資金難!歌番組と昭和の罠
このお話、フィクションです。
そして昭和や平成、令和を扱ってますが、時代的な事実とかは適当です。
まぁ、楽しく飲みながら読んでください!乾杯!(未成年はノンアルで!)
するめはカラオケの失敗を振り返り、意気込んでいた。
「やっぱり曲を知るためには、歌番組を見るのが一番だよね!」
そう決心し、早速テレビを手に入れるために街に繰り出した。
ポケットには昭和時代の初期資金として持ってきた現金が入っている。
しかし、するめは途中で思い出した。
「そういえば、このお金……ほとんど酒代に使っちゃったんだよね。」
隣でぐびぐびがため息をつく。
「お前、ちょっと考えなしすぎだろ。残った金でどうやってテレビ買うんだ?」
「でも、昭和の人たちは歌番組を見て曲を覚えたんでしょ?私もそれがやりたいんだよ!」
「無理なもんは無理だろうが……」
ぐびぐびが呆れた顔をする中、するめは街を歩きながら作戦を練り始めた。
テレビを探し求めて
するめとぐびぐびは、商店街にある電器店を訪れた。ブラウン管テレビがショーウィンドウに並び、そのレトロなフォルムに目を輝かせるするめ。
「これ、いいなあ!」
「でも、いくらするんだ?」
店主に値段を尋ねると、予想以上の金額が返ってきた。するめはショックを受けて顔を覆う。
「そんなに高いなんて……!」
「そりゃそうさ。このテレビは最新型なんだ。こんな値段で売ってるのはうちくらいだぜ。」
するめはしばらく店内をウロウロした後、小さな中古テレビに目を留めた。
「これなら……どうにかならないかな?」
「そっちは型落ちだから、だいぶ安くしてやるよ。」
それでも資金が足りないことに気づき、するめは悩み込む。
「これ以上どうやってお金を工面すればいいの?」
すると、ぐびぐびが口を開いた。
「おい、するめ。エターナルコンストラクトに研究資金を頼んでみたらどうだ?俺たち、遊びに来てるんじゃなくて一応『研究』してるんだからな。」
「それだ!」
するめの目が輝く。
「テレビを買うお金だけじゃなくて、今後の生活費も必要だもんね。ちゃんと成果を出してるってアピールすれば、きっと追加の研究資金をもらえるはず!」
しかし、その前に店主が笑顔で声をかけてきた。
「嬢ちゃん、そこまで一生懸命なら、この中古テレビを一時的に貸してやろうか?金ができたら買い取るって形でいいよ。」
するめは目を丸くする。
「本当ですか!?そんなことしてもらっちゃっていいんですか?」
「いやいや、ちゃんと使ってくれるんなら悪くない話だよ。大事にしてくれよな。」
するめは感激しながらお辞儀をした。
こうして、彼女は借りたテレビで歌番組を見て曲を覚える準備を始めた
借り物のテレビを手に入れたするめは、毎晩のように歌番組を楽しんでいた。
昭和の歌手たちの情熱やアイドルの華やかさに心を奪われ、次々と名曲を覚えていく。
だが、その裏では深刻な問題が迫っていた。
「ぐびぐび……ヤバい。」
「何がヤバいんだよ?」
するめはため息をつきながら、財布をひっくり返した。そこには数枚の小銭しか残っていない。
「これしかない。お酒もテレビも買ったら、もう何も残ってないんだよ……。」
ぐびぐびは腹を叩きながら笑った。
「お前、計画性ゼロだな!どうすんだよ、生活費もないじゃねえか。」
「だから……エターナルコンストラクトに追加の研究資金をお願いしたんだけど……。」
すると、タイムマシン「ぐうたら号」の通信端末がピピピと鳴った。するめが画面を開くと、管理AIユニフォーマーの冷徹な声が響く。
「愚怠するめ、研究資金申請の結果を伝える。」
「やった!追加の資金だね!」
しかし、画面に映し出されたのは「却下」の二文字だった。
「却下!?なんで!?」
するめが驚いて叫ぶと、ユニフォーマーは淡々と説明を続ける。
「提出されたレポートの内容は小学生低学年レベルの感想文に等しい。これでは研究と呼べない。」
「感想文!?そんなことないもん!ちゃんと書いたのに!」
「『昭和の歌は楽しいです。また聞きたいです。』という記述をもとに評価した結果、科学的な分析が不足していると判断した。」
ぐびぐびは思わず吹き出しながら肩を叩いた。
「お前、それただの感想だぞ!」
「うるさいな!これから頑張ればいいでしょ!」
「改善を求む。資金追加は次回以降のレポート提出次第とする。」
そう言い残し、ユニフォーマーとの通信は切れた。
JHKの訪問と追い討ち
そんな中、部屋の扉をノックする音が響いた。
「誰だろう?」
するめが扉を開けると、そこにはスーツ姿の男性が立っていた。
「こんにちは。JHKの受信契約についてお伺いに来ました。」
「受信契約?」
するめは首を傾げたが、ぐびぐびが慌てて引っ張る。
「おい、するめ!それはヤバいやつだ!テレビ持ってると受信料ってのを払わされるぞ!」
「え!?お金払うの!?」
「その通りです。」男性は微笑みながら説明を始めた。
「JHKは公共放送ですので、テレビをお持ちの方は受信契約が義務となっております。」
「義務って……そんなお金ないんだけど!」
するめが焦ると、男性は淡々と続ける。
「契約を結ばない場合、最終的には法的措置を取ることもございます。」
「法的措置!?ぐびぐび、どうしよう!」
「いや、俺に聞くな!お前がテレビ欲しいって言ったんだろ!」
結局、男性に丁寧に断りを入れることでその場をしのいだものの、するめの資金不足はますます深刻になった。
「もうどうしたらいいの……?」
涙目で呟くするめを見かねたぐびぐびが、真面目な顔で言う。
「だからよ、ちゃんとしたレポート書けって。」
「うーん、でも難しいなぁ。昭和の歌番組のことを分析とか言われても……。」
するめは眉をひそめて考え込んだ。そしてふと思いつく。
「そうだ!誰かに代わりに書いてもらえばいいんじゃない?」
「どういうことだ?」
「昭和の人たちって、いろんな情報に詳しい人が多いでしょ?ちょっと歌番組とか歌手について聞いて、それをレポートにまとめてもらうの!」
ぐびぐびは目を丸くする。
「お前、それ研究じゃなくて丸投げじゃねえか。」
「いいの!『知識は共有することで発展する』って言うし!」
するめは早速、商店街の人たちに話を聞く計画を立て始めた。
電器店の店主や近くのスナックのママに話を聞けば、昭和の歌番組について詳しいエピソードを教えてもらえるはずだ。
するめは早速、商店街の人々に昭和の歌番組について話を聞くことにした。
電器店の店主やスナックのママ、八百屋のおばさんまで、いろいろな人に声をかける。
まず向かったのは、テレビを貸してくれた電器店の店主。
「おじさん、歌番組ってどんなのが流行ってるの?」
「そうだなぁ……『ザ・ヒットパレード』なんかは有名だな。でも、歌番組だけじゃなくて、ラジオでもたくさんの曲が流れてるぞ。」
するめはその場でメモを取る。
「へぇ!ラジオとテレビが共存してるんだね。もっと詳しく教えて!」
「いやいや、詳しいことは自分で調べてくれよ。俺も仕事があるんだから。」
次に訪れたのは、近くのスナックのママ。
「ママ!歌番組でどんな曲が人気なの?」
「そうねぇ、ピンク・レディーとかキャンディーズとか、アイドルが流行してるわね。振り付けもみんなで真似して踊ってるわ。」
「すごい!でも、それって文化的にどういう影響を与えるの?」
「文化的に……?それはちょっとわからないわね。」
するめは少し肩を落としながら、八百屋のおばさんにも声をかけたが、歌番組のことよりも野菜の話が中心になってしまった。
「このきゅうり、今日の特売だよ!歌番組なんてもう何十年も見てないけど、山口百恵ちゃんは美しいわねぇ!」
レポート作成の苦戦
「なんか思ったより、まとまった情報が集まらないなぁ……。」
ぐびぐびが冷ややかに言う。
「そりゃそうだろ。昭和の人たちは詳しいっちゃ詳しいけど、お前が求めてるのは研究レベルの情報だろ?」
「うーん、でもここからどうまとめればいいんだろう?」
するめは手元のメモを見ながら頭を抱える。そこには断片的な情報が羅列されているだけで、まとまった結論には程遠かった。
最後の頼みの綱
どうにか形にしようとするめは、「ぐびぐびに手伝わせる」という策に出た。
「ぐびぐび、助けてよ!」
「なんで俺が?」
「だって、河童の知恵でなんとかなるかも!」
嫌々ながらもぐびぐびがメモを眺めるが、数分後には投げ出してしまった。
「無理だな。お前、これただの雑談集だぞ。研究どころか、小学校の自由研究にもならねえよ。」
「そんなぁ!」
するめは机に突っ伏して泣き真似をするが、ぐびぐびは冷静に提案する。
「お前さ、ちゃんと自分で歌番組を観て分析しろよ。聞き込みだけでレポート作ろうなんて甘すぎるんだよ。」
「でも、それだと面倒くさいじゃん!」
「面倒くさいとか言ってる場合じゃねえだろ!金がねえって話だぞ!」
再び決意を固める
結局、するめは代行計画に失敗し、自分でレポートを書くしかないことを悟った。
「はぁ……しょうがない。ちゃんと歌番組を観て、曲や歌手のことを深掘りしてみるか。」
「そうしろ。それが研究ってもんだ。」
ぐびぐびはきゅうりをかじりながらニヤリと笑う。
テレビをつけ直し、歌番組を改めて観察し始めるするめ。歌詞や振り付け、ステージの構成などを細かくメモしながら、昭和の歌文化を真剣に学び取ろうとする姿勢を見せ始めた。
「次こそは、ちゃんとしたレポートを書いて、研究資金をもらうんだから!」