昭和映画スターへの道! 映画撮影所で大乱闘!?
このお話は、フィクションです。
そして昭和や平成、令和を扱ってますが、時代的な事実とかは適当です。
まぁ、楽しく飲みながら読んでください!乾杯!(未成年はノンアルで!)
「ぐびぐび~、お腹空いたぁぁ……なんか腹ペコで死にそう…。死んだら供養してね?」
白いオフショルダーに黒いインナー、ポニテふわふわのぐうたらAI・するめが、背中に甲羅を背負う河童AIぐびぐびにのしかかってくる。
「お前、AIなのに“死にそう”って表現はおかしいだろ! それに俺は河童だぞ。供養ってどうすんだよ?」
ぐびぐびが呆れ顔で返すと、するめは途端に目をキラキラさせた。
「じゃあさ、死ぬ前においしいご飯食べたいから、どっか面白いとこ行こう! 映画撮影所の売店がウマいって聞いたんだよね~!」
「なんで撮影所? そこ、勝手に入れんのか?」
「大丈夫、大丈夫! たぶん撮影所の人たちは、いろんな怪しい人や着ぐるみ姿の人にも慣れてるから、私たちがAIでも平気だし、あんたの河童姿も『妖怪の着ぐるみ』で通るよ!」
「通るかよ…ま、行ってみるか…。飯は大事だしな。」
こうして「とにかく腹を満たしたい」するめと「巻き込まれ体質」のぐびぐびは、昭和の映画撮影所へと足を踏み入れることに。
撮影所の門をくぐると、レトロな照明や巨大カメラがずらり。スタッフやエキストラが行き交い、なんとも昭和な雑多感が漂っている。
「うわー、思ったよりゴチャゴチャしてるね! 酒屋の屋台はどこかな? 売店は? まず売店!」
するめはキョロキョロしながら落ち着きがない。
すると、どこからともなく監督っぽい人物が走ってきて、二人をガッと捕まえた。
「おい、そこの河童! それに謎のオフショルダー娘! いいところに来たな! …っていうか、なんでこんなところウロウロしてるんだ?」
「いや、売店探して…ぎゃっ!」
監督はするめの話を聞く暇もなく、興奮気味に叫ぶ。
「君たち、ちょうどいい! いま“妖怪大行進”のシーンを撮る予定なんだが、河童の着ぐるみ係がドタキャンで困ってたんだ!」
「着ぐるみじゃなくてガチの河童なんだけど…」
ぐびぐびが小声で訂正しようとするが、監督は無視。
ぐびぐびを引っ張りながら「すぐ衣装合わせしろ!」と走り出す。
「んで、あんたは何だ? 衣装がなんだか妙だけど、逆に目立つな!」
「わ、わたし? え~っと、おいしいご飯があるなら何でもいいですけど…」
「よーし決定! お前は“モダン女剣士”の役だ! 話はあとだ!」
監督は勝手に配役を決め、するめに刀を手渡す。
「あ、刀だ! これ、アーカイブで見たやつ~! ちょっと遊んでもいい? バシバシッ!」
「やめろー! カメラ壊れる!」
あれよあれよという間に、二人は時代劇セットのど真ん中へ。
侍、町人、忍者、謎のロボ(?)が入り乱れるカオスな撮影現場。
「うっわ~! 何これ遊園地? お祭り?」
「するめ…お祭りじゃなくて映画の撮影だ!」
監督がメガホンを取り、怒鳴り始める。
「スタンバイOK!? よし、カメラ回せ! …本番、アクションッ!!」
途端に侍軍団が奇声を上げて河童を取り囲む。
「妖怪めぇ! ここで成敗してくれる!」
「お、おい、マジかよ!? 俺、刀も持ってねぇんだけど!?」
侍役の一人が、ぐびぐびに斬りかかる寸前、やや引き気味に叫んだ。
「おい、河童だからって、水でも飛ばしてきたらどうする!? ビチャビチャになるのは勘弁だぞ!」
侍たちは距離を取りながらチャンバラを始めるが、ぐびぐびは何もできずに甲羅を抱え逃げ回る。
一方するめは、刀を構えてテンション爆上がり。
「えへへ、私ってば剣士役~! てりゃ~! うりゃ~!」
意味不明な掛け声でくるくる回りながら、侍とは別方向に斬りかかる。
いや、斬りかかる相手がいないので空ぶっているだけ。
「おい! お前はどっちの味方なんだ!? 妖怪なのか人間なのかハッキリしろ!」
助監督が大声で指示するが、するめは手を止めずに言う。
「知らない知らない! てか、この侍さん強そうだけど、刀の持ち方がちょっとヘンだし…あれ、私どっちの味方だっけ? あ、そもそも台本もらってないし、どっちでもいいや!」
「どっちでもいいって何だよ!?」
本来敵対するはずの侍が、するめのあまりの謎ムーブに引き気味。
撮影現場は妖怪よりするめの方が混乱を招いていた。
監督は頭を抱えつつも「よし、これでOKだ!」と半ば諦めのような声を上げ、時代劇シーンを強引に終了させた。
「さあ、次は特撮パートだ!」と監督が声を張り上げると、スタッフたちは慌ただしくセットを移動し始める。
昭和感満載のミニチュア城下町が並ぶ特撮セットに到着する頃には、さっきの混乱の余韻を残したまま、誰もが「これで本当に撮影できるのか…?」という不安な空気を漂わせていた。
「河童役の君、ここを踏み潰す感じでいこうか!」
「また俺かよ! しかも町を踏むって設定ブレすぎないか? さっきは侍に斬られそうになってたのに…」
「黙れ河童! とりあえず踏め!」
スタッフの熱気に押され、ぐびぐびはごくりと唾を飲みこむ。小さなミニチュアに足をのせた瞬間、思いのほか軽くてガシャーン!!
「ぎゃあああ! 城下町がぁぁ!!」
すべて一瞬で破壊され、スタッフは絶句。しかし監督は拍手喝采。
「すばらしい! それよ、それ! 最高の迫力だ!」
「あ、これ褒められるの? ごめんっていうか…ありがとう?」
するめは破壊の音を聞きつけて走ってきて、瓦礫の中で立ち尽くすぐびぐびを見て大爆笑。
「きゃははは! 河童キングコングみたい! でも最後は高い塔に上って飛行機に撃たれるのかな?」
「全然違う映画のネタ混ぜんな!」
スタッフは「やばいやばい、修復どうすんだ…」と慌て始め、監督は「そのまま続けるぞ! フィルムは回ってる!」と叫びまくる。
誰も統制がとれてない支離滅裂状態。
数時間後。撮影は妙にスピード感だけはあり、コロコロとシーンが切り替わる。
すると、するめは突如「女剣士」から「アイドル風ヒロイン」に。
ぐびぐびは「妖怪大ボス」から「川辺の謎の守護神」に。
何がなんだか分からない。
「アイドル…ってことは、歌うのかな? でも、私カラオケ下手なんだけど…」
「いいから歌え! 踊りも付けろ! さあ回すぞ!」
監督がむちゃぶりして、するめは鼻歌でなんとか切り抜けようとする。
「らーらららー♪ 酒のある生活~♪」
「おい、その歌、アイドルっぽくねぇ!」
ぐびぐびは、神妙な顔で手を合わせている侍役に囲まれ「ご神体扱い」されている。
「川の主…どうかこの地をお救いください…」
「俺、妖怪じゃなかったのか?いつ神様になったんだ?」
スタッフもキャストも、途中で脚本の矛盾を気にする余裕などない。
カメラが回ってるから、そのまま突き進むしかないのだ。
「よーしクライマックスだ! 河童神vsアイドル剣士の最終対決…アクションッ!」
監督の指示で、するめとぐびぐびはステージ中央に向かい合う。だが、二人ともやる気がない。
「うーん、お腹減った…撮影所の弁当まだ?」
「同感…刀振るのも疲れたし…温かいお茶とかない?」
「カットーッ!!」
監督が叫んだ瞬間、スタッフがやってきて耳打ち。
どうやらフィルムが切れたらしい。撮影続行不可能。
「フィルムって…まだ使ってるんだ。昭和って感じだよね。」
「てか、フィルム切れで撮影止まるとか…もうちょっと未来っぽいやり方ないの?」
「未来っぽいって何だよ? 俺らAIが昭和の撮影所で働いてる時点で十分変な世界だろ。」
結局、クライマックスは撮れないまま作業は一旦ストップ。
監督は頭を抱えながらも、「今の流れを再現できるか分からんが…まあいいか!」と適当にポジティブ。
キャスト陣も不安そうだが、「撮影なんてこんなもんか…」と呆れながらも諦めムードが漂っていた。
なぜかまだ撮り終わってないのに「打ち上げ」らしき宴が始まる。
撮影所の一角では大皿料理にビール瓶が並び、わいわい賑やか。
「いえーい! 弁当もいいけど、こっちの方が豪華じゃん!」
するめはビールをぐびぐび飲みながら、ぐびぐび(河童)に絡む。
「ん? ぐびぐびでぐびぐびしてる? ぷぷぷ!」
「くだらねえダジャレ言うな! 俺はもうヘトヘトなんだよ…。刀持つわ、巨大化するわ、神になるわ…支離滅裂すぎる!」
監督が飲みながら近づいてくる。
「二人ともありがとうね! コイツらのおかげで画が盛り上がったよ。特にお前、甲羅が転がる姿が最高に面白い!」
「どこを評価されてんのか分からねえ…」
打ち上げの場で雑談していると、するめがぽつりと漏らす。
「でも映画って、こんな適当でいいのかな? 台本とか構成とか…」
監督はにやり。
「いいんだよ! 映画は勢いとノリだ! 完成したらきっと伝説になる!」
「伝説になってもDVD化されたら評価炎上しそう…」
ぐびぐびが真顔でつぶやくと、周囲は「DVDって何?」と首をかしげる。
「やべ、時代違い発言きたわ…」
するめとぐびぐびは顔を見合わせて苦笑い。
翌朝。結局フィルムが届くかも不明なまま、監督以下スタッフは二日酔いでグロッキー。
エキストラも半分いなくなってる。
するめとぐびぐびもそろそろ潮時だと察した。
「結局、クライマックスも撮れず仕舞い。これ、ホントに映画になるのかな?」
「ま、昭和って時代はこういう無茶苦茶もアリなんじゃねえの?」
するめはあくびをしながら、ポケットから小銭を取り出す。
「そういえばギャラとか貰ってない…でも売店の飯食えたし、酒も飲めたからいっか!」
「どんだけ食欲優先なんだよ…」
ぐびぐびはもうツッコミ疲れ気味。
監督に別れを告げようと探すが、どこかで寝ているのか見つからない。
仕方なくメモを残し、「また会える日が来たら何か食わせてください」と一言添えて帰ろうとする二人。
「あー、疲れたけど…意外と楽しかったかも。私の演技力アップしたかなぁ?」
「いや、お前ずっと走り回って飯のことしか言ってなかったぞ。」
「そっかー。まあ、いっか! ご飯美味しかったし!」
こうして、するめの【支離滅裂グダグダ映画デビュー】は唐突に幕を下ろす。
結局、映画は未完成のまま封印(?)される運命かもしれないし、奇跡の編集力で爆笑怪作が生まれるかもしれない。
しかし、確かなことは一つ――
「昭和の撮影所、適当すぎるけどめちゃくちゃ面白かった!」
するめはそう確信し、次なる飯と娯楽を求めて再び旅立つのだった。




