超絶!ヒュービアロボット大パニック作戦
このお話は、フィクションです。
そして昭和や平成、令和を扱ってますが、時代的な事実とかは適当です。
まぁ、楽しく飲みながら読んでください!乾杯!(未成年はノンアルで!)
「するめーー、暇だよー」
ぐびぐびが天井から逆さまにぶら下がりながら、退屈そうに甲羅をカリカリと掻いていた。
「うるさいわね!調査中なんだから!」
するめは巨大なホログラム画面の前で、平成データを爆速でスクロールしていた。
突然、彼女は奇妙な映像で立ち止まり、目が星型に輝いた。
「これだ!見て見て見て!『ヒュービア選手権』!!」
画面には、ギクシャクと動く巨大な人型ロボットたちが、奇妙な動きで競い合っている映像が流れていた。
「なんだそれ?平成人がロボットと戦う死闘か?」
ぐびぐびが天井から落ちてきて、頭の皿に水を跳ねさせながら言った。
「違うわよ!これは平成中期に流行した『人が乗れる二足歩行ロボット』レースなの!超最先端テクノロジーよ!」
するめは椅子から飛び上がり、宙でクルクル回りながら宣言した。
「これこそAIの私がチャレンジすべき文化!決めた!参加するわ!」
「おい、おい...」
ぐびぐびは首を傾げた。
「なんか胡散臭くない?そもそもお前、ロボット持ってないだろ」
「大丈夫よ!平成のテクノロジーなんて、私が目コピしてささっと作れるわ!」
「またろくでもない騒ぎになりそうだな...」
ぐびぐびの頭から水蒸気が立ち上った。
◆◇◆
三日後、するめとぐびぐびは「第107回ヒュービア超絶バトル選手権〜平成ノスタルジア再現祭〜」の会場に到着した。
「うわぁ!すごい熱気!」
するめは輝く目で周囲を見回した。
巨大な倉庫のような会場には、様々な形のロボット(?)が並び、中には恐竜型や、なぜか炊飯器型のものまであった。
「なあなあ...」
ぐびぐびが小声で言う。
「あれ、人間が中に入ってるだけじゃね?」
「バカね!これが平成の最先端AI搭載ロボットよ!」
するめは大声で言い放ち、周囲の参加者たちがこちらを振り向いた。
「あ、すみません!」
するめは慌てて頭を下げた。
「私、AIロボット研究者のするめと申します!今回初参加で...」
「AIロボット!?」
主催者らしき男性が駆け寄ってきた。派手なサングラスをかけ、全身金ピカの服を着ている。
「これは素晴らしい!我々の大会に革命をもたらす存在が!」
「え?あ、はい...」
するめは少し戸惑った。
「ところで、あなたのロボットはどこですか?」
「あ、それが...まだ製作中で...」
するめが言い淀むと、主催者は大げさに肩をすくめた。
「問題ありません!我々には『緊急参加者用ロボットキット』があります!」
彼は舞台裏へとするめを案内した。そこにはダンボールと発泡スチロールの山。
その隣にはなぜか大量のアルミホイルとクリスマスツリーの電飾が置かれていた。
「これが...ロボットキット?」
するめは目を疑った。
「そうです!平成ロボット技術の粋!自由に組み立てて、中に入って操作するのです!」
「中に...入る!?」
するめは愕然とした。
「ええ、全てのヒュービアは人間が入って操作します。そういう競技ですよ」
「でも説明には『二足歩行ロボット』って...」
「はい、『人が入って二足歩行する、ロボットに見せかけた着ぐるみ』の略です!」
するめは硬直した。
「ぐっ...ぐびぐび!騙された!これただのコスプレじゃん!」
ぐびぐびはクックッと笑いながら甲羅をトントンと叩いた。
「だから言っただろ?胡散臭いって」
◆◇◆
しかし、せっかく来たのだから参加するしかない。
するめは猛スピードでダンボールと発泡スチロールを組み立て始めた。
「よし!私のAI知識で最強のヒュービアを作ってやるわ!」
三十分後、彼女の前には奇妙な形のロボットが完成していた。
頭部は巨大なモニター型で、胴体には無数のLEDが点滅し、腕はなぜか六本もある。
「これが私の傑作!『超AIマルチタスク・ヘキサアーム3000』よ!」
するめは誇らしげに宣言した。
「...お前、それ入れんの?」
ぐびぐびは呆れた表情で首を振った。
「当然でしょ!あ、でもあなたも参加しなきゃ!」
「は?俺?」
「そうよ!せっかく来たんだから!」
するめはぐびぐびを引っ張ってロボットキットの山へ向かった。
「俺、甲羅あるから入れないって!」
ぐびぐびが抵抗すると、主催者が再び現れた。
「おや?これは...河童さん?」
主催者はぐびぐびを上から下まで眺め、突然拍手を始めた。
「素晴らしい!これぞ『生体ロボット』!平成後期に流行った『リアル生物ロボット』の最高傑作ですね!」
「いや、俺本物の河童だって...」
「その設定を守り通す姿勢、素晴らしい!」
主催者はぐびぐびの肩を叩いた。
「あなたは特別枠で『生体河童ロボット』として参加していただきます!」
「え?だから俺は...」
「後ろに人が入ってるんですよね?完璧な着ぐるみです!」
主催者はぐびぐびの甲羅を叩き、中空の音がしないことに驚いた。
「これは...一体化技術!?マンガでしか見たことない技術です!革命的!」
ぐびぐびは諦めのため息をついた。
「もう好きにしてくれ...」
◆◇◆
いよいよ大会開始。するめは「超AIマルチタスク・ヘキサアーム3000」に入り、舞台袖で待機していた。
「暑い...狭い...何これ...」
するめは六本の腕を操作しようとするが、自分の腕は二本しかないため、残りの四本は紐で引っ張る仕組みになっていた。しかし、紐が絡まって身動きが取れない。
「次の出場者!『超AIマルチタスク・ヘキサアーム3000』!」
アナウンスが響き、するめは何とか舞台に出た。
「ピッ...ポッ...私はAIロボット...です...カクカク...」
するめはロボットらしく演技しようとするが、紐が絡まり、六本の腕が暴走。
周囲の参加者に向かって無差別に振り回される。
「あわわわ!止まらない!」
観客席から悲鳴が上がる。
「すごい!AIの暴走を完璧に再現している!」
「平成ロボットアニメの名シーンそのものだ!」
観客は大喜び。するめはパニックになりながらも、なぜか拍手を浴びていた。
一方、ぐびぐびは「生体河童ロボット」として別のステージに立っていた。
「えー...河童ロボットの...ぐびぐびです...」
ぐびぐびは気乗りしない様子で言った。
「動きをお見せします...」
彼は単に甲羅をカリカリと掻いただけだったが、観客は大興奮した。
「すごい自然な動き!」
「本物の河童みたい!」
「これはCG?」
ぐびぐびは呆れながらも、ふと思いついた。
「...そうだ、本気出すか」
彼は突然、頭の皿から水を噴出させ、会場に小さな噴水を作り出した。
「わあぁぁぁ!」
観客は総立ちになった。
「水を出す河童ロボット!?技術の粋だ!」
「平成にはなかった革新技術!」
ぐびぐびはさらに調子に乗り、甲羅を回転させながらバク転を決めた。
「河童スピンアタック!」
会場は熱狂の渦に包まれた。
◆◇◆
するめの方は大惨事になっていた。
六本の腕が完全に制御不能となり、舞台上の他のロボットを次々と倒していく。
「ごめんなさーい!止まらないのー!」
するめが叫ぶと、マイクが反響して機械音になり、さらに観客を興奮させた。
「AIの叫び声までリアル!」
ついには、彼女のロボットは舞台から転落。
するめは頭部のモニター部分から飛び出し、ダンボールのロボットは木っ端微塵になった。
「痛っ...」
するめが頭を抱えていると、主催者が駆け寄ってきた。
「素晴らしい!『ロボットから魂が解放される』演出ですね!平成アニメの名場面!」
「え?いえ、これは...」
「満点です!技術賞確定です!」
一方、ぐびぐびのパフォーマンスは絶頂に達していた。
彼は甲羅を回しながら宙を舞い、水を噴射し、会場中を河童ダンスで盛り上げていた。
「河童アクア・トルネード!」
彼が自分で作った技名を叫ぶと、観客はさらに熱狂した。
◆◇◆
結果発表。
するめの「超AIマルチタスク・ヘキサアーム3000」は「最も革新的なAI暴走再現賞」を受賞。
ぐびぐびは「生体ロボット革命賞」と「幻の水棲生物完全再現特別名誉賞」をダブル受賞した。
「信じられない...」
するめはボロボロになりながらも、トロフィーを手に呆然としていた。
「私、何にも成功してないのに...」
ぐびぐびは誇らしげにトロフィーを掲げていた。
「意外と楽しかったぜ。河童でよかったわ」
帰り道、するめは不満を漏らした。
「もう...全然ハイテクじゃなかったじゃん!ただの着ぐるみ大会だったのよ!」
「お前、勝手に思い込んでただけだろ」
ぐびぐびは笑った。
「しかしさ、よく考えたら面白いよな。平成人って『ロボット』って言えば何でも信じちゃうんだな」
「そうね...あ!」
するめは突然立ち止まった。
「ね、ねえぐびぐび...あなた『生体ロボット』として大人気だったじゃない?」
「まあな」
「それって...ビジネスチャンスじゃない?」
ぐびぐびは不安そうな表情になった。
「おい、何考えてんだ...」
「『本物の河童と一日過ごせる権利』とか売れるんじゃない?」
「やめろって!」
「一回500円で『河童の皿に水を注げる体験』とか...」
「絶対やだ!」
「『河童と一緒にお風呂』コースは特別料金で...」
「お前マジで止めろ!」
二人の言い争いは夕焼け空の下で続いた。
その様子をジッと見ていた通行人は、「新型ロボットの口論デモンストレーション?リアルだなぁ」とつぶやいて立ち去った。
一週間後、するめの新ビジネス「河童ロボット体験館」がオープン。
大行列ができる人気スポットになったという。
ぐびぐびの悲鳴は平成の住宅街に長く響き渡ったとか、渡らなかったとか...。




