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第二話 幼馴染と『洗練の儀』

(…頭痛ぇ…)

「ねぇ!大丈夫?オーリ、大丈夫?」

「いたた…あぁ、大丈夫だよ。」

「よかった〜。」


(これは…記憶が戻ったということなのか?ここまでが規定路線なんだろうな…)

俺は頭を擦りながら体を起こす。


「まさか、石に躓いて、私の攻撃がクリーンヒットするなんて思わなかったよ。でも、無事で良かった〜。」


そう言って胸を撫で下ろしているのは、俺のこの世界での幼馴染、リーネ。

背は低いが、ハーフエルフのためかなり美人である。

彼女とは同い年で、小さい頃からお遊びの剣術ゴッコをしている。

今日もお昼ご飯まで暇だったので、遊んでいた、というわけだ。


「ごめん。俺の不注意でこんなことになって…」

「俺??」

「あぁ、僕の不注意で、ね」


いきなり言葉遣いが変わって驚かせてしまったみたいだ。これから注意が必要だな。


「でも、何もなくてよかったよ。安心したらお腹減っちゃった。」

「それじゃお弁当、食べよっか!」


(とりあえず、俺のステータスをその間に確認っと)


オーリ

種族 人間 年齢 7歳

性別 男

称号 なし

ジョブ 未設定 未設定 未設定

HP 5/110(10)

MP 10/110(10)

STR 101(1) DEF 101(1) INT 101(1)

MDEF 101(1) DEX 101(1) AGI 101(1)

【技能】

剣術(lv1)

【スキル】

《ACTIVE》

○取得経験値・ポイント増加 ○必要経験値・ポイント半減

○スキル効果範囲拡大 ○限界突破 ○探知(下・初)

○移動速度向上(下・初) ○交渉力向上(下・初)

○判断力向上(下) ○マナー向上(下)

《PASSIVE》

○剣操向上(下・初) ○回避行動向上(下・取得)

○命中率向上(下・初) ○剣速向上(下・初)

○剣撃向上(下・初) ○アイテムボックス

【祝福】

○シグルスの祝福

全ステータス+100、スキル付与権能解除、獲得経験値倍加、ジョブチェンジ権能解除


ふむ。女神の祝福がかなり強力だな。

身体能力の初期値が人族だからか、かなり低い。


隣のリーネを見る。

リーネは体育座りをして、幸せそうな顔でサンドイッチを食べている。

他人の個人情報を見るのはどうかとも思うが、鑑定してみる。


リーネ

種族 ハーフエルフ 年齢 7歳

性別 女

称号 なし

ジョブ 未設定

HP 10/10

MP 30/30

STR 1 DEF 1 INT 12

MDEF 10 DEX 5 AGI 1

【技能】

剣術(lv1)、料理(lv1)、裁縫(lv1)

【スキル】なし

【祝福】なし


これが一般的な能力なんだろうな、と女神に言われたことを思い出す。


「オーリ、どうしたの?ずっとこっちばっかり見て。」

「あぁ、ごめん。ちょっと考え事しててさ。」

「そっか。何考えてたの?」

「これからのこと、かな?」

「これからの?『洗練の儀』?」

「う〜ん…もう少し先、かな?」


リーナのような能力がこの世界の標準だとしたら、魔王に対抗できる人材育成はかなり厳しいものになりそうな予感がする。


この記憶が戻るまでの7年間を思い出してみる。女神様が言っていた通り、この世界は平和だ。

この片田舎なこの村であっても、魔物・魔獣が侵入されないように魔導具で結界が張ってあったり、街灯が設置されていたり、この村に限ったことかもしれないが、最低限の衣食住は確保されている。


もちろん貧富の差はあるだろうが、種族差別なく暮らしているこの村を見ているので、家族で慎ましく生活する分なら、これ以上求める必要もない。


(保守的な考えになるのも、分からなくはないけど…)


女神様から言えば、確かに今の環境に甘んじていると言われてもしょうがないかもしれない。

しかし、この先、必ずある『魔王復活』に対抗するためには、意欲ある仲間を集める必要がある。

優先度を決めて行動しなければ、この世界は滅んでしまう。


まだジョブの補正値は見ていないので、それを確認したらとりあえずは自分のレベル上げだろうか…

ただ、ステータスの項目にレベルが表示されてないのが気になるところだが…


「また黙って…難しいことは分からないや。でも、私はずっとオーリの側にいるからね。」

「ありがと。でも、どうなるか分からないよ?」

「え??オーリ、農家継ぐんじゃないの?」

「どうだろ……」

「どうしちゃったの?頭ぶつけておかしくなった?」


リーナが心配して、俺を上目遣いで覗いてくる。

家の仕事を継ぐのが当たり前になってしまったこの世界。とはいえ、俺にはやらねばならないことがある。


「大丈夫。色々と考えてるだけだから」

「もし何かあるんなら、私に話してほしいな。だって幼馴染じゃん。」

「その時が来たら言うよ。約束する。」

「うん!約束ね」


その後、他愛もない話をして、二人してお弁当を食べ終わったので、午後からの『洗練の儀』のため、家に帰った。


▲▲▲▲▲▲


「オーリ!早くなさい!遅れるわよ」

「ごめん。母さん。今行く」


俺は家に帰ってから、母さんに急かされながら『洗練の儀』に来ていく服に着換えていた。


俺の母さん、マリエラは3児の母だ。兄、俺、妹を産んで育ててくれている。

父さんのキースと16歳で結婚。その後、18歳で兄を22歳で俺、26歳で妹を産んでいる。ちなみに今年29歳。

大雑把は性格な癖に、約束事と時間にだけは厳しい。


その母親と手を繋いで待っているのが、妹のスイレン。

元気いっぱいの3歳児だが、家の中では暴れるのに、外に出ると大人しくなる、典型的な内弁慶。


母親&妹と共に村にある小さな教会に向かう。

この教会にある『神具』で、ジョブが決まる。

ちなみに母親は平民、父親は農夫だ。

ぞろぞろと今年7歳になった家族が揃って教会に向かっている。


この村には俺と同い年が8人いる。

リーネと一番よく遊ぶのだが、小さい村だけに全員顔見知りではある。それぞれが家の手伝いや見習いをしてることもあって、リーネほど仲良くはない。


全員揃ったことを確認され、司祭様から長々と今日の説明が始まった。

長々とした話は暇なので、司祭様の鑑定をして、子守唄のようなお話に耳を傾けないようにした。


アストラネ=エレネスト(合計ジョブlv:lv20)

種族 人族 年齢 14歳

性別 女

称号 なし

ジョブ 僧侶【基】(lv20)

(ジョブ補正 INT+30/MDEF+30、HP+10/MP+10)

(lv補正 HP+19/MP+19/INT+57/MDEF+57)


HP 63/63(15)

MP 63/63(15)

STR 11(1) DEF 11(1) INT 108(3)

MDEF 98(1) DEX 21(1) AGI 22(2)


lv上昇値

毎lv→HP/MP/INT/DEX/AGI

2lv毎→STR/DEF/MDEF


【技能】

回復魔法(ヒール/MP2消費)

光魔法(ホーリーレイ/MP5消費)

話術(lv5)、どこでも寝れる(lv10)、3徹(lv5)

【スキル】

《PASSIVE》

○即時就寝(下) ○快適睡眠(下)

【祝福】なし


鑑定をして、これほど残念なことはない…

この世界は10歳で大人と認められる。

10歳からこの仕事に就いて、疲れてバタンキューを繰り返しているうちに取得したスキルなんだろう、と推測できる。


にしても、ステータスがかなり低い。

このステータスから考えると、やはり魔王を討伐するためにはかなりの育成が必要だ。


また、鑑定で分かったのはジョブにレベルがあること。

このレベルとジョブのクラスを上げないことには、戦力が増えないことが分かった。


技能のレベルは習熟度なんだと思われる。

3日も徹夜する事に慣れているのは、はたしてどうなのだろうか…


「オーリ君。次はあなたの番ですよ」

「はい!?」


違うことに意識を集中しているところに呼ばれて変な声が出てしまった。


「こちらに来て、この水晶に手をかざしてください。」


変な声を出して、周りから変な注目を浴び恥ずかったので、言われるがままに水晶に手をかざした。

俺が水晶に手をかざすと、水晶が一瞬光り、目の前に20枚前後のカード様のものが現れた。


(女神様のところでスキル選択した時に経験した感じと同じだな…)


『ジョブを1つ選択してください。』


(1つ?俺の枠は3つのはずなんだけど……)


『既に2つの職は決定しています。1つ選んでください。』


(なるほど。強制取得のジョブがあったわけね。強制取得のジョブはなんだ?)


『1つは《導き手》、もう一つは《使徒》です』


(…後々、注目浴びそうなジョブだな。さて、どうするかな…)


目の前には色んな職が並んでいる。

剣士、冒険者、文官、農民、平民……

ここにあるのが【下位職】と【基本職】になるのだろう。


(とりあえず、今後育成をしていかないといけないから、スキルとも相性のいいコレかな。)


俺が選んだのは《剣士》。

今のスキルならこれ以外に選択肢はない。


選び終わったので、後ろを振り向くと、何故か集まっていた人達が固まっていた。


「え〜っと……?」

「…オーリさん。とりあえず、ステータス確認させてもらいますね。ここに手を置いてください。」


アストラネさんが持っている石板に言われるがまま手を置いた。


「え!?」

「どうかしました?」

「いえ。オーリさん、少しお話がございます。今すぐよろしいでしょうか?」

「えっと…今すぐですか?」

「はい。お願いいたします。」


アストラネさんはそう言うと深々とお辞儀してお願いしてきた。


「あ、大丈夫です。そんなことしないでください。行きますから、行きますから!」

「ありがとうございます。お母様もご同行されますか?」

「……はい。うちの子のことです。お話を聞かせていただきます。」

「畏まりました。アネス!ここを引き継いでください。私は席を外します。」


アストラネさんが部下に指示をして、俺に着いてくるように言ってきた。

それに従って俺と母親、妹は教会で使われていない部屋へと案内された。

案内された部屋は談話室で、アストラネさんに促されるままソファに座った。


「移動していただきありがとうございます。」

「いえ。大丈夫です。それで、どのようなお話なのでしょうか?」


俺は当事者だが、思い当たる節が色々ある。


「遠回しに聞くのは私の嫌いなことなので、単刀直入に聞きます。」

「…」

「魔王はいつ、復活するのですか?」

もしよかったら「いいね」、「感想」をお願いいたします。誤字・脱字は発見次第訂正をいたします。


登場人物早見表


○オーリ(小松 毅)

この物語の主人公

年齢 7歳

∟○キース

 オーリの父親。農家

 年齢 34歳 人族

 ジョブ 農夫

∟○マリエラ

 オーリの母親。専業主婦

 年齢 29歳 人族

 ジョブ 平民

∟○スイレン

 オーリの妹

 年齢 3歳 人族

 ジョブ 未設定


○リーネ

この物語のヒロイン

年齢 7歳


○アストラネ=エレネスト

教会に所属する人族

年齢 24歳 独身


○シグルス

この世界を担当している女神

年齢 ??? 神族


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