平成プリクラ大戦争! 河童はフィルターを超える
このお話は、フィクションです。
そして昭和や平成、令和を扱ってますが、時代的な事実とかは適当です。
まぁ、楽しく飲みながら読んでください!乾杯!(未成年はノンアルで!)
平成プリクラ大戦争! 河童はフィルターを超える
「これが平成のプリクラ……!」
ゲームセンターに入った瞬間、するめはピンクに輝くプリクラブースの前で足を止めた。
筐体の外装には、星やハートのキラキラシールがビッシリ貼られており、鏡張りのパネルがやたらと派手に光を反射している。
時は平成後期、プリクラが若者たちの間で大流行している時代だ。
そんな光景を見ながら、河童姿のぐびぐびが甲羅をガサガサ鳴らしつつ近寄ってくる。
頭の皿に映ったネオンが、虹色のスペクトラムをゆらめかせていた。
「おいするめ。この機械、ちょっと狭そうだし、不味いんじゃねぇのか?俺の甲羅が引っかかりそうだろ。」
「大丈夫!データによれば、女子高生の120%が利用してる娯楽なんだって。これを試さない手はないわ!」
そう自信満々に告げるや否や、するめは勢いよくカーテンを引き開け、中へと飛び込んでいく。
そしてブース内の様子を見て二人は仰天した。
壁が一面鏡張りになっており、ぐびぐびの背負った甲羅がいたるところに反射して、無限増殖する河童の群れが出現している。
プリクラ撮影、地獄の5分間
「まずは背景選択……ハート型のバブルが可愛いわね!」
タッチパネルを操作しながら、するめは指先を弾ませてワクワク顔。
だが、ぐびぐびは鏡にゴツゴツ当たって「くそっ……甲羅が引っかかって動けねぇ」と顔をしかめている。
狭いブースは二人用に設計されているはずだが、河童の甲羅を想定しているわけがないのだ。
「撮影中は動かないでってば!ほら、ポーズ取るよ!」
カウントダウンが始まり、せっつかれるようにぐびぐびは無理やりポーズを決めようとする。
カシャン!
フラッシュが光った瞬間、ぐびぐびの頭の皿が強烈に反射して、モニター画面には白飛びした大きな円形がバチッと映りこんだ。
そのせいで周囲は逆光状態になり、画面中央のするめの顔は真っ暗。
ぐびぐびの目だけがギラリと光るという、なんともホラーな結果に。
「これ、私の顔はどこいったの!?もう一回やるよ!今度はフラッシュ抜きだ!」
二度目はフラッシュをオフにして再挑戦。
するめが必死にぐびぐびの頭を抑え、「あと3秒……!笑って!」と叫ぶが、当の河童は「痛ぇよ!頭の皿は敏感なんだって!」と苦情を言う暇もないまま再びシャッターが下りる。
カシャン!
今度はぐびぐびの緑色の肌と背景合成が干渉。
モニターが一瞬バグったかのように画面を緑一色で塗りつぶし、するめの顔だけが背景に浮かび上がる謎のグリッチ現象が発生した。
「なっ……まさか、この機械、俺を背景素材にしやがったのか!?緑色だから自動判定したのかよ!」
「ちょっと、フィルター差別じゃないの!カエルとかカッパとか、まとめて合成素材扱いなんて酷いわ!」
鏡に映るぐびぐびの甲羅はそのまま背景として認識されているようで、画面上で彼の姿はほぼ消えかけていた。
河童だからこそ起きるプリクラ不具合。
その苛立ちが収まらないまま、二人は慌ててブースから飛び出した。
【SNS大炎上! 謎の生物現る】
結局、ろくに盛れていないプリクラ写真だけが手元に残った。
しかし、その30分後、ネット上――特に某匿名掲示板――にはこんなスレッドが立っていた。
【速報】新宿ゲーセンに未確認生物現る(画像あり)
1: 名無しさん@お腹いっぱい
これマジ? 友達が撮ってきたんだけど(プリクラ画像.jpg)
2: 名無しさん@お腹いっぱい
うわ……これ合成? 新しいアトラクションかな?
3: 名無しさん@お腹いっぱい
緑色の肌に甲羅……どう見ても河童じゃねぇか
4: 名無しさん@お腹いっぱい
隣の女の子、普通に可愛いのに。コスプレ?
5: 名無しさん@お腹いっぱい
場所は新宿の○○ゲーセンだな。今から行くわ!
6: 名無しさん@お腹いっぱい
これ、SNSで「河童と旅してます」って投稿してた人たちじゃない?
7: 名無しさん@お腹いっぱい
ああ、あの投稿か! まさか本当に河童と一緒にいるとは思わなかった。
8: 名無しさん@お腹いっぱい
SNSで見たときはネタだと思ってたけど、実際に見たら信じるしかないな。
まさかの爆速拡散。
プリクラ映像に写っていたぐびぐびの奇妙な緑と甲羅が、ネット民の好奇心を完全に奪ってしまったのだ。
「ねえ、あの子たちってまだいるのかな?」
「フォロワー増やすなら、あれ撮りたい!」
周囲の女子高生がワイワイ騒ぎ出し、するめは慌ててプリクラ機の陰に隠れて震える。
「なんかやばい……人がどんどん集まってきた気がする……」
一方ぐびぐびは甲羅にペタペタ貼られたプリクラシールを必死に剥がしながら言い放つ。
「……でもまぁ、俺を見たいってことだろ?金払えば見せてやるがな、へへっ。」
「バカ言ってないで早く逃げるよ!」
逃走劇! プリクラの海を泳いでするめがぐびぐびの腕を引っ張ると、カーテン越しに覗き込む手やカメラが次々に伸びてくる。
二人はそれらをかき分けるようにして、ブースの外に飛び出した。
「甲羅が邪魔だ、ここ狭ぇよ!」
「文句言わないで、裏口はあっち!」
ゲームセンターのスタッフが「お客様、どうか落ち着いて……」と声をかけるが、周囲の野次馬は写真を撮ろうと大混雑。
ぐびぐびの甲羅に貼られた大量のプリクラは、昭和の銭湯で浴びた謎の磁気のせいか、なぜかぴったり張り付いている。
「なんだこれ、無数のプリクラが……静電気でも帯びてんのか!?」
「とにかく剥がして! ああもう、どれがどれだか……キャー、カメラ止めてください!」
悲鳴とフラッシュの嵐をよそに、二人はゲーセン裏口へダッシュする。
路上でようやく一息ついた頃には、通りがかった人が「え、河童?」「映画のCG?」などとスマホを向け始めるのだから油断ならない。
「違います、映画のプロモーションです!」
するめが適当に言い逃れをしながら走ると、「リアルだなー」と感心する者や、「場所どこ? 行きたい!」と興奮する者も現れる。
まったくもって混乱は止まらない。
【研究レポート(プリクラ編)】
深夜、コンビニの前でホッと一息ついたするめが、震える手でメモを取り出してレポートを書き始める。
ぐびぐびはまだ甲羅にくっついたプリクラを剥がしながら、不満タラタラな様子だ。
『研究レポート:プリクラとは何か』
### 観察
- 河童の緑色の肌がカメラに映ると、謎のトラブルが多発
- 周囲の人々が「謎の生物」として騒ぎになった
### 考察
- 奇妙なものほど人々の興味を引く
- みんなでワイワイ楽しむことが重要
- 失敗も時には面白さの一部となる
### 次にやること
- 河童用のシールを作成(背景合成されないもの)
- 逃げる際の靴は滑り止め必須
- おまけ:河童の甲羅に貼るのが楽しい(笑)
~~~(河童の落書き)~~~
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「こんな適当なメモでも、まぁいっか。」
ため息をつきながらするめはペンを置く。ぐびぐびが横目でそのメモを見て、「相変わらず雑だな」と苦笑い。
だが、これが彼女なりの平成文化研究の成果らしい。
「プリクラ機、あれは地獄の5分間だったな……」と呟くぐびぐび。
「でも、失敗も含めて楽しかったでしょ? 見て、SNSが盛り上がってるよ。」
するめのスマホ画面には、"河童プリクラ"が拡散されている様子が映っている。
【さらなる騒動への予感】
今は夜の静かなコンビニ前でひと休みしている二人だが、SNS上では「緑の肌をした河童+可愛い女の子」の写真が話題沸騰中。
いずれさらに人が集まってくることは想像に難くない。
結局、研究レポートもそこそこに、またもや支離滅裂なドタバタが続くのだろう。
「河童向けフィルターを作らないと、今回みたいにグリーンバック扱いされるぞ?」
「マジでそれ必要かも! 次回はもっと上手く撮ろうよ。今度はフラッシュ弱めで、背景は……カラフルなのにして……」
「おいおい、懲りてねえのかよ!」
ぐびぐびは甲羅を軽く叩いて肩をすくめるが、するめはなんだか楽しそうだ。プリクラという未知の文明が、河童という予想外の要素と混ざり合って、平成という時代の笑いの種を生み出している。
誰も想像しなかったカオスだが、意外に悪くない。彼ららしいドタバタ劇というほかない。
「ま、なんとかなるっしょ。次はプリクラ機で二人とも可愛く盛ろうね!」
「いや、俺は盛らんでいい……。俺、河童だし……」
そんな軽口を叩き合いながら、夜の街を後にする二人。飛び交うフラッシュやSNSの声を遠ざけ、明日はどんな娯楽を体験しようかと胸を弾ませているようだ。
かくして、"河童フィルター"問題を抱えつつも、するめとぐびぐびの"平成プリクラ大戦争"は一旦幕を下ろす。
彼らの足取りは慌ただしいが、いつもの通り支離滅裂で楽しげだ。
次にどんな文化をかじって、どんな失敗をやらかすのか……想像するだけでワクワクが止まらないのが、この二人の冒険の醍醐味なのだ。




