80話 農業の神いわく、あ、それ無理!な事
「「う~ん?」」
あれから飛行機愛の町はバタバタしている。あのワイバーンが連れてきたモンスターの討伐に成功した分、かなりの量の素材が出回り、余りをオークションに出すなどあらゆるギルドが奔走している。一応、自分達はワイバーン討伐の報奨金を貰った後は自由なのだが、それもまだ後回しになってるほどのバタバタさである。
「あれ?リンさんにカミヤさん、どうしたの?」
まあ、そんな訳で滞在休暇とか言ったらアレだけど、久しぶりにゆっくりした時間が流れてる中でオウカさんが、調理室に通りがかって声をかけてくれたので反応する。と同時に、ある物が詰まった袋を見せる。
「ん?これ、確か、街で買った米だっけ?」
「そうそう、ちょっと見てて」
大き目の皿にその米を出していくと、オウカさんも自分達二人の唸りに気付いたようだ。
「あ~、なるほど、なるほど」
お分かり頂けて幸いと言うか、日本で歴史学んだなら何となくは分かるわな。皿の上に広がる米は不揃いと言うか・・・・・・ジャポニカ種つまり、日本固有種と他が混ざり合った、所謂昭和時代にあった闇市の米のような状態なのである。
「これ、同じ稲穂から出来た物らしいんだよ」
「はい?」
これが自分とリンさんが唸っていた理由である。農家から買い取る組合や国としては全て【同じ筈の】稲穂から取れたので一袋換算だそうである。混じり物がある訳ではない、混じり物が当たり前の様なのだ。
「えっと、じゃあ、この世界で日本種の米を食うには・・・」
「滅茶苦茶地道になるが鑑定持ちが選り分けるしかないね、文字通り、一粒一粒」
オウカさんが自分の返答に心の底から嫌そうな顔をする。そりゃそうだ。日本人なら米の形で分かる!と言いたいとこだが、ご飯一杯分の量の選り分けですら面倒くさいだろう。まして、一粒一粒指に持ってであるからね。
「いや、しかし、そうなると、まさか・・・ねえ?」
とりあえず、寄る場所が増えたので早めに行く事にする。なんか、自分の予想って当たりやすくないかな?な予感もするが、是非もないね!
「あ~、なるほど・・・・・・前の時は鑑定結果は流し読みに近かったからなあ」
「完全に稲穂が見つかった事で浮かれてましたね・・・」
ここまで言えばお分かりと思うが、異世界の稲穂の以前の鑑定結果がこう。
異世界の稲穂:一定の基準を満たした水田でその実を開く。等級:C
そう、この稲穂の束から一本だけ手に取り、集中すると・・・
異世界の稲穂:一定の基準を満たした水田でその実を開く。等級:C 品種:ジャポニカ種
異世界の稲穂:一定の基準を満たした水田でその実を開く。等級:C 品種:インディカ種
その稲穂一本から取れる品種分かるじゃん・・・・・・分かるじゃん!大事な事なので2度言いましたぁ!あっ!てことは!リンさんとオウカさんと目が合うと、同じ考えに至ったのか、全員が畑の部屋にダッシュする。
「きっと、農業神様の加護なら何とかしてくれる!」
そんな希望を持って・・・・・・
『デスヨネ~』
時すでに遅く、精米している機械から出てきた米は混じり合ってたのは言うまでない。勿論、この後に様々な情報を精査した上でお米を選り分ける方法を探したのも言うまでなく、収穫後に地獄のような選り分け作業が待っている結果があったとだけ・・・・・・チクショーーーー!次からしっかり鑑定してから、区分けして植えよう・・・・・・
未知に鑑定は大事というお話。そら、しっかり説明見ていかないと見逃す事もありますよね。見逃す程に米と言うのは日本人には興奮の食材ですね
現ステータス
NAME
シロウ・カミヤ
SKILL
安全シェルター LV 8
健康的な体 LV MAX
投石 LV 1
鑑定 LV MAX
鍛冶 LV 7
念動 LV1




