平成令和大横断!時空はしご酒大作戦
このお話は、フィクションです。
そして昭和や平成、令和を扱ってますが、時代的な事実とかは適当です。
まぁ、楽しく飲みながら読んでください!乾杯!(未成年はノンアルで!)
「するめー、そろそろ令和調査に行くんじゃなかったのか?」
ぐびぐびは甲羅を掻きながら、ソファーでだらりと横になっているするめに声をかけた。
「うーん...」
するめは布団にくるまったまま、ぼんやりとホログラム画面を眺めていた。
そこには「平成文化研究レポート」と書かれた半分も埋まっていないファイルが表示されている。
「レポート書くの面倒くさい...」
「お前ってホント...」
ぐびぐびは頭の皿を叩いて水を跳ねさせた。
「でもユニフォーマーから『令和調査を早く開始せよ』って連絡来てるだろ?」
「来てるねぇ...」
するめは鼻歌交じりで答え、布団の中でもぞもぞ動いた。
「なあ、平成のレポート書かないで令和行くのか?」
「だって書くの面倒なんだもん...あ!」
するめが突然飛び起きた。
「なに?やる気出た?」
「違うよ!思いついた!平成と令和を同時に研究すればいいんだ!」
するめの目が不気味に輝いている。
「どういうことだ?」
「ぐうたら号で平成と令和を行ったり来たりすれば、一度に両方調査できるでしょ!」
「おい、それじゃ時間軸ぐちゃぐちゃになるぞ...」
「いいの!どうせいつもぐちゃぐちゃだし!」
するめは跳ね起きて、布団を蹴飛ばした。
「それに『時代はしご酒』っていうタイトル考えたの!平成の居酒屋で一杯飲んで、令和のバーで次の一杯!そして昭和に戻って締めの一杯!完璧じゃない?」
「はしご酒だけが目的かよ...」
「文化研究よ!お酒の進化を体験する!」
するめは身支度を始め、白いオフショルダーのトップスに黒いハイネックのインナー、そして膝丈のタイトパンツを身につけた。
「ほら、準備して!出発するわよ!」
「はぁ...またろくでもない騒ぎになりそうだな...」
ぐびぐびは諦めのため息をついたが、なぜか嬉しそうだった。
◆◇◆
二人がぐうたら号に乗り込み、するめが平成の座標をセットした。
「まずは平成の...2010年くらいかな?ちょうどスマホが流行り始めた頃ね!」
「そこがはしご酒の最初か?」
「そう!その後は令和元年、最後は昭和50年代の黄金期!」
「平成→令和→昭和か...なんか変な順番だな」
「気にしない気にしない!発進!」
するめがレバーを引くと、ぐうたら号は光に包まれた。
◆◇◆
「お、到着だ」
平成の繁華街に降り立った二人。周囲は若者でにぎわい、多くの人がスマートフォンを手にしていた。
「平成の若者街!」
するめは喜んで周囲を見渡した。
「まずはあそこね!」
彼女が指差したのは、「平成名物!激安居酒屋チェーン」という看板の店だった。
「へぇ...平成はこういうチェーン店が流行ったのか」
店内に入ると、テーブルには「飲み放題2時間1980円!」というPOPが立てられていた。
「すごーい!安い!昭和の居酒屋より全然安いじゃん!」
するめは喜んで席に着くと、タッチパネルでメニューを操作し始めた。
「こういうの平成らしいよね!タッチパネルで注文するの!」
「昭和の居酒屋は店主と会話するのが楽しかったけどな...」
ぐびぐびがつぶやくと、するめは「時代の流れね!」と軽く言い、次々と料理と酒を注文した。
「よーし!まずは生ビール!平成の乾杯といったらこれでしょ!」
到着したビールでまず乾杯し、次々と料理も運ばれてきた。
「唐揚げ、ポテトフライ、枝豆...平成の定番おつまみね!」
「味はまあまあだな...安いだけに」
ぐびぐびは枝豆を皿に入れた水で洗いながら言った。
「あ、それ河童流?」
「いや、ただ綺麗にしたいだけだよ...」
「でも平成の飲み会文化って面白いよね!リーズナブルで、みんなスマホ片手に飲んで...」
周囲を見渡すと、確かに多くの客がテーブルにスマホを置き、時々画面を見ながら会話している。
「コミュニケーションの形も変わったんだな...」
ぐびぐびが感心していると、するめが突然立ち上がった。
「よし!一軒目は終了!ちょうど一合くらい飲んだし、次は令和に行くわよ!」
「え?もう?まだ10分くらいしか経ってないぞ?」
「はしご酒だもの!さっさと次行きましょ!」
するめは会計を済ませると、ぐびぐびを引っ張って外に出た。
「ちょっと人目につかない場所...」
二人は路地裏に入り、するめがぐうたら号のリモコンを操作した。
「令和、出発!」
光に包まれ、二人の姿は消えた。
◆◇◆
次に二人が現れたのは、より洗練された街並みだった。建物はよりスマートでハイテクな雰囲気を醸し出している。
「おー、これが令和か...」
ぐびぐびが感心して見回すと、人々はより小型化したデバイスを身につけ、中には眼鏡型や腕時計型のガジェットを使用している人も多かった。
「令和の最初の頃ね!2020年頃かな?」
するめは興奮気味に言った。
「あそこが今夜の二軒目!」
彼女が指差したのは、「AI Bartender Lounge(AIバーテンダー・ラウンジ)」という看板のバーだった。
「AIバーテンダー?」
「令和らしくない?早く行きましょ!」
二人が入ると、内装は近未来的でありながら温かみのあるデザイン。カウンターには人間のバーテンダーではなく、ロボットアームが設置されていた。
「いらっしゃいませ」
人間のような声がスピーカーから流れ、テーブルにはタブレットが置かれていた。
「お客様の好みを教えてください。AIがパーソナライズしたカクテルをご提案します」
「わぁ!すごい!」
するめはタブレットに情報を入力し始めた。
「甘めで、でも酸味もあって、あとは...」
入力が終わると、ロボットアームが器用に酒を混ぜ始めた。
「へぇ...」
ぐびぐびも少し感心した様子で見ていた。
「あなたも注文して!」
「俺?まあ...」
ぐびぐびも好みを入力すると、程なくして二人の前に美しいカクテルが運ばれてきた。
「『AI Future Dream(AI未来ドリーム)』と『Kappa River Whisper(河童川のささやき)』です」
ロボットの声がカクテル名を告げた。
「おおっ...見た目キレイだな」
「飲んでみて!」
二人が一口飲むと、するめは目を輝かせた。
「すごい!私の好みにぴったり!」
「これも悪くないな...」
ぐびぐびのカクテルは清涼感あふれる味わいで、頭の皿の水が喜びで少し波打った。
「令和のテクノロジーって素晴らしいわ!AIが個人の好みを分析して、こんな細かいカスタマイズができるなんて!」
するめは興奮気味に言った。
「でも、なんか平成の居酒屋とは全然違う雰囲気だな...」
「そうよね!平成はみんなでワイワイ、令和は洗練された個人体験!時代によって酒の楽しみ方も変わるのね!」
するめは続けて別のカクテルも注文した。
カウンターには他の客もいたが、みな静かに自分のデバイスを見たり、カクテルを写真に撮ったりしていた。
「なんか静かだな...」
「みんなSNSに投稿してるのよ!令和の酒文化はシェアすることも大事なのね!」
するめも自分のカクテルを撮影して、架空のアカウントから投稿しているふりをした。
「よーし!二軒目も堪能したわ!最後は昭和に行きましょう!」
「また?まだ一杯しか飲んでないぞ?」
「はしご酒は雰囲気を楽しむものよ!さ、最後の目的地へ!」
◆◇◆
昭和の繁華街は、ネオンの明かりがきらびやかに輝き、人々の熱気で溢れていた。
「わぁ!昭和の夜!」
するめは目を輝かせ、賑やかな通りを見回した。
「昭和55年(1980年)くらいかな?バブル前の活気ある時代ね!」
「おー、懐かしい」
ぐびぐびも少し感慨深げだった。
「さあ、最後のお店はココ!」
するめが指差したのは、赤い提灯が下がる小さな居酒屋だった。
「大衆酒場 昭和」という看板が出ている。
「最後はシンプルな昭和の居酒屋ね!」
二人が入ると、煙草の煙が立ち込める中、カウンターに数人のサラリーマンが座り、大将と世間話をしながら酒を飲んでいた。
「いらっしゃい!」
大将が元気よく声をかけてきた。
その親しみやすさは、さきほどのAIバーテンダーとは全く異なる温かみがあった。
「お、珍しいお客さんだね!」
大将はぐびぐびの姿を見ても大きく驚かない。
昭和には妙な寛容さがあった。
「あの...とりあえずビールとおでんください!」
するめが言うと、大将は「はいよ!」と明るく答え、手際よくビールを注いだ。
「昭和のビールって、なんか泡の感じが違うわね...」
するめが言うと、隣のサラリーマンが話に加わった。
「そりゃそうさ!昭和のビールは命だからな!」
「へぇ...」
するめは興味深そうに聞き入っていた。大将がおでんを運んでくると、その香りが二人の鼻をくすぐった。
「このにおい...」
ぐびぐびは感慨深げに言った。
「昭和のおでんって、なんかほっとするわね」
鍋からちょうど良い具材を取り分けてもらい、二人は静かに味わった。
「うまい...」
ぐびぐびは心から感動した様子だった。
大将は二人の様子を見ながら、気さくに話しかけてきた。
「君たち、どこから来たの?」
「えっと...遠くからです」
するめが曖昧に答えると、大将は笑った。
「そっか。旅の途中かい?」
「そうですね...時代を...いえ、街を旅してます」
「いい心がけだ。若いうちにいろんな場所を見るといい」
大将は優しく微笑み、おかわりの酒を注いでくれた。
カウンターでは自然と会話が生まれ、他の客ともすぐに打ち解けた。
平成や令和の店とは明らかに雰囲気が違う。
「昭和って、人と人のつながりが濃いわね...」
するめが小声で言うと、ぐびぐびは頷いた。
「そうだな...なんか懐かしいというか、心地いいというか...」
二人は予定より長く居酒屋に滞在し、大将や他の客と楽しく語り合った。
◆◇◆
三つの時代を巡った後、ぐうたら号で自分たちの元の時間に戻った二人。
「はぁ〜楽しかった!」
するめはソファーに倒れ込んだ。
「三つの時代のはしご酒、どうだった?」
「面白かったな...時代によって酒の楽しみ方も全然違うんだな」
ぐびぐびは珍しく感慨深そうに言った。
「平成は効率重視で安くてお得!」
「令和はハイテクでパーソナライズされてる」
「でも昭和は...なんか心に残るものがあったわね」
するめも少し哲学的になった。
「技術は進化しても、人と人との温かいつながりは変わらないのかもね」
「お前、珍しく深いこと言うな」
「だって本当にそう思ったんだもん!」
するめはホログラム画面を開き、レポートを書き始めた。
「『時代はしご酒文化比較レポート』...よし、ちゃんと書くわ!」
「おお、珍しくまじめか?」
「研究者として責任果たさなきゃね!」
するめは珍しく熱心にレポートを書き始めた。しかし、数分後...
「あー、やっぱり面倒くさい...」
「だろうな...」
「ねえ、次はどの時代に行こうか?江戸時代とか!ぐびぐびの先祖いるかも!」
「だから俺の先祖は河童じゃない!お前が勝手に河童の生体作ったんだろ!」
「あはは、そうだった!でも江戸時代のお酒ってどんな感じかな〜」
するめは再びぐうたら号のコントロールパネルを見つめた。
「もう行くのかよ...」
「文化研究は休みなしよ!」
ぐびぐびはため息をつきながらも、どこか楽しそうに甲羅を掻いた。
「ったく、世話が焼ける奴だぜ...」
二人の陽気なやり取りが続く中、未完成のレポートはホログラム画面に取り残されていた。




