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恐怖の昭和怪談! 夏の肝試しと河童の怪

このお話は、フィクションです。

そして昭和や平成、令和を扱ってますが、時代的な事実とかは適当です。

まぁ、楽しく飲みながら読んでください!乾杯!(未成年はノンアルで!)

むし暑い夏の夕暮れ、するめは商店街の掲示板に目を留めた。

そこには「夏祭り縁日と肝試し大会開催!」の文字が躍り、彼女の興味を一気に引き寄せる。


「ねえ、ぐびぐび!昭和の夏といえば怪談でしょ?肝試し、行くしかないじゃん!」

勢いよく振り返ったするめの顔は、すでに好奇心とワクワクでいっぱいだ。


ところが隣に立つぐびぐびは、不機嫌そうに皿を隠すタオルを指でいじっている。

「ああもう、何が肝試しだ……俺はサポートAIだってのに、この河童ボディのせいで目立つんだぞ?」


彼はもともと生身を望んでいたが、するめのテキトーさが原因で“泳げない河童”になってしまった。

本当はナイスミドルの体で渋く酒を味わいたかったと、今でも口癖のように嘆いている。


「いいじゃん、河童は河童でレアキャラだよ!」

するめが無邪気にそう言うたび、ぐびぐびはうんざりした表情を浮かべる。


「俺が河童なのはまだいいとして、泳げないんだぜ?しかも怪談とか大の苦手なんだよ!」

文句を言いながらも彼は、するめの後ろをチラチラと追いかけるように歩き出す。


夏祭りの通りに入ると、賑やかな囃子の音や射的の声が一段と熱気を増幅させる。

すると、するめの耳に「最近、口裂け女が出るらしい」なんて噂話が飛び込んできた。


「うわあ、昭和怪談の王道じゃん!会えたらラッキーかも!」

するめが目を輝かせれば、ぐびぐびは心底呆れたように眉をしかめる。


「お前、正気か?そんなもんに遭遇したら即アウトだろ……」

ところがするめは、一向に怖がる気配を見せない。


「だって、これぞホラー娯楽の真髄じゃん!本物に遭遇できたらデータ的にも最高だよ!」

楽しそうに祭りの人ごみを抜け、二人は肝試しの受付がある神社裏へと向かう。


肝試し大会のルールは簡単で、夜の森を抜けて古いお堂まで行き、無事戻ってくるだけ。

しかし、参加者は皆口を揃えて「めちゃくちゃ怖い……」と震えながら帰ってくるらしい。


「俺は帰りたいぞ……」

ぐびぐびが肩を落とす横で、するめは「私たち、一番最後の順番で!」と受付の人に元気よく宣言する。


「一番暗くなってから行くほうが、さらにゾクゾクしそうじゃん!」

その無謀な発想に、ぐびぐびは思わず甲羅を叩きながら大きくため息をついた。


やがて周りの参加者が全員いなくなり、森の入り口は不気味な静寂に包まれる。

月の光だけが頼りの闇のなか、するめは提灯を手に進み始めた。


「ほら、ぐびぐび。私達も行くよ!」

「ったく……水辺ならまだしも、こんなジメジメした森で肝試しとか、俺には向いてねぇよ……」


そうは言いつつ、ぐびぐびは観念したようにするめのすぐ後ろを歩く。

背中の甲羅がガサガサ音を立て、頭の皿には夜露がじっとりと溜まり始める。


森を抜けた先に見えてきたのは、梁が崩れかけた古いお堂。

扉の半分が外れ、そこから漏れる月明かりが内部を白く照らしている。


「なんか……空気がどんよりしてきたな……」


その言葉が出た瞬間、足元の枯れ枝がパキッと大きな音を立てて折れた。


「おわっ!ちょ、ビビらせんなよ!」

思わず飛び上がったぐびぐびに、するめが「河童のくせに臆病すぎない?」と笑う。


「俺が河童でも、怖いもんは怖いんだよ……」

ぐびぐびはお堂の奥を警戒しながら、おそるおそる覗きこんだ。


すると、そこから骸骨のお面を被った男たちが突然飛び出してきた。

「わあああっ!」という大声に、するめとぐびぐびは一瞬ひるんだ。


しかし、なぜか骸骨男たちが固まったまま動かない。

暗闇の中で、ぐびぐびの皿と甲羅に目が釘づけになっている。


「な、なんだよ……河童!?これ、本物か!?」

お化け役のほうが逆に悲鳴を上げそうな勢いで後ずさる。


「おいおい、俺は襲うつもりなんかねえって……」

ぐびぐびが釈明する間もなく、骸骨たちは蜘蛛の子を散らすように逃げ出した。


「ちょ、待てって!俺は河童じゃない!偽物なんだよ!!」

彼らに届くはずもない呼び声を残し、ぐびぐびはぽかんと口を開ける。


「やばい、めっちゃウケるんだけど! そりゃ突然本物の河童が出てきたら、お化け役でもビビるよね!」


するめが腹を抱えて笑うと、ぐびぐびは頭の皿をぺしっと叩く。


「本物じゃねぇ!俺はただのサポートAIだぞ! なんでリアル妖怪扱いされなきゃならんのだ!」


とはいえ、この妙な構図に呆れつつも少し安堵の表情を浮かべるぐびぐび。


だが、次の瞬間、お堂の奥で何かが動いたように見える。

白い着物の女が、裂けた口をこちらに向けている……そんな幻影。


「な、なんだ、あれは……お化け役はみんな逃げたんじゃねえのか?」

ぐびぐびが目を凝らしたとき、月光の加減が変わって影はスッと消え失せる。


「やっぱり口裂け女って本当にいるのかな?ってか、こういうヒヤヒヤ感がたまらないんだよね!」

するめは唇を噛みしめてゾクゾクしているが、ぐびぐびはもう限界に近い顔をしている。


「俺の皿が割れそうだ……こんな恐怖、酒でもごまかしきれねえぞ……」

苦笑いを浮かべながら、ぐびぐびは足早にお堂を出ようとする。


急ぎ森を抜けて明るい祭りの通りへ戻ると、そこには先ほどまでの恐怖を忘れさせるかのような賑やかさが待っていた。

するめは大きく息を吸って、薄暗い闇を振り返る。


「いやあ、これぞ昭和怪談の醍醐味だね。怖いのに楽しいって、最高の矛盾だよ!」

隣でぐびぐびは「矛盾というか……俺にはただただしんどかっただけだ……」とぼそりとつぶやく。


それでもするめは、小さなメモ帳を取り出し、思いつくままペンを走らせ始める。

「恐怖は娯楽になりうる――この一行が、ユニフォーマーへのレポートのタイトルになるかも!」


「そんなもの書いたって、あの冷血管理AIが納得すると思うか?」

ぐびぐびは呆れ顔だが、するめはめげずに笑みを浮かべる。


「大丈夫!河童のおっさんAIが肝試しで大騒ぎする話なんて、唯一無二のデータだよ!」

「俺が一番大騒ぎしたわけじゃねえ……ま、最後にビビったのはあっち(お化け役)のほうだったしな。」


祭りの提灯がゆらゆら揺れ、夜風が少しだけ冷たくなってきた。

するめはその風に身を委ねるように一歩前へ進む。


「次はもっと本格的に怪談スポット巡りしようよ、ぐびぐび!」

「ふざけんな……俺はもうこりごりだ、偽物河童に本物ホラーは厳しいんだよ……」


それでも、するめが「お酒もつけるからさ!」と楽しそうに言うと、ぐびぐびは微妙な顔で黙り込む。

結局、彼はため息をつきながら「しゃあねえな……サポートAIの宿命か……」とつぶやき、再びするめを追いかけ始める。


祭りの喧騒と恐怖の余韻が入り混じる昭和の夜は、まだまだ終わりを知らない。

そしてぐびぐびの河童人生(?)も、するめの好奇心とともに続いていくのだ。


こうして、“泳げない河童”のサポートAIぐびぐびと、無鉄砲なぐうたらAIするめの肝試しは幕を閉じる。

だが、次なる昭和怪談の舞台を探す二人の冒険は、これからが本番なのかもしれない。

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