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第十二話 ダンジョンを突き進め

1階のフロアボスがいる部屋までの道のりは、ベアトリスさんが以前来たことがあるということで知っていた。

フロアボスの部屋に着くまでベアトリスさんからダンジョンについて注意すべきことを教えてもらっていた。

まず、月に1回、フロア全体の道のりが変わるため、その都度フロア毎に情報を最新のものにしないといけないらしい。

今回については、ベアトリスさんが以前来てからまだ日数が経っていないので、前の知識をそのまま使えるそうだが、フロア変更されてしまうと、マッピング専門の冒険者が突入した後にダンジョン入り口で売っているマップを買う等しないといけないのだという。

唯一変わらないのが、出現する魔物・魔獣なのだそうだ。


ベアトリスさんからのチュートリアルを聞いていると、フロアボスの部屋にたどり着いてしまった。

フロアボスまでの道中は、特に戦闘になることもなく…

ホント、1階で狩りをする意味は初心者の経験を稼ぐ以外ないだろう…


「こちらがフロアボスの部屋になります。倒されてればこの扉が開いた状態で、時間経過と共にリポップします。今は閉まっているので、ボス健在です。」


この1階のフロアボスはアースゴーレムとリトルアースゴーレム5体。

初心者でも鉄の装備と相手の動きさえ注意していれば、難なく攻略できる難易度だそうだ。


「今回、ベアトリスは見学で。リーネ、やってみる?」

「いいの?やる!」


リーネはダンジョンに入ってからずっとウズウズして、ここまで満足いく戦闘もなしだから、ここら辺でストレス発散してほしい。


「じゃあ、サクッと倒しちゃおうか。」


▲▲▲▲▲▲


ゴーレムの討伐方法についてここで説明しておくと、奴らは体内のどこかにコア(魔石)を持っている。

それを壊せば倒せるそうだ。

ただし、個体によって場所が違うので、運が悪ければ粉々にするまで、とことん外すということもあるわけだ。


それに対して、レーネの取った戦法は単純明快。

相手を貫通する矢で粉々にしちゃえばいいじゃん、という力技だ。

動きの遅いアースゴーレム達はいい的だったみたいで、なんのためらいもなくレーネが弓を引き、物の数秒でボス攻略が完了してしまった。


「レーネ。お疲れ様。」

「…なんか、弱くない?」

「1階だからだと思うよ。これから強くなってくるさ。」

「ほんとに?じゃあ、どんどん行こう~!」


とりあえず、ボス攻略の報酬が入っているだろう宝箱がフロア中央に現れているので、それをレーネに開けてもらう。


「う~ん?粘土と金属?」

「銅のインゴットだね。インゴットが欲しければボスを周回すればいいのか。」


レーネにはアイテムボックスに報酬を入れてもらい、次の階層への階段を下りる。


「2階はリトルアースゴーレムとリトルカッパーゴーレムが出現します。」

「カッパーてことは、銅か…少しは堅そうだけど、あまり旨味はなさそうですね。」


そんなこんなで2階層もさっさと攻略することにした。

2階は1階に比べれば見た目がいい装備を身に着けている冒険者が多くいる。

ただ1階に比べれば、この階層に居る冒険者は少ないようで、ボス部屋に行くまでに少ないながらも戦闘があった。


「2階のボスはカッパーゴーレムとリトルカッパーゴーレム5体かな?」

「その通りです。」

「それじゃ、アストラネさん。暴れてきてください。」

「オーリさん、ありがとうございます。ここまで体を動かしてなかったので、ちょうどいい運動になりそうです。」


アストラネさんは基本後衛に居ることが多い。

一人で戦闘することにでもならない限りは鈍器を振り回すことがない。

ただ、アストラネさんは鈍器を振り回すのが楽しいと感じている節がある。

攻撃魔法を使っているときも恍惚とした表情をするのだが、ゴーレムであれば躊躇なく殴れて、ストレス発散できるのでは、と思ったのだ。


ボス部屋に入ると、アストラネさんはゴーレムめがけて突進。そのまま鈍器でゴーレムを殴る。

アースゴーレムに比べて、耐久力も増したのか、アストラネさんの一撃を耐えるカッパーゴーレム。

しかし、倒したと確信するまで油断することがないのがアストラネさん。

すぐさま追撃を繰り出し、カッパーゴーレムを撃破する。

あとはリトルを撃破して、ボス攻略となった。


「私の一撃を耐えるなんて…まだまだ、強くならなくちゃですね。」

「アストラネさんはまだまだ伸びしろがあるから大丈夫。さて、報酬もらって昼食にしよう。」


俺の計画としては、今日はダンジョンを見学するぐらいで、ちゃんとした攻略を後日行う予定だったのだが、あまり手ごたえがなさ過ぎたのでここまで攻略してしまったわけだ。

まさか昼前に3階までたどり着くとは…


(確か10階と考えられているんだよな…)


「オーリさん、銅のインゴット2つでした。」

「アイテムボックスに入れておいて。さて、この辺は安全だよな……?」


報酬を受け取ると、目の前に魔法陣が現れた。


「それはダンジョン入り口に行ける転送の魔法陣ですね。それで地上に戻って食事することも可能ですよ。」

「…そしたらまた1階からだろう?」

「いえ。入り口に入ろうとするとクリアした場所からも再開するかどうか聞かれるんです。どういう仕組みなのかは分かりませんが…」

「…案外、便利な仕様になっているんですね。そしたら、一度地上に戻ろうか。」

「「「は~い!」」」


▲▲▲▲▲▲


ダンジョンを出た俺達は、中央広場に戻って昼食を食べている。

午後から3階に行くことになったのだが、ベアトリスさんは2階まで経験があるものの、次からは未知の階層だという。

ただ、出現するのはリトルアイアンゴーレムと言うことで、マッピングをしながらのんびりと進むことにした。

ここまでの攻略で、そこまで苦労しなかったのと、わざわざお金を払ってまで急ぐ必要もないとなった。


「あの、オーリさん。そう言えば、私の実力を見るためにダンジョンに行ってるんですよね?…ほとんど、活躍してないと思うのですが…」


とベアトリスさん。

ベアトリスさんには本人の了承も得て、ステータス確認をさせてもらっている。

確認しているからこそ、危ない事はさせられないのだ。

悪魔族なので、初期ステータスは高いものの、リトルアースゴーレムであれば余裕を持って勝てるかな、と思える程度のステータスしかない。

不安にさせてしまっているので、ここらで説明しておくか…


「ベアトリスさんはもうパーティメンバーに入っているので、あまり危険な事はさせられません。もう少しレベリングをしてから、活躍してもらおうと思ってますよ。」

「あ、そうでしたか。…それなら、私から1ついいですか?」

「はい?何でしょう?」

「言葉遣いが堅苦しいので、それ、やめません?レーネさんに対して話しているのと同じ感じで話してください。」

「ははは…レーネは幼馴染なので、最初から気にするところはないですが、まだ付き合いの短い人に話し方を変えるのは抵抗があるんですよね…」


ベアトリスさんの提案にアストラネさんも紅茶を飲みながら頷いている。


「少しずつでもいいから、変えてみましょ?」

「…わかった。それがいいなら、そうしましょう。」

「オーリさん、私に対しても同じくしてね?」

「わかったよ、アストラネさん。少しずつ慣れていくよ。」


2人して喜んでいるけど、そんなことで喜ばないでほしい。


▲▲▲▲▲▲


ダンジョンに戻ってきた俺達は、ベアトリスがマッピングをしながらゆっくりと攻略をしている。

この3階で主に出てくるのは、リトルアイアンゴーレム、小さな鉄人形だ。時たま、リトルメタルゴーレムという見た目があまり変わらないゴーレムも出てきたりしている。

ドロップは鉄のインゴット。リトルメタルゴーレムであれば、何かしらの金属インゴット。

そろそろアイテムを鑑定できるスキルを誰かに付与しても良さげだが、後で考えることにする。


ベアトリスさんのレベリングは、出てくる魔物の経験値が美味しくないのと、そこまで数を狩れていないので、なかなか進まない。


そんなこんなで進んでいると、3階のボス部屋が見えた。

これまでの感じから、アイテムゴーレムとリトルが5体だろう。

誰に任せるか迷っていると、リーネが「は〜い、やってみたい」と手を上げた。

ベアトリスさん以外であれば、誰がやっても一緒だと思うので、ここはリーネにやってもらうことにした。


「ね、オーリ。なんだか多いよ?」

「見えてるよ。1人でいける?」

「うん。問題ないと思うよ〜。」


「任せた」と言ってリーネを送り出す。3階のボスはアイアンゴーレムとメタルゴーレム、それぞれのリトルが5体ずつだった。

段々と相手が固くなっているので、少し時間がかかるかな?と思っていたが、魔法防御が低いのかリーネの魔法矢の前にあっけなく倒されてしまった。


「ほんと、リーネちゃんは規格外ですね。」

「ベアトリスさんもそのうちああなりますよ?(リーネ含めて全員のステータスは)それでもまだまだ足りませんが…」

「《導き手》も大変ですね。」

「オーリさんならなんとかしますわ。現に私とリーネはあり得ないほどの力を得たわけですし。」

「昔の人はこのぐらいの力はあったみたいだよ。転職だって自由に出来ていたわけだから。あと、俺が凄いんじゃないくて、女神が凄いんだよ。」


俺達は、完全にリーネのボス戦を見る観客と化していた。

何かあったら直ぐに動けるとはいえ、普通に生きている冒険者なら、3階のボスはかなりキツイのではないだろうか。


「さて、4階に行きましょうか。もう少し手応えのあるフロアまで行きたいですし。」


その後、俺達は4階、5階と攻略したところでベアトリスさんが「そろそろ日が暮れますよ」と教えてくれた。

ちなみに4階はシルバー、5階はゴールドだった。

ドロップ品は売れば高く売れるそうなので、帰りにギルドへ寄って換金することになった。

これで多少は懐が暖かくなればいいのだが…


出現した魔物の強さは少しずつ上がってると感じるものの、まだまだ余裕を持って対処できる。

ただ、だいぶ物理に対して抵抗力がある敵が増えてきたので、俺にとっては面倒臭さが増している。

俺も早く何かしらの魔法が欲しい物だ…


「そう言えば、ベアトリスさんはどこに泊まっているの?」

「今日からオーリ達と同じ宿に泊まる予定だよ。わざわざ違う宿に泊まる必要もないし。お金はギルドでドロップ品を換金しても余裕があるはずだよ。」

「…ギルドか。あまり行きたくないな…」


朝の騒ぎであのギルドにはあまり近づきたくない。

もう喧嘩を売ってくる輩はいないだろうけど、面倒事だけは時間の無駄なので避けたい。

そんなことを思いながら、ギルドに向けて足を進まるのだった。

もしよかったら「いいね」、「感想」をお願いいたします。誤字・脱字は発見次第訂正をいたします。


登場人物早見表

○オーリ(小松 毅)

この物語の主人公

年齢 7歳 人族

ジョブ ①導き手②使徒③剣士

∟○キース

 オーリの父親。農家

 年齢 34歳 人族

 ジョブ 農夫

∟○マリエラ

 オーリの母親。専業主婦

 年齢 29歳 人族

 ジョブ 平民

∟○スイレン

 オーリの妹

 年齢 3歳 人族

 ジョブ 未設定


リーネ

この物語のヒロイン

年齢 7歳 ハーフエルフ

ジョブ ①精霊術師②精霊召喚師

∟○オブライエ

 リーネの父親

 年齢 254歳 エルフ

 ジョブ 薬師

∟○スズ

 リーネの母親

 年齢 27歳 人族

 ジョブ ①村薬師②薬師


○アストラネ=エレネスト

教会に所属する人族。果たして第2ヒロインになれるのか…

年齢 24歳 独身

ジョブ ①僧侶②神官


○ベアトリス

ストレインの街で出会った夢魔。オーリに一目惚れ

年齢 ??? 独身

ジョブ スカウト


○シグルス

この世界を担当している女神

年齢 ??? 神族


○ソフィア

マカ村のギルド長代理

年齢 23歳 人族

ジョブ ①平民②文官③高等文官

∟○ギル

 マカ村のギルド専属解体屋

 年齢??? 獣人

∟○スティング

 マカ村のギルド専属解体屋兼料理場担当

 年齢 ??? 人族

∟○マリ

 マカ村のギルド受付担当

 年齢 ??? 獣人

∟○レグマ

 マカ村のギルド運搬担当

 年齢 34歳 獣人

 ジョブ ①戦士②拳闘士③重戦士④騎士

 ∟〇サヤ

 レグマの妹。ストレインで給士の仕事をしている

 年齢 ??? 獣人

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