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後編

突然の爆音!

驚いて飛び起きるように目を覚ます。

あたりを見回すと魔王城の方角に光の柱が煌々と輝いていた。

その光は眩しくそして何故か儚く感じた。

光の柱は数十秒ほどで消えてしまい、今のは一体何だったのかと、二人に話しかけようとしてふと、二人がいないことに気付いた。

二人は何処へ行ったのかと辺りを見回していると、先ほど光の柱が昇っていた方向から姫が歩いてくる姿が見えた。

その歩く速度は普段のそれとは違い、酷く遅く足元が覚束ないようで、心配になりこちらから走り寄った。

近くまで行くと彼女の姿がハッキリと見えてきた。

彼女は俯き泣いていたのだ。

僕に気付いた彼女は、此方に何か小さな薄い長方形の物を差し出してきた。

それは、チャラ男君のスマートフォンだった。

なぜ、彼女がチャラ男君の持ち物を泣きながら差し出すのか解らないが、とりあえず受け取る。

そして画面を見るとどうやら動画アプリが起動しているようで、あとは画面のスタートボタンを押せば動画が再生されるだけの状態のようだった。

先ほどから姿が見えない友人と彼女の様子から、何か嫌な予感がしたがとりあえず今できることとして、画面に触れ動画を再生した。


「ウェーイ☆オタク君観てるー?」


画面に映るいつもと変わらず明るい様子の友人の姿。

画面の端には姫だろうか?

今、僕の隣で泣いている彼女の服の裾と同じものが見える。


「突然で混乱してると思うけど、今、俺と姫ちゃんは魔王城の前にいまーす☆」


画面に映る禍々しい城は、確かに遠目に確認した魔王城の外観と一致する。

しかし、なぜ二人は魔王城に?

突入前の斥候だろうか?


「でもって、これ、なーんだ?」


チャラ男君の手には片手で握れる程度の大きさの球体が握られている。

あれは確か、旅の途中にチャラ男君が錬金術の試行錯誤している時に出来た、大した効果の無い失敗作だった筈だ。


「これさ、失敗作って言ったけど、実はスッゲー効果があってさw」


いったい何だろうか?

友人に隠し事をされていたのは少し悲しいけど、効果が気になり動画の先を見続ける。


「これ、ぶつけた相手の魔力全部吸い取って爆発力に変える爆弾だったみたいでさ、これなら魔王も簡単に倒せるんだわ……」


それは凄いな。

しかし、なぜ彼は浮かない顔をしているんだろうか?


「あとさ、もう一つの効果っていうか制限なんだけどさ、これ、相手にぶつけた状態で直接ボタン押さないと爆発しないみたいでさ、それも作ったやつ限定でwwどうやっても制限解除できなかったわwウケるww」


は?

今なんて言ったんだ?

そんなもの使ったらチャラ男君まで!


「やはり駄目です!そんなものを使わなくても体勢を立て直してからでも!ゥッ……」


我慢の限界か、画面の端で俯いていた姫がチャラ男君から爆弾を奪おうと飛び出すが避けられ、一撃で気絶させられた。


「もー。姫ちゃんさー。姫ちゃん連れてきたのはオタク君にスマホ運んでもらうためなんだからおとなしくしててよー。」


彼女を地面に横たえてから振り返ったチャラ男君は、いつものチャラさなど微塵も無い真面目な顔をしていた。


「正直、前に幹部と戦った時に、幹部でこれじゃ魔王には絶対に勝てないって思ったんだ……このまま挑んでも三人揃って死ぬだけだって。ならさ、俺一人で何とかなるならその方が良いじゃん?オタク君は姫ちゃんと幸せになって欲しいし、友達に死んで欲しくなかった。」


画面に映る彼は泣きそうな顔でそう言った。


「そんじゃそろそろ撮影時間もギリギリだし、行くわ。姫ちゃんの事なら安心してよ。ここなら爆発は届かない筈だからさ。んじゃ!チャラ男はチャラ男らしく派手に決めさせて貰いまーす☆」


「ウェーイ☆」と叫びながらチャラ男君が駆け出したところで動画は終了した。


……





―――― 三か月後


「チャラ男君。あれからもう三か月だよ。」


あの後、茫然自失となった僕は姫に連れられて、王都へ凱旋とは言えない状態で戻ることになった。

チャラ男君の件を聞いた王様はチャラ男君を英雄として祀る大きな墓を建ててくれた。

本当は元の世界に建ててあげたかったけど、僕自身も戻る方法が無いから贅沢は言えない。

僕らを召喚した宮廷魔術師の人達も寝る間も惜しんで帰還する魔法を創ってくれているけどまだまだかかりそうだ。


「あれから魔物の被害も少なくなってきたし、大分平和になったよ。君が守ったんだ。この世界を。」


彼の墓の前で現況報告する。

そこに彼はいないのに。


「そうだ!僕、今度結婚するんだよ。」


「え、マジでw相手誰誰?」


「相手は君も知って……ん?」


「もしかしなくても姫ちゃんっしょw?俺ってばキューピッドじゃん☆ウケるwww」


「……チャラ男君?」


幻覚じゃない。

彼は確かにそこにいた。


「オタク君てば俺の顔もう忘れちゃったのww?ショックだわwwそれにしてもこれデッカくね?めっちゃ俺好みのデザインじゃんwwアガるわ⤴フゥー⤴でもスマホないから写真撮れねえw」


それは本当にいつも通りのチャラ男君で……


「チャラ男君!!」


僕は駆け出していた!

オタク「チャラ男君いままでどこにいたの?」

チャラ「爆発した時の衝撃で別の異世界に行ってたわww」

オタク「ところでその隣にいる幼女誰?」

チャラ「魔王w異世界に一緒に跳ばされてなんやかんやあって懐かれたわww」

オタク「……」

チャラ「ついでにこれは別の異世界で作った異世界転移する機械wこれで元の世界帰れるよw」

オタク「……」




チャラ男という万能概念と、なんやかんやあってという名のキンクリ便利だわ。


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