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第五話 初ギルド訪問 前編

「帰ってきた〜!」


リーネは村に着くと同時に、万歳をしていた。

俺とアストラネさんは、リーネのリアクションを微笑ましく見ている。


「これからギルドに向かうんですよね?」

「はい。とりあえず全部買い取りをお願いすると、市場もギルドも大混乱すると思うのと、俺とリーネはまだ年齢が足なくて登録資格がないので、その辺の話も含めて話したい感じですね。」

「なるほど。買い取りの方は確かにその通りですね。何か買いたいものでもあるんですか?」

「今のところは、布製の防具より良いものを狩りのメンバー分と、もう少し性能のいい武器の調達、といったところですね。今日の狩り場も良いのですが、もう少し効率よくレベリングするのであれば、少し奥地に進みたいところなので。」 


俺とアストラネさんで直近の目標を話し合う。

リーネは先頭でルンルン気分でギルドを目指している。


「後は、魔導書なり指南書なりの戦闘に役立つ書物が手に入れば御の字ですが……その辺はまだ手が届かないでしょうから、貯金するなりしてからですね。」

「その辺が欲しいのであれば、ダンジョン攻略も視野に入ってきますね。あそこは魔獣や魔物の素材の代わりに、色んなドロップアイテムが手に入ります。」


ダンジョンかぁ〜、なんとも異世界らしい響きである。

ただ、ダンジョンに行こうにもやはりネックは冒険者登録だ。

あれが無いことには、ダンジョンに入ることすらできない。


「オーリ!着いたよ!」

「よし、じゃあ入ろうか。」


この村のギルドはアストラネさん曰く他の町に比べて小さいそうだ。

ギルドの主な仕事は、冒険者に仕事を斡旋すること・仕事の依頼を受けること・領主がいない村等では領主に変わり税(人頭税や入村税等)を徴収すること・素材等の買い取りを行っている。

この村のギルドは、村にある一般家庭の約5倍程度大きい建物なのだが、それでも小さいとは……そのうち、見てみたいものだ。


「いらっしゃいませ。【アーリーウェルト共和国】が【ストイレン領マカ村】のギルドへようこそ。本日のご用事をお聞かせください。」


入って早々に営業スマイル全開で挨拶をされてしまった。

それもそのはず。

今、このギルドには俺達しかいない。


「買い取りをお願いしたいのですが?」

「買い取りですね。スライムですか?」

「スライムの他にも色々とあるのですが…」

「では、そちらに全部出してください。スライムの魔石はこのトレーに出してください。」


う〜ん…これは子供だからと思われてるな…

アストラネさんも困った顔をしている。これは相手に俺の素性を話してもいいのか、聞きたいってところだろう。

それでも、ちょっとイラッときてしまったのだ。

一度、アストラネさんな目配せを…ごめんと訴えてみる


「分かりました。ちょっと大きいですが、出しますね。」

「え、オーリさん!?」


何を出すのかアストラネさんは分かったのだらう。

すぐさまレーネと共に俺の後ろに隠れた。

俺は躊躇なくある魔物をアイテムボックスから選択する。

これは俺達が『下剋上』を習得することになった魔物だ。


(相手が言ったんだもん。後悔するなよ!)


「え?えぇ〜!!!」

「あぁ〜やっぱり入りませんでした。すみません。」

「…リトル…アース…ドラゴン?」


リトルアースドラゴン。

全長5m強ある、トカゲである。

ドラゴンと命名されてはいるが、そこ獰猛さからドラゴンと呼ばれているだけで、トカゲの魔物である。


因みにギルドの建物への損害は、二階の床部分が崩落、一階は入口付近が尻尾により損壊した。


「…申し訳ございませんでした。子供と思い、少し態度に出ていたのであればお詫びします。まさか『アイテムボックス』所持者とは知らず、申し訳ありませんでした。出来れば仕舞っていただけると助かります。」


深々と頭を下げて謝られたので、こちらとしてもやり過ぎた感はあるので、早々に仕舞う。

受付さんは小刻みに震えてるし、悪いことをしてしまった。


「では、改めて買い取りをお願いしたいのですが?」

(オーリさん、あまら脅しちゃダメですよ!)


小声でアストラネさんに注意されてしまった。


「畏まりました。色々と仰っていましたが、どの程度の量になりますか?」

「全部合わせれば300匹ぐらいでしょうか?」

「300!?もしかして、噂になっている《導き手》の方でしょうか?」

「噂になっているんですね。そのまさかです。」

「これは度々の失礼な発言、申し訳ありません。ただ、買い取りについてはご相談をしたいのですが、よろしいでしょうか?」

「はい、もちらんです。そのために来ました。」


▲▲▲▲▲▲


その後、さっき音で集まったギルド職員達がせっせと後片付けをして、なんとか話し合いができる状態まで現状復帰された。


「では、改めまして。私、マカ村のギルド長代理をしておりますソフィアと申します。続いて、私の隣が解体主任のギル「よろしく!」、その隣が解体補佐兼料理場担当のスティング「…(深々と礼)」、受付担当のマリ「…(ぺこり)」、そして運搬担当のレグマ「よろしくな、坊っちゃん!」。以上が当ギルドの職員です。よろしくお願いします。」

「ご丁寧にありがとうございます。俺が噂の《導き手》オーリ、右が幼馴染でパーティメンバーのリーネ「うん!」、左が教会に所属されているアストラネさん「先程はご迷惑をおかけしました。」。以上がうちのパーティです。」


本当はここにうちの両親とリーネの両親が入るんだけど、討伐メンバーではないので、割愛する。


「ご紹介いただきありがとうございます。ただ、こちらと致しましても、身分の証明をしていただきたいので、こちらの石板に手を翳していただけますか?」


そういってマリさんが出してきたのは、昨日の教会でやった石板にとてもよく似ていた。


「オーリさん。これは簡易ステータス鑑定の魔導具です。教会のとは違い、簡易ではありますが、ジョブを確認する程度であれば十分な魔法具です。」


補足の説明をアストラネさんがしてくれる。

ここで拒否してもしょうがないので、素直に石板に手を翳す。


「ありがとうございます。確認が取れました。本当に《導き手》なんですね。まさかこの村にいるとは思いませんでした。それでは買い取りの件ですが、全て買い取りが出来るだけの現金は当ギルドにはありません。なので、小出しに買い取りをお願いしたいと思うのですが、よろしいでしょうか?」

「直ぐにお金が必要な訳でもないので、そこは大丈夫です。ただ、この村では武器や防具を扱っている商店がないので、素材と交換出来るのであれば、それでもいいと思っています。」

「見たところ、オーリさんとリーネさんは皮装備、アストラネさんは…」

「この僧装束は教会の支給品なので、今後も活動をするのであれば、自前の物は欲しいです。あと、中に楔帷子くさりかたびらを着ているのですが、これは借り物なので自前のが欲しいですね。」

「なるほど。狩ってきた魔物・魔獣はなんですか?」

「一番多いのはビッグボアですね。次はラビットラビット。スライムはあまり狩ってないのと、リトルサンドドラゴンは一匹です。」

「それでしたら、ビッグボアを10匹程出して頂けますでしょうか?それで装備代の方は問題ありません。」

「一応、解体料や素材の料金を伺ってもいいですか?」


そうするとソフィアさんはマリさんに目配せをして、マリさんが事務室から紙を数枚持ってきた。

持ってきた紙によると、


スライムの魔石=10ギル

ラビットラビットの皮=100ギル

ラビットラビットの肉=100ギル

ラビットラビットの魔石=50ギル

ビッグボアの皮=200ギル

ビッグボアの肉=200ギル

ビッグボアの魔石=50ギル

解体手数料 1体辺り 10ギル


鉄の鎧=150ギル

鉄の胸当て=150ギル

鉄の小手=150ギル

鉄の脛当て=150ギル

鎖帷子=250ギル


各色小竜装備

兜=400ギル

帽子=400ギル

鎧=400ギル

胸当て=400ギル

ローブ=400ギル

小手=400ギル

脛当て=400ギル

ブーツ=400ギル


と記されていた。ビックボア10匹だった場合、4400ギル。

最後の色子竜というのが、たぶんリトル〇〇ドラゴン系の素材から作った装備なのだろう。

今後は少し奥地に行きたいと言うのもあって、その位の装備はあっても良いと思っている。


となると、俺(帽子・鎧・小手・ブーツ)、レーネ(帽子・胸当て・小手・ブーツ)、アストラネさん(帽子・ローブ・小手・ブーツ)で計4800ギルが必要となる。

加えて、武器も新調しておきたい。


「この色小竜装備で3人共揃えたいのと、武器もそれに見合ったものをお願いするとしたら、どの程度出したらいいですか?」

「武器も見合う物となると同程度の価格で仕入れしますので、ビッグボア15匹で十分ですね。とはいえ、手元にお金がないのも心乏ないので、20匹で8800ギルのうち6000ギルを装備費に、2800ギルをお支払いで如何でしょうか?」

「支払いは、レーネとアストラネさんに1000ギル、俺に800ギルでお願いします。」

「え?!ちょっと…」

「畏まりました。それではビッグボア20匹、お願いします。」


ついさっき綺麗になった床に20匹の大きな猪を出した。それをギルとスティングが台車で奥に運んでいる。これから解体するのだろう。


「装備は明日、街に便を出しますので3日後位にはお渡し出来るかと思います。後、こちらが買い取り金です。」


マリさんが事務室から持ってきた小袋をそれぞれの前に置いていく。


「ありがとうございます。後、まだ登録できる年齢ではないのですが、登録はしていただけませんでしょうか?」


ここからが本題だ。

もし、登録出来ないのであれば、有益なアイテム入手が遠のく。


「本日付で、ギルド本部から全ギルド支部に対して《導き手》及びそのパーティについては、特例の許可を出すとの連絡が来ておりますので、冒険者登録をご希望なら可能ですよ。登録料は200ギルです。」

「あ。そこはちゃんと徴収するのね。では、メンバー分お願いします。」


俺が600ギルを出そうとしたら、レーネとアストラネさんはそれぞれ200ギルを既に出していた。


「オーリ。そこはそれぞれがちゃんと出すべきだよ!」

「ええ。そうです。それぞれで出しましょう。」


そう言われてしまってはしょうがないので、俺も200ギルをソフィアさんに渡した。


「それでは冒険者証を作ってまいりますね。オーリさんは既にステータス確認を終えておりますので、残りお二人も確認へのご協力、お願いします。あと、冒険者証は身分証にもなりますので、血を少し垂らすことで本人以外に使用できなくする魔導具となります。その点もご協力よろしくお願いします。」


ソフィアさんがレーネとアストラネさんのステータスを確認し、マリさんを連れて事務室に戻っていった。

俺達はその間に、用意されたお茶の啜りながらのんびり待つのだった。

もしよかったら「いいね」、「感想」をお願いいたします。誤字・脱字は発見次第訂正をいたします。


登場人物早見表


○オーリ(小松 毅)

この物語の主人公

年齢 7歳 人族

ジョブ ①導き手②使徒③剣士

∟○キース

 オーリの父親。農家

 年齢 34歳 人族

 ジョブ 農夫

∟○マリエラ

 オーリの母親。専業主婦

 年齢 29歳 人族

 ジョブ 平民

∟○スイレン

 オーリの妹

 年齢 3歳 人族

 ジョブ 未設定


リーネ

この物語のヒロイン

年齢 7歳 ハーフエルフ

ジョブ 精霊術師

∟○オブライエ

 リーネの父親

 年齢 254歳 エルフ

 ジョブ 薬師

∟○スズ

 リーネの母親

 年齢 27歳 人族

 ジョブ 薬師


○アストラネ=エレネスト

教会に所属する人族。果たして第2ヒロインになれるのか…

年齢 24歳 独身

ジョブ 僧侶


○シグルス

この世界を担当している女神

年齢 ??? 神族


○ソフィア

マカ村のギルド長代理

年齢 ??? 人族

∟○ギル

 マカ村のギルド専属解体屋

 年齢??? 獣人

∟○スティング

 マカ村のギルド専属解体屋兼料理場担当

 年齢 ??? 人族

∟○マリ

 マカ村のギルド受付担当

 年齢 ??? 獣人

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