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三限目の国語  作者: 理科実験室
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ゆうすけ君事件

今はクラス替えで1組なったゆうすけ君だけど、その子のときも国語の時間で、その授業は教科書の内容を前の席から先生が指定した分だけ順に読んでいくということをやっていた。

そしてゆうすけ君の番がきた。

でも、かれはお腹のあたりを抱えたままじっとうつむいているだけで教科書を読もうとはしなかった。彼の沈黙の中、クラス中の視線がゆうすけ君に向いた。

そのとき、先生は「どうしたの、ゆうすけ君。お腹が痛いの」うっかり聞いてしまった。ゆうすけ君は先生の問いかけに苦しそうに「う・・うん」と答えた。すると、たちまちクラスの男子たちは彼の事情を察してしまい、彼に罵声を浴びせ始めた。

「クソしたいんだろう、ゆうすけ」

「ここでしちまえよ、ゆうすけ」

ついにはクラス中の男子による「ウンコ!ウンコ!」の大合唱がはじまった。

ぼくはゆうすけ君のうつむく横顔を見た。苦しそうで、もうぎりぎりなのを必死に耐えていることがはっきりわかった。言ってしまえば、彼は今のぼくと同じ状況だった。

でも、今のぼくと違ってクラスの子たちの視線は彼一人に集まっていた。彼は一種の晒し者になって しまっていて、本当に追い詰められていた。このクラス内の席を立っても、確実に「男子児童便所」までクラスの男子の大半が追いかけてくるだろう。

 でも、ぼくはゆうすけ君の困っている状況を想像すれば想像するほど同情するよりも、この子がガマンできなくて目の前でズボンとパンツをおろしてうんちするところを見てみたい好奇心が優ってきて、なんだかドキドキしてきたので、ぼくも「ウンコ!」の大合唱に思わず加わってしまった。

もちろん、先生は「こらっ!やめなさい」と言ってもウンココールは収まらなかったので、仕方なく「ゆうすけ君、お便所に行きましょうね」と彼を連れ出そうとしてあわてて駆け寄っていった。

するとゆうすけ君は「お便所なんかいきたくないよ、読むよ」と言って教科書を手にしかけた。その声は震えていた。

でも、彼は教科書を手にできずに、突然顔を伏せてわぁんと泣きはじめた。同時に彼の方から鈍い音が響いて、教室中に臭いが漂った。ゆうすけ君はズボンの中にしてしまったんだ。

しかも彼はおしっこもがまんしていたらしく、ズボンの隙間から茶色い塊がころがり出て来ると同時に椅子に水のような液体が流れた。まわりの女子は悲鳴を上げ。クラス中の男子は「くせー」と「きたねー」とか「学校はウンコするところじゃないんだよ!」とゆうすけ君に罵声を浴びせた。

その後、ゆうすけ君はみんなの見守る中、一階の玄関わきの足洗い場でおしりをあらわれた。

ぼくもクラスの子たちと彼がお尻を洗われるのをみながら、やはり学校はうんちするところでないことを実感していた。まさか、4年生にもなって彼と同じ事態が近づいてくるなんて夢にも思っていなかった。

ぼくは一年生の頃から今日まで学校で一度もうんちをしたことかなかった。



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