第四話 レベル上げと『スキル』
途中から家族会議と呼べない会議は、あの後すぐに解散となった。
父さんとオブライエさんは、あの後飲み明かしたらしい。
俺が家を出てくるときは二人はリビングで寝ていた。
俺はというと、魔物・魔獣のステータス確認とレベル上げのために、朝早くから村の外に出る門の前で待っている。
昨日は村の北側にある森が目標だ。
(昨日、オブライエさんからもらった剣もあるし、準備万端…なはずなんだけど…)
俺の隣には、ニコニコ顔なリーネとアストラネさんがいる。
リーネは、オブライエさんに貰ったであろう弓を装備していて、防具も全身皮装備と、如何にも冒険者だ。
アストラネさんは、昨日の顔が見えにくい儀式用の衣装ではなく、これまた如何にも僧侶っぽい格好で、手にメイスを持っている。
「…あの〜、2人とも何してるんですか?」
答えは分かっていても、この状況は聞かずにいられない。
「オーリは一人でズルいんだよ?私も行くよ?」
「私は教会に所属する者として、魔王討伐に参加したく思いましたので、着た次第です。」
「……はぁ〜。分かりました。完全に行動を読まれているとは思いませんでしたが、ここまで来て追い返したら、後々怖いので一緒に行きましょう。」
二人して「「ヤッター」」とお互いの手を合わせて喜んでいる。いつの間に仲良くなったんだ?
「ただし、危ない・危険だと判断したら、逃げること!いいですね?」
「「は〜い」」
(守らなそうだなぁ〜…)
『アストラネがパーティに参加しました。残り枠は1つはです。』
そんなこんなで初のレベリングに出発したのだった。
▲▲▲▲▲▲
「や!」
リーネが猪の魔獣に対して弓を引く。
リーネの矢は、相手の脳天に命中した。所謂、ヘッドショットだ。
「リーネは凄いね。だいぶ感覚が分かってきた感じ?」
「う〜ん…分かんない。でも、楽しいよ!」
時間はもうそろそろお昼だ。
ここまでほぼ休みなく狩りをしているのだが、2人とも疲れた様子もなく、狩りを続けている。
(まぁ、最初の1時間ぐらいは、俺だけで狩りしてたからな。ある程度レベルとスキルが上がれば、動けるようになるか…)
今俺達がいるのは、村の北側にある森。
村の北側には《霊峰》と言われる高い山がある。
その麓から村から10キロほど離れた場所まで森になっていて、その森の村に近い場所で狩りをしている。
アストラネさん曰く、この森は奥に入れば入るほど、凶悪な魔獣や魔物が出てくるらしいので、あまり深入りはしていない。
今のところ遭遇しているのは、スライム、ラビットラビット(脚の早い兎)、ビッグボア(大きい猪)が主だ。
俺のスキルと女神様の力のお陰で取得経験値4倍なので、かなり効率よく狩りが出来ていると思う。
「ウィンドカッター!」
アストラネさんは何故か風魔法を覚えているし…
あなた、僧侶では?
▲▲▲▲▲▲
「一旦、休憩〜!」
「「は〜い」」
それぞれキリが良さそうなところでお昼休憩を取る。
さっきまでの狩りで、この辺一帯は魔物も魔獣もいなくなったのだ。
「オーリ!ねぇねぇ。もう少し弓関係の《スキル》取りたいんだけど?」
「私はサードジョブ開放を優先してくださいね。もう魔法が楽しくて楽しくて。」
リーネは相変わらずなのに、アストラネさんは僧侶がしちゃいけない顔をしている気がする。
さて、2人のステータスは…
リーネ(合計ジョブlv:lv83)
種族 ハーフエルフ 年齢 7歳
性別 女
称号
☆ヘッドショッター
取得条件:ヘッドショットワンキルを5回(STR+200/DEX+200/命中率補正大)
☆弓の名人
取得条件:魔物・魔獣を50匹討伐
(全ステータス+20)
☆下剋上
取得条件:自分よりレベルの高い魔獣・魔物を討伐
(全ステータス+100/強い敵に対してダメージ増加)
ジョブ
①精霊術師【基】(lv47)
(ジョブ補正 MP+30/INT+30、DEX+10/MDEF+10)
(lv補正 MP+136/INT+136、DEX+46/MDEF+46)
②精霊召喚師【中】(lv36)
昇位条件:精霊術師lv15
(ジョブ補正 MP+50/INT+50 DEX+30/MDEF+30 HP+10)
(lv補正 MP+185/INT+185 DEX+105/MDEF+105 HP+35)
③未設定
HP 248/248(10)
MP 584/584(30)
STR 362(1) DEF 162(1) INT 566(12)
MDEF 374(10) DEX 527(5) AGI 162(1)
lv上昇
毎1up→HP/MP/INT/MDEF
lv2毎→STR/DEF/DEX/AGI
【技能】
弓術(lv24)投擲(lv5)料理(lv1)裁縫(lv1)
剣術(lv1)
【スキル】(総獲得P:165/消費:60{うちジョブ開放20})
《ACTIVE》
○探知(下・初) ○身体能力向上(下・初)
○動体視力向上(下・初) ○移動速度向上(下・初)
○立体機動能力向上(下・初)
《PASSIVE》
○弓操術(下・初) ○速射能力向上(下・初)
○命中率向上(下・初) ○射速向上(下・初)
○魔力操作向上(下・初)
【祝福】なし
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アストラネ=エレネスト(合計ジョブlv:lv107)
種族 人族 年齢 14歳
性別 女
称号
☆下剋上
取得条件:自分よりレベルの高い魔獣・魔物を討伐
(全ステータス+100/強い敵に対してダメージ増加)
☆スプラッター
取得条件:鈍器で頭部を破壊し、5体討伐
(STR+200/DEF+200/鈍器で攻撃時ダメージ増加)
ジョブ
①僧侶【基】(lv60)
(ジョブ補正 INT+30/MDEF+30 HP+10/MP+10)
(lv補正 HP+59/MP+59 INT+177/MDEF+177)
②神官【中】(lv47)
(ジョブ補正 INT+50/MDEF+50 HP+30/MP+30 DEX+10)
(lv補正 INT+230/MDEF+230 HP+138/MP+138 DEX+46)
③未設定
HP 459/459(15)
MP 459/459(15)
STR 354(1) DEF 354(1) INT 697(3)
MDEF 651(1) DEX 264(1) AGI 209(2)
lv上昇値
毎lv→HP/MP/INT/DEX/AGI
2lv毎→STR/DEF/MDEF
【技能】
回復魔法
(ヒール/MP1消費)(エリアヒール/MP5消費)
(ディポイズン/MP5消費)(ディパライズ/MP5消費)
補助魔法
(バリア/MP3消費)(リフレク/MP3消費)
(セーフエリア/MP10消費)(グラビティエリア/MP10消費)
光魔法
(ホーリーレイ/MP3消費)(ホーリースパーク/MP5消費)
風魔法
(ウィンドカッター/MP3消費)
話術(lv5)、どこでも寝れる(lv10)、3徹(lv5)
【スキル】(総獲得P:197/消費:80)
《ACTIVE》
○MP自動回復量向上(下・初) ○移動速度向上(下・初)
○信仰心向上(下・初)
《PASSIVE》
○詠唱短縮(下・初・中) ○消費MP向上(下・初・中)
○魔法威力向上(下・初) ○回復魔法向上(下・初・中)
○詠唱速度向上(下・初) ○魔法理論理解力向上(下・初)
○補助魔法効果時間向上(下・初・中)
◎即時就寝(下) ◎快適睡眠(下)
【祝福】なし
と、見違えるほど強化ができた。
ちなみに、うちの両親とリーネの両親についても強化は進んでいる。
2人とも基本職から中級職へは簡単に転職できたのだが、上級職への転職は、中級職のlv+αが必要で今は満たせていない。
それぞれ、
リーネ→精霊召喚士lv25+精霊1体と契約
アストラネ→神官lv25+ハイヒールの習得
となっている。
「それじゃまずリーネからね。自分のステータスは確認できるよね?」
「うん!」
「今使えるポイントは100ぐらい。本当に弓関係のスキルに使う?」
「う〜ん…今でも楽しいけど、もっといっぱい狩れるようになりたい!矢はMP消費して作れるようになったけど、なんかもうちょっと、かな。」
「…一応、リーネは『精霊召喚士』なんだよ?『弓士』や『狩人』ではないからね?」
「じゃあオーリはこのままでもいいと思う?精霊さんと契約なんていつになるか分からないよ?」
リーネの問題点はそこだ。
「とりあえず、帰ったらオブライエさんに聞いてみようか」
「ぶ〜!」
「……分かった。弓関係のスキルを取ろう。」
「オーリありがとう!」
とはいえ何を取得するか…
…
……
………
お!良さげなのがあったぞ。
「『遠距離射撃向上』なんてどう?あと、それに合わせて『距離感覚向上』と『射出精度向上』、『環境対応力向上』かな」
「オーリさん、一気に取りますね?」
「本人も弓でやる気ですからね。精霊との契約はまだまだ先な気がしますし、今はやりたいことやってほしいので。」
「オーリが良いなら、私はそれでいいよ〜!」
20P位であれば、直ぐに稼げる範囲だし、精霊がいない今は弓特化でも問題ないだろう。
「では、次はアストラネさんですね。」
「私は上級職開放を優先したいですね。」
「ハイヒールって、『ウィンドカッター』を覚えたと同じく、魔導書で覚えるんですか?」
アストラネさんは、俺がキャリーしてのパワーレベリング中に、個人で所有していた『ウィンドカッターの魔導書』を読んで魔法の習得をしていた。
前々から攻撃魔法には興味があったそうだが、教会関係者は攻撃よりも癒やす方に重点を置いているので、今まで躊躇していたそうだ。
「首都にいる上官は、ほぼ全員が習得しているので、回復魔法か光魔法の熟練度を上げることでも取得できると思っているんですよね。」
「技能の熟練度上げ、ですか。それだとスキルではどうしようもないですね…」
「いえ、ちょっと思いついていたのは、魔法の模倣が向上みたいなスキルってないかな?、と思っていまして…」
「なるほど……」
…
……
………
「それに近いしものなら、『魔法開発力向上』、『魔法解読力向上』、『魔法再現度向上』でハイヒールが使われる所を見て、再現できそうですね。」
「何度かハイヒールを使っている場面に立ち会ってますので、記憶を元にイケるかもしれません。それでお願いします。」
「分かりました。取りますね。」
スキルの調整も終わったので、それぞれが持ってきたお弁当を広げて食べる。
リーネは野菜のサンドイッチ、アストラネさんは地球で言うところのBLTサンドっぽいものだ。
「で、オーリ。この後、どうするの?」
「そこそこ狩りをしたから、一度村に戻って冒険者ギルドに行こうかな、と思っているよ。アイテムボックスが共有で使えるからいいけど…結構な数、溜め込んでいるからね。」
「素材として買い取ってもらうのですね。食べれる魔獣の肉は少し取っておいてもいいと思いますよ?」
「お肉〜!」
「この分なら当分、お肉には困らないでしょうね。さて、食べ終わったら村に戻りますよ。」
「「は〜い」」
▲▲▲▲▲▲
「ふふふ。順調に『スキル』を与えてくださってますね。」
だだっ広い場所に、白いガーデンテーブルとテーブルの上には水晶がある。
「まだまだ道のりは最初の数歩ですが、それでもいい調子ですね。」
彼女は水晶に手をかざし払うと、違う場所が映し出される。
「とはいえ、あちらも気付いて即対応とは……困ったものですね。」
はぁ〜とため息をついたものの、そこまで脅威だとも思っていない。
「オーリさん。十分気をつけてくださいね。」
女神の声は聞こえないと知りつつも、彼に対し応援の言葉をかけるのだった。
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登場人物早見表
○オーリ(小松 毅)
この物語の主人公
年齢 7歳 人族
ジョブ ①導き手②使徒③剣士
∟○キース
オーリの父親。農家
年齢 34歳 人族
ジョブ 農夫
∟○マリエラ
オーリの母親。専業主婦
年齢 29歳 人族
ジョブ 平民
∟○スイレン
オーリの妹
年齢 3歳 人族
ジョブ 未設定
リーネ
この物語のヒロイン
年齢 7歳 ハーフエルフ
ジョブ ①精霊術師②精霊召喚師
∟○オブライエ
リーネの父親
年齢 254歳 エルフ
ジョブ 薬師
∟○スズ
リーネの母親
年齢 27歳 人族
ジョブ 薬師
○アストラネ=エレネスト
教会に所属する人族。果たして第2ヒロインになれるのか…
年齢 24歳 独身
ジョブ ①僧侶②神官
○シグルス
この世界を担当している女神
年齢 ??? 神族