒の三重奏だよ!」と感動し、ますますテレビに釘付けになるするめ。


ぐびぐびは、するめが具材を褒めながらお酒を楽しみ、さらに歌謡曲まで満喫している姿を見て呆れながら言った。


「せめてお皿くらい片付けろよ……。」


「いやいや、飲む係が片付けなんてしたら世界のバランスが崩れるよ!」


「どんなバランスだよ……。」」



鍋とコタツに満足したするめは、そのままコタツで寝落ちしてしまう。ぐびぐびが片付けを終えたころ、するめがもぞもぞと布団をかぶり直して一言。


「ねえ、次はどんな鍋がいいかな……?」


ぐびぐびはため息をつきながら、次の鍋の準備を考えるのであった。

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