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76話 贅沢と言えば贅沢である事

「う~ん?」


リンさんが生き生きと色々試したお肉を調理場で試してる中、自分は今度は更に違う事で頭を悩ませていた。珍しく、女性陣全員が何の仕事もなく、居間に居る中でである。更に言えば地球組全員が難しい顔をしていた。


「なるほど、これは難しい」


「だね。これ、本当に難しい課題だよ、()()()()()()()が付くけどね」


メイさんの言葉にオウカさんが頷く。しっかし、こんな単純なことに悩んでるのはこのシェルターのお陰なんだろうなあ。何に悩んでるかと言うと、スキルの取得である。で、目の前にあるのはレインさんとリィルさんが作ってくれた今のとこ現存するスキル一覧である。で、何を悩んでるかと言うと・・・


()()()()()()()()()()()()()()()のにこんなに悩んでるの俺達ぐらいだよね、多分」


『 そ れ 』


調理場に行っているリンさんを除き、全員が同意する。いや、何に悩むってさあ・・・・・・


「マジでどれ取ろう?って話から始まるのが凄い」


自分の言葉にうんうんと頷く女性陣。例えば、お約束の様な火を点ける魔法、水を出す魔法。要る?から始まり、攻撃魔法、庭から弓で攻撃してればよくない?とレインさんとリィルさんの魔法でちまちま当てればいいじゃんになり・・・


「防御系スキルは内部に居れば要らないし、生活系スキルは、もう内部でほぼ揃ったも同然ですしね」


ユウナさんの言葉に全員が頷く。で、どれ取ろうか?に戻る訳である。鍛冶スキルはもう取ってしまってるし、地球組も現地組も必要なスキルは取ってしまってる感がある。


「裁縫スキルなど作成スキルを取るか?と言われても、通販で何とかなりますしね、下着含む」


そう、ユキさんの言う通り、生活に必要な物、つまり、衣服なども通販で買えてしまうのだ。と言うより、買った方が早い。ちょっとした修繕なら、ミシンがあるしね。ビバ、技術大国の技術。


「じゃあ、攻撃スキル取るかって言われると・・・」


『 微 妙 』


そう、誰もが求める攻撃スキル、たとえ上級でも微妙になる訳である。何故か?安全シェルターは伊達じゃないって事である。内部から弓なり、初級攻撃魔法なりで相手が倒れるまでちまちまと攻撃すればいいし、不利なら逃げればいい、動けるしね。で、だ・・・


「まさかのスキルはもういいかな?結論とは・・・いや、待てよ?」


自分は現地組が用意してくれた資料をもう一度見直す、アレがあればアレと組み合わせで・・・・・・あった。


「これでさ・・・」


自分の考えを説明していくとレインさんとリィルさんは目を見開いた。他の面子も言われてみればと言う顔をし、メイさんに至ってはその手があったかと言う顔をしている。


「レイン姉、これって・・・応用、効く・・・よね?」


「そうね。旦那様はホントに革命を起こすのが好きですねえ」


まあ、とりあえず、この街のスキルスクロール屋に行ってみよう。なんか、自分が指定したスキルは本当にお安いらしいのだ。今の内にいくつか買っておくかな?



「よし、オウカさん、立てたら離れて」


「はいよ」


あれから、スキルスクロール屋で目的のスキルスクロールを念の為に3つ購入した自分は今シェルター内の小さな庭に居る。他の皆も少し離れた所に居る。オウカさんが立てたのは流鏑馬に使うような木の的。それをいくつか並ぶように立ててもらう。


「ん~、まずは、こう、かな?」


自分はスキルの中でも不人気に近いと言われる【念動】スキルを使う。まずはお試しで手のひら大の石がフワッと浮かぶが・・・


「なるほど、不人気納得」


こう、なんていうかライトノベルお約束の魔力がガンガン吸われると言う事は無い。むしろ、ズブの素人の自分でもMP的な消費は軽く感じるぐらいだから、多分相当軽い方だろう。しかし・・・


「持ち上げる間ずっとその重さ感じるし、停止させるとずっとその重さがかかる感じと言うか、これなら・・・・・・」


「普通に持ち上げて投げた方が早いですし、武器も振ったり、投げたりした方が早いんですよね」


自分の言葉に対するレインさんの言う通りである。勿論、こう転生者達もお約束の様な遠く、あるいは近くにある武器を射出するというロマンな使い方を模索したそうだが・・・


「手のひら大の石でコレなんだから、鉄とかの武器の射出前の一旦停止は相当思考に負担かかるだろうなあ。ちょっと気を抜くとすっぽ抜けたみたいに落ちるし。よしんば、停止させて射出しても射撃のコントロールが思考の負担が大きい中では射線バラバラになるだろうなあ。と言うか、普通に武器投げた方が負担が軽いまである」


自分の言葉にうんうん頷く女性陣。って言うか、喋りながらも目を逸らさずに石を停止させる事に集中してる自分もこれを狙い通りの場所に射出させる自信がない。なんて言うか、すぐ射出しないといけないが当てるには停止させないと安定しない感じが凄い、と言うか、少しでも停止に集中切らすとメッチャ揺れる。で、念動スキルを切ると、石はゴトンと地面に落ちる。うん、やはり、これならいけるかも?


「じゃあ、リィルさん、まずはファイアボールからお願いします」


「心得た」


リィルさんの手から出現した炎の球をゆっくりとした射出の瞬間に炎の球を念動スキルの対象にしてみる・・・・・・ん、この感覚成功かな?


「よし、乗った!リィルさん、どうです?」


「いや、驚いた、こんな利用方法があるとはな。こちらの制御は完全に離れている」


「ほほう?詳しく!」


リィルさんの方にメイさんが話を聞きに行く。何をしたかと言うとまんまなのだが、炎の球を念動で操る。これだけである。しかし、誰も考えつかない。何故か?そりゃ簡単な話で、ファイアボールを念動で止めて動かす必要ある?である。結論=無いである。


「そんでもって、よっと!」


ファイアーボールの射出スピードほどではないが、結構な速度で制御した炎の球が的に当たる。うん、これまた成功。


「おぉ~。どう、感覚?」


「ゴムボールより軽い球投げてる感じ。コントロールに関しては疲労とかはほとんどないな」


オウカさんの言葉に答える。自分が考えたのはこうだ。念動で持ち上げるのが筋力に似た魔力を消費して持ち上げ、動かす。では、持ち上げるものが果てしなく軽さがないモノなら?火に重さはあるか?ある訳がない。


「実験は成功と言った所ですか、旦那様?」


「大成功に近いね。レインさん、冒険者ギルドに出す書類をお願いできますか?後、魔術師系ギルドにも」


「承知しました」


話しかけてきたレインさんにお願いする。まあ、資料にして渡す方が分かりやすい事案だからね、コレ。だけど、まあ、自分のとこ以外では日の目は見ないだろう。せいぜい、研究対象として魔術師系ギルドが研究するぐらいではないだろうか?


「んじゃ、リィルさん。次はエアカッターで」


火と同様に重さが無い風の魔法で実験を続けつつ思考する。まあ、実戦では使えないだろう。だってなあ、これ、明らかに・・・・・・連携を乱すからね。なんでって、魔法の射線を曲げるとか、ホントに事故の確率がグンと上がる事になるからだ。


「うむ、では、さっきと同じように行くぞ」


そして、コレだ。念動スキルは対象を掴み取るまで僅かなラグがあるため、出だしはゆっくりしてくれないと掴み取れない。つまりこう、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()って事ね。


「便利だけど不便ですねえ」


リィルさんと同じぐらい魔法に精通するメイさんの呟き通りである。自分達視点では便利だが、他から見ると不便と言う訳だ。自分達以外だと何に使えるか?と言われると、先も言った通り研究する資料?ぐらいである。


「う~ん?」


「射出スピード、スピードガンで測りましたけど。普通に撃った方が早いですね」


「だよねえ」


自分の言葉に通販で購入したスピードガンで計測と記録をしていたアマネさんに対してこう答えるしかない。まあ、魔法の力で撃ち出されたのと人間の腕力、比べるべくもないよねと言う話である。


「ま、とりあえず、報告するだけでもそれなりのお金にはなるでしょ、多分」


なお、後日、そのそれなりと言う言葉を大変後悔する事になるのは後の話である。

多分、異世界物の主人公の中で一番贅沢な悩みしてますよね、カミヤさんパーティw



現ステータス


NAME


シロウ・カミヤ



SKILL


安全シェルター LV 8


健康的な体 LV MAX


投石 LV 1


鑑定 LV MAX


鍛冶 LV 7


念動 LV1

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