表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
三限目の国語  作者: 理科実験室
5/16

三年生の時はうまくいったのに

入学して初めて学校うんちしたくなったのは2時限目の理科の授業だった。ぼくたちは2階の理科室で教育テレビの理科番組の夏のヘチマの成長の回を見ていたときのことだった。

突然、少しおしりの穴付近がたまった感じがしたので最 初はおならかなと思った。三日に一日のぼくのうんちは昨日の夜にしたばかりだったので、これも絶対うんちじゃない、おならだとぼくは信じて、音がしないように少しこっそりとおしりの穴をゆるめてみた。でも、収まらなかった。


その後、うんちだけはしたくないよと、ぼくは祈るような気持ちでうんちが引っ込むように何度もおしりの穴を締め付けた。ぼくはその間、おしりの穴のことだけが気になって気になってヘチマのツルの巻き方を先生に聞かれても答えられず、みんなに笑われた。

それでも締め付けると、うんちは、一度はおなかの奥に引っ込んでくれた。それでぼくは先生の話に耳を傾けることができた。でも、しばらくして、ぼくのお腹は一度引っ込んだもっとはげしくうんちはぼくのおしりの穴にせまってきた。

今日は6限ある日のまだ2限というのに、こんなので家まで我慢できるのかとても不安だった。それに、おまけにおしっこまでしたくなってきた。

どうしようと思っていたところにちょうど終わりのチャイムが鳴った。それでぼくは真っ先に急いで教室の近くの「男子児童便所」に向かった。でも、ぼくがそのとき「男子児童便所」に行ったのは学校でうんちしてウンコマンになるためじゃなくて、おしっこをするためだった。次の休み時間におしっこすれば、あとは終わりの会までがまんして、家に戻ってからうんちできそうだった。家のトイレは暗くて汲み取り式でニオイがするけど、そこでいつものように誰かから、のぞかれたりからかわれたりする心配はなくゆっくり思い切りうんちできるはずだった。


実は学校の授業中うんちしたくなったことは3年生だった去年一度あった。

3年生になってクラス替えになり、新しいクラス3年2組になったばかりのある日、給食で休んだ子の分のおかずを食べたせいで5限の授業中に急にお腹が動き出して、うんちがしたくなったことがあった。

そのときも本当に我慢できなくて、次の休み時間に入学以来はじめてのウンコマンの覚悟をした。今チャイムが鳴って、みんなが教室からいなくなるタイミングを見計らってこっそり席を立ってあの「男子児童便所」に行こう。そればかりを考えているうちにチャイムは鳴った。

でも、一人席を立たなかったぼくをクラスの子たちは目ざとく見つけた。そして、いつものように「ションベン行こうぜ」と無遠慮に誘いかけきた。ぼくは「おせっかい」と思いつつも、本当の理由は言えなかったので彼らについていくしかなかった。

ぼくは彼らについていく途中考えた。他の子たちが小便器の前の列に並んでいるときにぼく一人だけが個室に入るというのは論外だ。とりあえず、おしっこしたふりをしてあとで教室に戻り、度席に座り、彼らが見ていないすきにうんちに行けばいいやと思った。そして、うんちしたいのがバレるとまずいし、本当におしっこもしたかったので、小便器の前に立って、とりあえずちんちんを出して、おしっこした。すると、おなかの中でそれまでおしっこの隣でうんちとおしりの穴をおしていたものがお腹の奥に引っ込んだ。おしっこをすればうんちも我慢できることをぼくはこっそり発見したんだ。

それから、ぼくは終わりの会までうんちのことなんてほとんど忘れて授業に集中できた。

もちろんぼくのお腹の中のうんちは消えたわけじゃなくて、下校中またしたくなった。家に着くころは本当にもらす寸前までなっていた。ぼくは家の戸を開けるといつもと違って「ただいま」と小さな声で言った。大きい声なんか出なかった。

おかあさんは買い物に出かけているらしくて、靴もなければテレビの音も聞こえず、昼間だというのに静かだった。ぼくは急いで靴を脱がなかければならないので、持っていた青いビニールの手提げを放り投げて靴を脱ぎ土間から床に上がった。いつもならランドセルや「交通安全」と書かれた黄色い帽子もここで脱いでかけておくけど、今は脱ぐ余裕がなくて。ただ靴だけ脱いで上がり全力で家の廊下の一番奥の方にあるトイレに走って向かった。

途中じゃまな黄色の帽子を脱ぎ、そして重くてぼくのおなかのうんちを押しているみたいなランドセルも脱ぎ捨てた。

トイレの引き戸の前に来ると、いつものようにまずズボンを脱ごうとした。ところが半分脱いだところで靴下がズボンに引っかかってころんでしまった。そのとき床に膝をぶつけて少し痛かった。

でも、もれそうだったので、そのまま強引にズボンごと靴下を脱ぎ捨てた。最後にパンツを下して足元に脱ぎ捨てて、いつものようにふりちん姿になった。これで何も邪魔するものはないことにぼくは安心してトイレに入った。でも本当にもれそうだったのでぼくは乱暴に引き戸を閉めてしまった。誰もいない家じゅうに響きそうなバタッというものすごく大きな音がした。

そしてぼくは大急ぎで便器をまたいでしゃがむと、今日も学校でウンコマンにならずに済んだことにほっとして夜に三日分を出すときと同じくらい思いっきりうんちやおしっこをした。

でも、終わっておしりをふくために黒ちり紙に手を伸ばしたときに、上半身は学校から帰ってきたままの服のついていた3年2組の名札が目に入った。そのとき今日は運よく家までガマンできたけど、ぼくもいつか家まで間に合わなくて学校でウンコマンになるかもしれないとちょっぴり不安になった。そして、その不安は今現実になろうとしているんだ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ