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79話 飛行機愛の町の危機 後編

『ああ~・・・・・・』


あれからバタバタし始めたギルドを後にし、適当な木の洞にシェルターを置いた自分は中で説明すると、全員、特に3人娘は納得する。何がって・・・


「風の魔法、誘惑魔法。飛行機、いえ、戦闘機最大の弱点ですね」


そう、件の戦闘機部隊全滅にはこの2つが関わっていた。そして、この世界における現代兵器最大の弱点である部分をモンスターは突いてきたと言う事だ。


「風は飛行機の天敵、誘惑は対策無しのパイロットを操る。この2つで壊滅状態に、更に9割と言う数字は・・・」


「完ッ全!に知恵を付けてますね、まさしく狩りを覚えた人間そのものです」


自分の言葉に対するアマネさんの言う通りである。まさしく、現場からの生還者を餌とした狩りの仕方である。いくつかのクランが飛び出そうとしたが、紙一重で報告が間に合ったらしく、各ギルドではクランに対し現在は待機命令が出ていた。何故なら・・・・・・


「敵の狙いは・・・・・・街への襲撃」


リィルさんの言葉に首肯する。そして、狙われるのはおそらく・・・・・・


「ワイバーン新種が居たとして、狙いは郊外にある生産施設。そして、生産する人間」


「飛行する生物が完全に空を制するとはどういう事か?と言う目的を覚えてしまったか」


ユキさんとアマネさんが難しい顔をする。そりゃそうだ。なにせ、そうなったと言う事は・・・・・・


「確実にそのワイバーンは討伐しなければなりません」


『デスヨネー』


レインさんの言う通り、そうなる訳である。この件に関しては全員が一致している。しかし、この件で厄介なのが・・・


「バニシングドラゴンでもあった事だが、恥も外聞もなく逃げると言う事を覚えてしまっているのがなあ」


自分の言葉に全員が頭を抱える。逃げられる、なら良いのだ。問題は逃げると言う選択肢を躊躇しないと言う事だ。前者は後少しで逃げられるなら対策すれば良いのに対し、後者は本当に躊躇なく、文字通り問答無用でどんな手段を使ってでも逃げるので対策が難しい。


「んで、現状少ない情報を集めた感じがコレか」


まず、件のワイバーン新種はサイズは普通種と同じ、ただし体色は赤黒い。そして、咆哮により、空を飛ぶ魔物やワイバーンを指揮していたと。特に中でもハーピーと呼ばれる魔物の誘惑魔法はパイロットを直接操り脅威であったらしい。


「指揮が出来る。それだけでまず、飛行機は使えなくなる」


自分の言葉に資料を見終えている全員が頷く。実際、敗北の原因がいつも通りのフォーメーションで行こうとした連中が、風魔法の攻撃で翻弄されたのが原因らしい。加えて、緊急離脱で回避しようとした奴等がハーピーの誘惑魔法で同士討ちと。う~ん、酷い。


「で、敵の攻勢を瞬時に判断して・・・・・・逃げる」


『 そ れ 』


要するに徹底抗戦の構えを見せて、逃げられたらアウトである。同時に取り巻きも倒したら、魔素を吸収されてアウトである。そして、何より、空が彼等にとって最高のフィールドなのである。最善は新種ワイバーンに狙いを絞っての攻撃。しかし、並の戦闘機では空では立ち向かえないと来た。


「なにより、街は魔物素材の美味しさに手札を見せすぎました・・・と」


そして、これだ。学習されすぎたに尽きるだろう。おそらく、知恵を付けた辺りから街に偵察を放つ事も覚えたはずだ。確実に倒さなければ被害はもっと増えかねない。つまり、空と言う無限のフィールドに奴が解き放たれると言う事だ。厄介な・・・


「空を飛ぶ魔法は一応はあります、ですが、魔力を付与した分の限りです」


レインさんの言う魔法とはフライと言うらしいが、あくまで空中戦を行うのではなく、移動手段として使われるらしい。よって、戦闘機動など激しい動きをすれば、あっという間に魔力は尽きて、墜落してしまうそうだ。


「これまた、難しい課題だな」


討伐の条件がこの街の者では厳しすぎる。いや、はっきり言ってしまおう。不可能に近い。ミサイルを何発も打てる条件が出来るなら別だが、次に奴が現れる場所を考えると・・・


「多分、次の出現は街への強襲だからなあ」


よって、戦闘機のミサイルは勿論、副砲であるバルカンなども街に大きな被害を出しかねないので使えない。しかし、空がまず飛べなければ、ワイバーン新種に辿り着く事すら出来ないし、ダメージを与える事も出来ない。難易度、高いとかそういうレベルではなく、詰んだとも言える。


「一応、策は考えてあるけど、もう一押しが欲しい・・・・・・う~ん?」


そう、件のワイバーンは野放しに出来ないので、ワイバーンを倒す道筋は考えてあるのだ。しかし、それに加えて、もう一押し欲しい所なのだが、その方法が難しい、と言うのも・・・


「取り巻きも逃す訳にはいかないんだよなあ。でも、策の通りだと難しいんだよねえ」


これだ。自分の方針は自分達が完全にワイバーンを倒すのみに傾注するが故に、指示されてる取り巻きの中にワイバーンと同じく知恵を付けてしまった者が居るかもしれない。そいつまで逃げられては万が一がある。う~ん?


「そちらでしたら、私からアイデアがあります」


ここで手を挙げたのがメイさんだ。お?魔法関連かな?聞いてみよう。


「今までの情報から推測するに襲撃がある時間と場所はおそらく・・・」


メイさんの説明と自分の策はカチリと組み合ったので採用。後は街との交渉ではあるが、おそらく大丈夫だろう。と言うか、すでに事態は動いてるから即日もあり得るので早急に受付嬢さんと話して、ギルドや街のお偉いさんと連絡とらねばならない。ああ、もう!




『正直、間に合うかはわかりませんよ?』


受付嬢さんが連絡に走っている間に、念の為にとヴェインさんから渡された連絡が取れる通信用の魔石で連絡を取り合っている。とある事をお願いしたからだ。


「それでも、数があれば助かるのでお願いします」


『承知した。確か、どこぞのクランがそっちに転移門付きの拠点持ってたはずだ。早急に探して言われた物を持たせて派遣する』


いや、ホント、連絡用魔石持ってなかったら、マジで奔走するとこだったわ。一応、港町の方に、ポータル利用でこっそり戻って必要な物を集めてきた。後は・・・奴が狙い通りの行動をしてくれるか?である。




『斥候から報告!遠見の魔法にて空に大量のモンスターを確認!夜の為である事、数は多すぎもあり、正確な数は数えきれないとの事!』


あれから時間が経過、まずは念の為、一般市民は避難。冒険者・転生者達はとある職業の人以外は避難施設の警護。ランクが高い戦士系はワイバーンの狙いと思われる発着所及び生産施設の護衛についてもらった。


「来たか・・・・・・」


自分はとある場所で待機。まあ、ぶっちゃけてしまうと、発着所に唯一ある戦闘機の中でシェルターに入ったまま、外に手が出せる窓の付近で待機しているのである。隣にはユウナさんと、ユキさん、アマネさんが居る。


『よし、手筈通り行くぞ!』


夜の道を戦闘に出る者達が駆けていく。そして・・・


『ゴォァアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!』


来た!件のワイバーンだ。戦闘機が1機も上昇していない事から、勝利を確信してか咆哮している。戦闘機のもう一つの弱点が夜間戦闘は本当に危険と言う事だ。バルカンなんか言わずもがな、ミサイルなんか音速で飛ぶから打った後、どこ行ったか分かりませんはシャレにならんしね。そこまで理解出来てる以上はマジでここで確実に討伐しないとシャレにならない。来い来い、お前が食いつく側だけど食いついたら、離れない罠があるぞ。


「上手く行きそうですね。私達は庭で待機しますね」


レインさんの言葉に頷き、3人娘も準備に取り掛かると同時に、戦端は切られた。大量の鳥、飛行系の魔物が発着所や生産施設に急降下して殺到。作業員に襲い掛かろうとするが、ここで策の第一弾!


『魔法使い部隊、放て!』


作業員のふりをしていた全員が魔法を放つ、モンスターも馬鹿ではない、防御態勢を取ろうとするが・・・


「ユウナさん、発進!」


夜の闇を切り裂くような閃光が発着場と生産施設を照らすように光り輝くと、魔物達は視認しやすい闇から突然の閃光により、飛ぶ事もままならずに落ちてくる。ライト、洞窟探索などの時に使う基本的な照明魔法だ。使える人間は勿論、その手のアイテムを戦車愛の町などからも買い込んで来たと言う訳だ。勿論、ワイバーンには簡単に届かないが、落ちはしないものの、今の視界はほぼ見えないも当然であろう。同時にユウナさんが自作の戦闘機のエンジンを起動。


「見えました、起動!」


事前にサングラスをかけていたユウナさんが窓から手を出し、操縦桿を握る。戦闘機の周りの人間が退避したのを見ると、発進した戦闘機はワイバーンに向けて飛んでいく。


「レインさん、メイさん、リィルさん!」


『はい!』


それぞれがコクピット回り、両翼の空気を念動で【固定】する。普通なら窒息の危険もあるが、シェルターがあるなら問題はない。発動を確認と同時に・・・ゴウ!と言う風の音も聞こえなくなったコクピット内から見てどんどん迫るワイバーン。そして・・・・・・


「ここ!」


ガコンと言うレバーの下げた音がして、更に加速する音と、衝突音と同時に衝撃。ワイバーンは確かにデカいが、ドラゴンほどではない。戦闘機でも十分すぎるぐらいに体当たりで加速し張り付けたままにする事が出来る。それでもミシミシと音が鳴っているけどね。


『ゴァアアアアアアア?!』


これから何が起こるか理解は出来ないがまずいと気づいたのだろうが、もう遅い。この体当たりが成功した時点で自分の策は完成している!ワイバーンを連れた戦闘機は更に加速し、やがて空が黒くなる部分まで出る。


『コヒュ?!カヒュッ?!』


やがて、無重力に捕まると、エンジンを止める。そして・・・・・・


「ジ・エンドだ」


自分の言葉に頷いたユウナさんが呼吸困難になり、更に体が凍り付き始めたワイバーンに向けて、ミサイルをあるだけと言っても、2発だが発射する。やがて、ミサイルが着弾すると同時に爆発の衝撃で吹っ飛んだ戦闘機は星の重力に捕まり、墜落していった。まあ、素材は、仕方ないね!


正解は生物が絶対死ぬ環境まで連れて行くでした。ミサイルは念の為のトドメです。呼吸停止と氷結だけでは死んだとは言えないシン・怪獣映画ありますからね!



現ステータス


NAME


シロウ・カミヤ



SKILL


安全シェルター LV 8


健康的な体 LV MAX


投石 LV 1


鑑定 LV MAX


鍛冶 LV 7


念動 LV1

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