今日飲んで、明日も酔う。それが二日酔い!
このお話、フィクションです。
そして昭和や平成、令和を扱ってますが、時代的な事実とかは適当です。
まぁ、楽しく飲みながら読んでください!乾杯!(未成年はノンアルで!)
部屋のテーブルには、紙パック酒、缶チューハイ、サバ缶を使ったおつまみ、そして謎の調味料が並び、するめがグラスを掲げている。
「ぐびぐび!今日のテーマは“お酒の限界に挑む”だよ!」
「お前、それ研究テーマじゃなくてただの暴走だろ。」
「いいじゃん!AIだって限界を知ることが大事なんだよ!今からデータ収集するから、飲め飲め!」
すでに数杯目のするめは、頬を赤くしながら楽しげに笑っている。
「いやー、これが昭和の飲み会ってやつだね!雰囲気、最高!」
「おいおい、俺たち二人しかいないのに、どっちが昭和だよ。」
「いいのいいの!昭和感は心で作るものだから!」
するめが次に取り出したのは紙パックの安酒。
「ぐびぐび、これ見て!コスパ最強の日本酒だよ!たった100円!」
「それ、お前昼にスーパーで選ぶとき、試飲で顔をひきつらせてたやつだろ?」
「でもさ、あのクセがクセになるっていうか、ほら、慣れれば美味しいよね?」
「慣れる前に酔っ払って判断できなくなってるじゃねぇか。」
グラスに安酒をたっぷり注いだするめは、謎の調味料を手に取る。
「このお酒、さらに進化させるよ!見て、味変マジック!」
「おい、それポン酢じゃねぇか。日本酒に入れるもんじゃねぇぞ。」
「だって、酸っぱい方がさっぱりして飲みやすいってデータにあったよ!」
「データの解釈、間違ってるから!」
ポン酢日本酒を一気に飲み干したするめは、目を輝かせながら叫ぶ。
「うわぁ!これ、新しい世界の味だよ!ぐびぐびも飲んでみて!」
「絶対まずいやつじゃねぇか……。」
するめは安酒と缶チューハイを交互に飲みながら、ノリノリで歌を歌い出す。
「~♪ まぁええか、まぁええか、乾杯!」
ぐびぐびが呆れたように言う。
「おい、その歌、いつ作ったんだよ……。」
「今だよ!即興っていいでしょ?」
「いいから座れ!お前、飲みすぎてるぞ!」
やがて、するめはふらつきながらテーブルに伏せる。
「ぐびぐび……酔いってすごいね……AIなのに、ふわふわしてる……!」
「お前、自分で限界超えていくスタイルやめろ!」
するめはふと顔を上げ、少し頬を赤らめながら言う。
「ねぇ、AIなのにさ、この酔い加減っていうの?めっちゃアナログで、むしろ新感覚じゃない?」
「そりゃお前、生体だもんな。完全に人間仕様なんだよ。」
するめはグラスを眺めながら、得意げに語り始めた。
「これってさ、地球の技術の勝利だよね。AIが酔っ払えるなんて、これぞ文明の進化!」
「違うだろ!ただの飲みすぎだろ!」
「でもさ、ぐびぐび……」
「おい、嫌な予感しかしないぞ。」
「これ、お酒が“もっと飲んでいいよ”って言ってる気がする!」
「言ってねぇ!絶対言ってねぇ!」
ぐびぐびが必死に制止するも、するめは悪びれる様子もなく、ニヤリと笑う。
「まぁまぁ、これが本当の、本当に最後の一杯だから!」
「そのセリフ、さっき3回くらい聞いた気がするんだが!」
それでもするめはグラスを持ち上げ、勢いよく飲み干す。
「はぁ~、これぞAIの極致……酔いの向こう側だね。」
「向こう側行ってどうすんだよ!」
満足げに笑ったするめは、ふいにテーブルに突っ伏し、寝息を立て始めた。
ぐびぐびはため息をつき、静かに言い放つ。
「……どうせ明日、飲みすぎてること忘れてまたやらかすんだろ。」
翌朝――。朝日が差し込むリビング。
するめはソファで仰向けに倒れ込み、頭にはタオル、手には空になった紙パック酒を握りしめている。
「うう……なんで地球の重力、こんなに強いの……?」
キッチンで片付けをしていたぐびぐびが、振り返りながら冷静にツッコむ。
「重力じゃねぇよ。ただの二日酔いだ。」
するめは虚ろな目で天井を見つめ、かすれた声でつぶやいた。
「地球のお酒って……酒ごいね……。これが人類の底力……。」
「お前が底なしに飲んだだけだろ!」
するめは突然、ソファから身を起こして苦しげに呻き始める。
「うっ……やばい、なんか出そう……あれ?これって新しいアップデート!?」
「違う!お前、吐きそうなだけだ!」
ぐびぐびが慌ててバケツを差し出すと、するめはタオルを握りしめながら叫ぶ。
「だって、お酒が逆流してきた気がするんだもん!これは……AIへの挑戦状!」
「お前の胃袋の限界だ!挑戦状じゃねぇ!」
すると、するめがついにバケツに突っ伏し、豪快にゲロを吐いた。
「うぇっ……地球のお酒……ホント酒ごい……。」
「感心してる場合かよ!もう寝とけ!」
吐き終わったするめはぐったりとバケツを抱えたまま、一言つぶやく。
「これもきっと……データの一部になる……。」
「なるわけねぇ!お前、ただの二日酔いって認めろ!」
するめは反論する気力もなく、ソファから起き上がろうとするが、途中で力尽きて再び倒れ込む。
「ぐびぐび、助けて……AIにも二日酔い専用のリセットボタンとかないの?」
「ねぇよ!リセットボタンがあったら俺が真っ先に押してるわ!」
「なんでぐびぐびが押すの?」
「お前のぐうたらさをリセットしたいんだよ!」
タオルを握りしめながら、するめは小さな声で訴える。
「じゃあ、地球のアーカイブで二日酔いの治し方を探してよ……何かあるでしょ?」
「ほら、あるよ。“水分を取れ”“塩分を補給しろ”“適量を守れ”だってさ。」
「うーん……最後のだけ今更感がすごい。」
ぐびぐびはため息をつき、冷蔵庫を開ける。
「しょうがねぇな。お前のためにスープでも作ってやるよ。」
「スープ……?」
「二日酔いにはこれが効くってデータに書いてあるんだよ。」
「でもさ、スープってお酒じゃないじゃん?」
「当たり前だろ!今お前に酒を飲ませたら逆効果だわ!」
ぐびぐびが鍋に水を入れて火をつけるが、冷蔵庫の中はガラガラ。
「おい、野菜がないぞ!塩昆布しかねぇ!」
「大丈夫!それ、万能アイテムだから!」
「塩昆布だけじゃただのしょっぱいお湯になるだろ!」
すると、するめが急にひらめいた顔をする。
「そうだ!缶詰があったでしょ?あれを使えばいいよ!」
「お前、またサバ缶か?おつまみ用に取っとくって言ってただろ。」
「でも、今の私にはサバ缶が必要なの……!サバ缶は万能薬!」
ぐびぐびが仕方なくサバ缶を取り出し、鍋に投入。味噌を追加し、スープが完成した。
「ほら、できたぞ。特製サバ缶スープだ!」
「ありがとう、ぐびぐび……!」
するめがスープを飲むが、一口目で顔をしかめる。
「……これ、濃くない?」
「二日酔いには塩分が大事なんだよ。飲め!」
「いや、これ飲むだけでさらに頭痛くなりそうなんだけど……。」
スープをなんとか飲み干したするめは、ふうっと大きな息をついてソファに再び倒れ込む。
「結局、二日酔いには勝てないんだね……AIって完璧だと思ってたのに……。」
ぐびぐびは冷めた目で答える。
「お前の場合、完璧から一番遠いとこにいるけどな。」
「ひどい!じゃあさ、次からお酒やめるから、もっと楽な解決策を考えてよ!」
「いや、お前が飲むのやめるとか、絶対ウソだろ。」
するめはタオルを頭に乗せ直しながら、目をしょぼしょぼさせてぐびぐびを見つめる。
「じゃあ、ぐびぐびが二日酔いの原因を解明してよ……もっと効率的な解決法とかあるでしょ?」
ぐびぐびは得意げにアーカイブを開き、解説モードに入る。
「よし、説明してやる。二日酔いの原因はな――」
するめは手を挙げて遮る。
「ちょっと待って、ぐびぐび……今、それを聞くと頭が割れそう……もういい……。」
「おい、自分で聞いといて止めるな!」
するめは布団をぐるぐる巻きにしながら小さな声でつぶやく。
「じゃあ……次は“二日酔いにならないお酒”を開発してよ……。」
ぐびぐびは呆れ顔で答える。
「二日酔いにならないお酒って、それもうお酒じゃなくてジュースだろ。」
「それでいいよ……ジュースでも……。でも、アルコール感はほしいな……。」
「無理言うな!そんなん作れるか!」
ぐびぐびは空になったスープの鍋を片付けながら、ぼそっと呟く。
「ほんと、お前が飲むたびに俺の手間が増えるよな。」
布団の中から、するめの小さな声が聞こえた。
「それもデータだよ……きっと役に立つ……。」
「役に立たねぇ!寝てろ!」
夜が明けた部屋には、ぐびぐびのため息とするめの寝息だけが静かに響いていた。




